56.5話 進撃の光
56.5話
――空を裂く光――
一筋の光が夜空を走った。
白い尾を引き、花火のように軌道が見える。
美しいが、死を運ぶ矢のようでもあった。
――早乙女・空戦――
「ほう……ここまで追ってくる奴がいるとはねぇ」
戦闘機のコクピットで早乙女が笑う。
刃のような風切り音。
ドォン、ドォォォン、と加速するエンジン。
鉄と油の匂いが鼻を刺し、機体はさらに高度を上げた。
――イリア・追撃――
追いかける影、イリア・ネイサ。
黒い制服。胸元の水色のボタンが淡く光る。
仮面の奥で瞳が冷たく光り、思考加速のS級アイテムが稼働している。
「……不思議な乗り物。でも、もっと速く」
イリアの足から噴き上がる炎。
ロケットのような推力で、風圧が頬を切る。
耳に届くのは風の悲鳴と心臓の鼓動だけ。
その身体は早乙女の戦闘機に迫っていた。
――和田・別行動――
「早乙女はん、楽しそうでよかったわ……それにしても、兵士、多すぎやなあ。特にあの黒い制服の奴ら、厄介やわ」
和田は戦場の陰にテレポートし、息をつく。
ポケットから早乙女にもらった収納式魔道具を探り、目当ての物を探す。
「……これや」
見つけた瞬間、口元は笑っているが、指がわずかに震えていた。
――岡本たち・転送陣――
「すごい人数……全員が転生者なんて信じられない」
岡本は魔力を流し込み続ける。巻物の紙面に汗が落ちる。
マリナ、タイガ、ロアも魔力を注ぎ続け、顔色は蒼白だ。
その中で堺がふらつきながら叫ぶ。
「前田さん……前田さん!」
ゴブリンたちは無言で転生者を運び続ける。鉄と血と土の匂いが空間に混ざる。
――斎藤・封印監視――
斎藤は一点を凝視した。
封印箱の中にリアムがいる。
ゴト……確かに動いた。
(雷神……属性を司る転生者たちは化け物だと聞いていたけど、想定以上だね)
斎藤は念話で岡本に連絡を入れた。
――リアム・箱の中――
闇で満ちた空間に、莫大な魔力が噴き出す。
光が渦を描き、真昼の太陽が深海に落ちたかのように闇を裂く。
海が沸騰し、世界が軋むほどの規模感だった。




