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タイムパトロール・アーム(11)

「通信で困るときは、話が合わないんだ」


アームの元の職場ははっきりとした意思表示をしない。諜報活動だから、なんとなくの雰囲気とか所作仕草からだいたいのことを察する。あるいは、発言のニュアンスをどう捉えるか。その精度が高いほど、優れているとされる。アームは、あまり得意ではない。だからしばしば、どこを見ても話が合わないという。


困るぞ~、こう言ってるはずだああ言ってるはずだ、どれを見ても言ってるのに少しだけズレている。だったら違う意味になって、結局何も言っていない。言っていると思っているのは、自分。アームはどういうわけだか都合悪く都合悪く考える癖があって、時々墓穴を掘る。すっぽりハマって動けなくなり、出られなくなることもしばしば。誰もそんなことは言っていないのに、言っているような幻を見る。本当だったらどうする?って聞くと、本当なら仕方ない、と割り切っていた。本当に言いたくないことはもとから言っていない。口に出していたのなら、自分のせいだ。そういうことを、今までに何度もしてきたらしい。


俺は、誰も殴りたくないし苦しめたくない。カッコ悪いとも思わない。ほら、言うだろ?友達になれるのが……そんなのもあったわね、と私は話をくくった。


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