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38話 想い

38話 想い

「ぐぅ〜、がぁ〜、ぐぅ〜、がぁ〜」


 前日、なかなか寝付けなかった堺は、昼過ぎまで寝ていた


 うーんと体を起こし、テクテクと風呂屋に向かう、身支度を整えて、宿の下にある食事場に向かった


「なにを食べようかな〜」


 香ばしい肉料理の匂いが、お腹を鳴らす


 堺は料理を頼み、楽しんだ


「さーて、武器屋をみて!クエスト、だな」


 晴れた空がなんとも心地よい


 武器屋を目指して、賑わっている街を進み続ける


「ふんふふ〜ん」


 (そういえばラルト、ちゃんと馬車乗れたのかな??)


 歩く速度が遅くなる、が、

「まぁ、ラルトなら大丈夫でしょ!」と他人事であった


 花屋を通り過ぎ、その先にある武器屋に向かい、辿り着く


 扉にかけられた剣を二度見して、ドアノブをひねる


 カチャ…


 目の前に広がるは、大量の武器、壁一面に並び、ドアの近くにあるタルの中には、錆びた剣が何本も入っている


 古びた建物だが、ホコリは見当たらない


 少し奥には長机が置いてあり、その机の上には道具が何個も転がっていた

 今まさに作業中と言った感じだ

 そして、机の後ろには男性が一人、真剣な様子で一つの剣を手入れしている


「あ、あの〜」


「お!いらっしゃい!」

「あ、あ、武器、みたくて、きました」

「あぁ!店は狭いが、多種多様な武器を揃えているから、じっくり見ていってくれ!」

「は、はい…」


 彼は元気に受け答えをし、すぐに作業に戻った


 (すげぇな!!武器まみれだ!これ鞭か!?すごく硬い!意外に重量感あるんだなぁ、、)


 (えっまって!この剣デカすぎだろ!俺の身長くらいある!!錆びてるけど、でもすっげぇ!!!)


 はぁはぁと興奮が止まない堺であった


 (これは本?なんで本?)


 ひらいてみると、訳のわからない言語がずらりと記載されてあった


 苦い表情を浮かべた堺は、スッ…と本を棚に戻す


 本棚の横には杖が置いてあった

 木製や金属製、サイズもバラバラで、装飾などをみるのが楽しい


 杖を物色していると一つの杖に気を取られた


 それは、杖というより、真っ黒な棒であった、握りやすい太さで、堺の身長ほどある

 触ってみると、模様があることがわかった


「な、なんだこれ」


 思わず口に出してしまうと、


「お、それは、闇属性の杖だね、もしかして、闇魔法を使うのかい!?」

「え、あ、は、はい」

「珍しい人と出会えたもんだ、、そうだ!何か魔法を見せてくれないか!?そしたらその杖、半額にするよ!」

「ほんとですか!!で、でも、、、」

「頼むよ〜、僕は武器も好きだけど、それとおんなじくらい魔法にも興味があるんだ!」

「え、えぇ…」


 (どうしよう!この前ブラックホールみたいなので大変なことになったし…)


 堺は勢いに押され、しぶしぶ魔法のイメージを考える


 (ブラックホールはやめよう!安全なやつ、、黒い炎?黒い雷?んー!!そうだ重力!、、重力は闇魔法なのか?まあいいや!彼をうかそう、重力をイメージして、彼を浮かせる!!)


 雷や炎を出した時よりも、体にエネルギーが満ちていく感覚がする


 彼に触っていないのに、彼を大きな手で掴んでいるような感覚を感じ取った


 (うわ、、握りつぶせそうで怖いな…)


「は、はぁ〜!や、闇魔法!重力!」


「おぉ!すごい!浮いた!浮いているぞ!!」


 彼は大はしゃぎしている


 (微調節む、むずい、っっ!ダメだ、堪えきれない!)


 フワフワと浮かせることが意外にも大変で、ふっと体の力を緩めると、


 ドガン!!


 彼が天井に叩きつけられた


「ぐはっ!!」

「ご、ごめんなさい!だだだ大丈夫ですか!?」

「す、すごい、こんな感覚なんだ…」


 彼は満足そうに気絶していた


 数十分して、、


「はっ!!どうやら気絶していたようだ」

「申し訳ありません、でした!」


 スッと体を倒して謝る堺


 大丈夫だよと彼は言い、約束通り半額で杖を譲ってくれることに


「杖はそれぞれ得意な属性があって、その杖は純度100%で闇魔法を強化してくれるよ!すごく希少だけど、そもそも闇魔法を使う人がいないからな〜」


 ハハっと笑う彼

 希少と言われて嬉しい堺は、えへへと笑いがこぼれる


「お、そうだった、その杖の値段だけど、25ゴールドでどうかな?」


「25ゴールド!!??」


 (おいおい!流石に高すぎんだろーが!!2500日あそこで止まれんぞ!?)


 動揺する堺に、彼はこう続けた


「冗談だよ、値段はほんとだけど、その杖、タダであげるよ」

「え!、、な、なんでですか??」

「ただし!条件がある!」

「じょ、じょうけん、、」

「うん、もし、もし気が向いたらでいいんだ、、魔王を、殺してくれ」

「!!??」

「本当は、この店には父がいたんだ、すっごく優しくて、尊敬してた、でも、魔族との戦争で死んでしまったんだ」

「僕は魔法が使えなくて、剣の腕も全然だったから、戦争に参加することもできない、だから、冒険者を支えるため武器の修理とか勉強してるんだ、なかなかうまくいかないんだけどね…」


 堺は思わず杖をグッと握りしめた

 

「わかりました!私が、私が魔王を殺します、なので、安心してください、」

「ありがとう、そう言ってもらえて、すごく嬉しいよ」


 グスンと鼻すする彼は、涙を隠すように笑った


「そういえば、名前を聞いてなかったね、僕はイアン・カイト、よろしくね」

「え、あ、サッカイです、」

「サッカイ!いい名前だ、これからのサッカイの活躍を楽しみにしているよ」


 堺は「が、頑張ります…」と弱々しくお辞儀をして、そそくさと店を出る


 そのまましばらく森を目指して歩く

 後ろを振り返って誰もいないことを確認すると


「はぁ〜、つっかれたぁ〜、重いよー!なんか責任おしつけられたみたいでプレッシャーなんだけど!!」


「……でも、あんなにいい人たちを苦しめる魔族は、、確かに許せないな」


 指をポキポキと鳴らし、うっし!と声を上げ、気合を入れる


「それにしても、この杖カッケーな!真っ黒で!!長くて、カッチカチだし、棍棒みたいに近接もできそうだな!」


 ビュンビュンと振り回して遊ぶ堺


 歩き続けると森がすぐそこまで見えてきた

 ごくりと唾を飲み込み、すぅ〜っと中に入っていく


 

 ビクビクと周りを見渡し、目標のゴブリンを探す


「ごわいよぉ、、たすげで前田さんんんん」


 弱音を吐きながら着々と森の奥地へと向かう


 (ゴブリンに出会いたくないぃ、魔人はもっとあいたくない!!)


 強くなる、という微かに残った目標で、震える足を動かしていく


 すると、


 ガサガサと周りから音が鳴り始めた

 遠くを見ると、緑色の物体がこちらに向かってきている

 一体ではなく、複数いる


「ご、ゴブリン!!!」


 足が震え、あたまが真っ白になる


 ザザザザッ!バサ!!


 キィェ!とゴブリン達が堺の前に姿を現した


「す、すいません!すいません!!」と、杖をぎゅっと握りながら謝り続ける


 ゴブリン達はニヤァ〜と笑い、一斉に飛びかかった

 

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