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最下層④:初めての選択

青年の目を見つめながら、彼女は困ったような笑みと共に問い直す。


彼女は、この場から去る様子はない。

その瞳と問いが、青年をその場に縫い止める。

唯一の退路には、彼女が立っている。


「上がりたいかって……。そんなの分かるわけないだろ。上に何があるかも分からないんだ。何なら、自分が何者なのか、ここが何なのかさえわかっていない。そんな状況で、判断なんて……。」


エラーを繰り返す機械の中で目覚め、壊れたエレベーターに落胆し、見知らぬ少女に選択を迫られている。上には何が待っているか。そもそも自分は何者なのか。この施設は。この少女は。「上に行く」か「行かない」しかないのだ。少女の問いは、苛立ちにかき消されていた。


再び、場は沈黙に支配された。


しばらく待って、少女は言う。


「止まることも、選択だよ。でも、それは“進まない”って選ぶこと。」


そういって彼女は青年に歩み寄ると、そのまま横を通り過ぎ、指先がエレベーターのボタンに触れた。

すると、止まっていたはずのエレベーターが動き始める音がした。

青年が何度押しても反応のなかったボタンは、淡く灯っていた。


彼女は振り返って言う。目を合わせ、口元からは笑みを消し、少しだけ強く。


「さぁ、どうする?上に行きたい?」

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