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始まり

ー覚醒シーケンスを開始します。


薄暗い無機質な部屋に似つかわしい、無機質なアナウンスが流れる。

埃を被った機械からは起動音が鳴り響き、施設は老朽化しているものの、機能は生きている事を主張しているようだった。


『バイタルチェックを開始。正常。』

『身体スキャンを開始。正常。』


機械は生体の健康状態を次々に確認し、全てのチェックを終えたらしい事をアナウンスした。


『覚醒シーケンス、完了。コードゼロ。正常終了を確認。シミュレーションを開始します。』


そのアナウンスと共に光の灯った機械の中には、青年が眠っていた。

各種チェックを行われた彼は、ややあって目を覚ました。

しかし、開いた目は虚空を見つめ、焦点はどこにも定まっていない。

アナウンスとは裏腹に、十分に意識は覚醒していない様子だった。


青年が覚醒したのを感知したのだろう。機械音声が流れる。

『おはようございます。現在、日時は』

『warning 日付の取得に失敗しました。処理を継続します。』

『あなたの名前は、warning データベースにアクセスできません。』

『以降の説明シーケンスを省略します。』


以降、機械は何度もエラーを繰り返し続ける。

ロクに身動き出来ない機械の中、状況が飲み込めないまま徐々に覚醒した青年は、目の前のガラスを叩き、押し、横に動かし、できる限り外に出ようと足掻いた。しかし、機械は我関せずと言った様子でアナウンスを続ける。


更に数分が経ち、青年も諦めてアナウンスの終了を待つようになってからしばらく。

最後のアナウンスが流れた。

『以上で、処理を終了します。よい旅を。』


そのアナウンスを最後に、彼と外界を隔てる壁はなくなった。

彼の踏みだした第一歩は、たどたどしく、頼りない一歩目だった。

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