39話 特質
39話
飛びかかってくるゴブリン
思わず手で顔を覆ってしまう
(やばい!やばい!守らないと!!何か守らないと!!!)
堺はイメージした、とにかくこの場から逃げたいと、
「か、解放!!」
ブゥウン!
体に重力がのしかかる
恐怖のあまり、目を手で覆い隠す
フワンと浮遊感が体に伝わり、思わず目を開けると
「え、えぇ!!」
空を飛んでいた、そして、今まさに落下するところであった
「やばいて!!!しぬぅぅ!!!もう一度っ!!まほうを!!」
ブゥン!!
落下する速度が急激に早まった
「あ、、」
思考するままなく、地面に激突し、命を失った
「っはぁ!!ここは!?」
目の前には森が広がっており、手には闇属性の杖が握られていた
「あ…し、死んだのか、」
「よかった、そんなに戻ってない」
(それにしても、空も飛べるのか、失敗したけど、うまくコントロールできれば、かなり強力だぞ!)
あっさり死んだことにより、さきほどの恐怖心よりも、魔法への好奇心が上回る
「まずは、戦闘面の強化だな!あの木で試すか、」
重力をイメージして、標的の木に力を込めた
「よし、掴んだ感覚はある、あとはこれを!!」
ぎゅぅ!っと右手を握りしめると、手にある感覚がぶちぶちと潰れ始める
それと同時に目の前の木がブチブチと潰れ出した
「す、すげぇ!!すげえ!!!」
「この力があれば、ゴブリンなんて」
クヘヘと奇妙に笑い、森の中に入っていく
だんだんと余裕がなくなってきてしまい
「やっぱり怖いよ〜、お願いだから急に出てこないでぇ〜」と情けない声を出しながら奥地へと進んでいく
先ほどの場所に近づいた
堺は声を出せずに、そーっと歩いていた
(先手で見つけたい、頼む!どっかで寝ててくれ!)
すると、
(いた!!)
約30メートル先、一匹のゴブリンが、周りを見ながら歩いている
堺はためらいながら、魔力を集中させる
「つ、掴んだ!」
ゴブリンを包んだ感覚が、手に伝わっている
「キィ!?キュゥ!!」
ゴブリンがもがき始めた
ゴブリンにとって今の状況は、金縛りと変わらない
「つ、つぶしてやる、」
堺は目を閉じて、グッと握りつぶす
「ゲェッっ!!」
ゴブリンの叫び声と同時に、ブジュッ!とした感覚が、まるでトマトを潰したような感触が、手の中に広がった
「う、うぇ、きもちわりぃ」
堺は恐る恐るゴブリンの死体を確認しにいくと、
「ゔっ、え、は、灰になってる…」
ゴブリンの体はジワジワと消失していった
「確か、耳とか必要だったんだよな…」
戸惑いつつ、消えていく姿を眺めると、
「あ!こ、これは!」
卓球玉くらいのガラス球が、地面に落ちていた
球の中には、青白く燃える炎がユラユラと燃えている
「とりあえず、魔道具に入れて、、」
すぐさまこの場を離れようとしたが、
ザザザザ!!!
森の奥地から三匹のゴブリンが勢いよく走ってきた
「や、やるしかねぇな」
堺はなんとか冷静を保ち、二匹のゴブリンを重力魔法で握った
そして、潰す
グジュッ!
ブジュ!
「ははっ、す、すげぇ、すげぇ!!!」
もう一匹が勢いよく草むらから飛び出してきた
「あん時はよくもやってくれたなぁ!!」
グッとゴブリンを魔力で掴み
「おりゃぁ!!!」
アッパーのように手を振り上げ、ゴブリンを天高く吹き飛ばした
「うぎぃぁ!」とゴブリンの叫び声が空に響く
自身の強さに興奮し、感動した堺は、
「うっしゃぁ!!」と声を上げ、高らかに笑った
だんだんと心が落ち着きを取り戻し、
「ふぅ〜、ゴブリンの死体はあるかな?」
先ほど握りつぶしたゴブリンを見に行くと、
「やっぱりだ、」
「こっちも」
やはり球が落ちているだけで、死体は消失していく
これ以上ゴブリンに出会いたくないため、走って森をでた
町に近づくと、ルンルン足でギルドに戻り、受付嬢に話しかける
「あ、あの〜」
「はい!なんでしょう」
「ご、ゴブリン討伐してきました、これ、お願いします、」
そう言って球を三つ渡す
「!?こ、これは一体、、ゴブリンの死体はどうされましたか?」
「え、そ、それが、なんか消えちゃって、そしたら、これがでてきて…」
「ほう!三体ともですか?」
「は、はい」
「なるほど……申し訳ありませんが、この球では、討伐の証にはなりませんので、報酬を渡すことができないです」
「ま、マジすか、」
「はい、申し訳ございません…」
受付嬢は体をたおして謝った
「もしかして!レアなドロップ品かもしれませんので、万屋に行かれると、何かわかると思います!」
悲しむ堺を気遣って、万屋を紹介してくれた
地図を書いてもらい、すぐさま向かった
「こ、ここか」
これまた古びた建物だ、瓦造りの屋根がどこか懐かしい
「はぁ〜、懐かしいなぁ〜、異世界でも瓦使うんやなぁ」
異様な風景にも関わらず、すんなりと受け入れた堺は扉を開ける
「お〜、いらっしゃい、いらっしゃい」
「え、あ、はい」
ボサボサっとした髪の女性が、バランスボールくらいの大きな骸骨を持っていた
ガラスのような素材で、異様なサイズ感に言葉が出ない
「あはは、これね、さっきお客さんが売ってくれたものなんだ、これ、水晶なんだよ、すごいよね」
「あっ、は、す、すごいですね…」
「でしょー、、ちょっと待ってね〜」
ヨイショと骸骨を置いて、額を拭う
「お待たせ、要望はなんだい?」
「あ、あの、これを、買い取って欲しくて、、」
そう言って球を見せた
「う〜ん?これは??魔力がふんだんにこめられてるね、ただ、鉱石でもなく、単なる魔力の塊みたいな感じ…」
「う、売れますかね、、」
「うん!それは問題ないよ!ちなみにこれはどこで見つけたんだい?」
ふぅ〜、と息を吐き、安心する堺
「え!あっ、そ、それは、モンスターを倒して、えっとゴブリンを倒したら、で、出てきました」
「ゴブリンから出てきたのかい!?」
「え、は、はい」
「珍しいこともあるもんだ、よし!なら…10シルバーで買い取らせてくれないか?」
「10シルバー!?」
「流石に安すぎだよね、ならっ」
「わかりました!そ、それでお願いします!」
交渉は成立し、堺は10シルバーを受け取った
女性と2人っきりは凄く緊張するため、早々に店を出ようとする堺
「もう帰っちゃうのかい?」
「え、あ、は、はい、ま、またきます、」
「うん、お待ちしているよ」
万屋を出て、街を探索する
ふんふふーんとご機嫌な堺は、優雅に歩いた
「意外にも高く売れたな!」
「あっ!そういえばもう2つ売るの忘れてた!」
堺は球を眺め続けた
「でも、このアイテム…」
(単なるレアなドロップ品とかではない気がしてきたぞ、明らかに知らない反応だったし、それに倒したゴブリン全員からこれが出てきた…)
「もしかして!!これが俺の能力!!??」
思わず声に出してしまい、周りの人がこちらをチラチラと見てきた
堺はその場から逃げるように早歩きして、宿に戻る
部屋に戻り、
「え、えっと、えっと!」
興奮して手が震える、色々と試したくてしょうがない
「まずは振ってみよう!」
透明な球の中心には、青い炎が浮いており、角度を傾けても、炎の位置は変わらない
堺はシュシュ!と勢いよく球を振った
「変化はないな、」
コン!
球をなげてみた
「何も起きない、てか!爆発したらまずいよな!」
すぐさま拾って割れていないか確認をする
「と、なれば、魔力を込めてみるか」
固唾を呑み、両手で握られた球に魔力を込める
ヒュゥ、ヒュゥ、ヒュゥゥ!
手の中の玉が光り出した
「う、なんだこれ!!」
そして、
手の中にあった球が消えていた
「!!!???」




