タイムパトロール・アーム(12)
「うわあああああ!ダメだあああああ!」
またかよ。落ち着いたと思ったらすぐに始まる、今に始まったことじゃないけど。間違えて何かの申し込みをしたらしく、もうぶっちする!と大騒ぎしていた。そんなことを繰り返していたらイタズラだと思われて取り合ってもらえなくなるぞ。こないだ通話してた人がどうやらそういうつもりではないのではないかみたいなことを言い始めて、「最初から言ってるだろう」となだめる。最初?最初ってどこ?そんな質問に答えられたらこんなことにはなっていない。電話を抱え始めたレイコの姿は、あーあ、見たことがある。前に身投げした同僚のそれだ。死んでも何にもならない、とすでに死んだのでわかっており、止める。大パニックだ。もう誰もいない!この人だけはと思っていたのにいいいい!思ってるも何も最初から最後まで無関係だろう。お前が思ってるだけ。レイコは今、メールが返ってくるのが怖くて仕方がないらしい。返ってきませんように!変なタイミングで返ってきたら気がつかなかったで済ませる!ともうつつがなく無視する算段を進めている。俺たちはいつからどれほどの迷惑をかけていたのだろう。自分が迷惑していると思っていたら周りはもっととんでもなく迷惑だったらしい。非常脱出装置で別の時間軸にすっ飛びたいが、非常ボタンが壊れているのに脱出装置が生きているわけない。俺たちの廃人生活は続く。




