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3層目①:夕焼けの街
上を目指す階段は、温室とは違う消耗で、ヒカルを襲った。
変わらない景色は「どのくらい上ったのか」が曖昧になる。
汗は出ないが、太ももには疲労が蓄積する。
ヒカルは、疲労に何度か足を止めながらも、休み休み上を目指した。
「上るだけってのも、結構きつかったな……。」
そして辿りついた先へ続く扉の前。
ドアノブに手をかけてヒカルは一つ息を吐く。
落ち着こうとしても、ノブを握る指先からは力が抜けない。
めぐるはソッとヒカルに手を重ねる。
「次、休めるところがあるといいね。」
「……そうだな。でも何より――」
ドアを押し開けながら、ヒカルは言う。
「――飲める水があれば何でもいい。」
開いた扉の先からは、アスファルトのような、土埃の匂いがした。
生ぬるい風がヒカルの頬を撫でて、階段へと通り過ぎて行く。
扉の向こう先は、階段よりも眩しく、目が慣れるのに数秒を要した。
視界には、感じたとおり、アスファルトで舗装された道。
家屋と思しきいくつかの建物。
見覚えのある赤い自動販売機。
空には夕焼けが広がっている。




