34話 冒険
34話 死に戻り
シュィィーン!!
後ろを振り向くとそこには、純白の鎧を身につけた男性が、包み込まれるような温かい笑みを浮かべていた
女性かと思うような美人顔で、金色の長髪がサラサラと風に揺れている
小さな口がふんわりと弧を描き、脱力した目尻には安心感と優しさを感じる
エメラルドのように綺麗な瞳は彼の心を表していた
天の使いなのかと疑ってしまう程に、神秘的である
呆然と立ちつくす堺を前に、彼は自己紹介を始めた
「始めまして、私は転生者の案内人をしております、シュベルツ マーケリンと申します」
胸に手を当てお辞儀をする
(やっぱりだ、最初に戻っている、、でもどうして?あの時?あの機械に入ったから??ってことは、前田さんが仕向けた?それかあの人?わからない!わからない!!!)
呼吸が荒くなる堺、
「気が動転してしまうのも無理はありません、まずは深呼吸をして、気を落ち着かせましょう」
前田はスー、ハーと目の前で深呼吸を繰り返した
堺は頭が真っ白になり、とりあえず言われた通り深呼吸を繰り返す
堺は落ち着きを取り戻し、
「落ち着きましたか?」
「え、あ、はい、」
「すみません、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「え、え、名前は…」
「覚えてなければ大丈夫ですよ」
「でしたらー、、Aさんと呼んでもよろしいでしょうか?」
「あ、Aさん…わ、わかりました」
「ではAさん、まずこの世界は元いた世界とは違います」
「そ、そですよね、」
「はい、この世界はえーっと、漫画などで言う異世界みたいな、魔法があるような世界です」
「あ、あ〜、よ、読んでたりしたので、な、なんとなく想像つきます、、」
「私はそんな転生した方々に、近くの街を教えたり、転生者達が集まる拠点に案内しています」
「へ、へー、な、なるほどー」
「そこでAさんには3つの選択肢があります、、あ、すみません、早々に選択肢とかいって、」
「い、いえ、いえ、よ、よくわからないので、あ、ありがたい、です」
「まず一つ目は今から自由に冒険すること、二つ目は近くの町、アルテの町まで私が案内すること、三つ目は転生者の拠点、アルファに向かうこと」
「え、あー、ど、どうしようかなぁ、」
(どうすれば!!!でも、、前田さんの言うことを聞いても、悲惨な目に遭うばかりだし…)
「え、えっと、近くの町に向かいたいです、、あ、あとは自分でなんとか、します」
「わかりました…では案内しますね」
そう言って、2人は草原を歩き、森の中を進んでいく
(懐かしい感覚だな、、なんか質問するべきだな!どうしよう、でも、手の内見せたくないし、、)
すると前田はふふっと笑い
「この世界は崩壊の危機を迎えている、、転生者はその崩壊を救うことができると昔から言い伝えられています」
「ですので、Aさんには世界の崩壊に備えて強くなっていただきたい、もしこの世界で堕落した生活を送るのであれば、存在価値はないと思いなさい」
「え!あ、はい」
「ふふっ、冗談ですよ、先ほどの発言は国のお偉いさんの考えです、私の想いとしてはこの世界を是非とも楽しんでほしい、ただそれだけです」
「え、あ、あの!この先ど、どうすれば!」
(って、何言ってんだ!1人でなんとかするって決めたじゃないか!)
「そーですね、まずはギルドですね、冒険者になって、魔族を倒して報酬を得る、転生者は圧倒的な可能性を秘めていますので、ゆっくりゆっくり鍛錬に励んでください、背伸びはいけませんよ?死んでしまいますからね」
前田は前を向きながら話す、最後にふふっと笑い、どこか楽しそうであった
「あ、ありがとうございます」
(そうだ!俺は強くなる、強くなるんだ!!もう、もうあんなに辛い思いはしたくない!強くなる…1人でだって強くなってやる…)
堺は静かに闘志を燃やしていた
沈黙の中、森を進むと、開けた空間に出た
「さあ、見えてきましたね、あれがアルテの町です」
「お、おーー」
「ここの町は魔族の脅威もなく、人当たりも優しいので安心してください」
「あ、はい、」
「では私の役目はここまでです、これからの冒険を楽しんでくださいね」
「え、はい」
「最後にすみません、これを受け取っていただけませんか?」
そう言って薄茶色のフードと、銀色のトランプケースみたいなもの、ジャラジャラと言う布袋を手渡した
「格好が異世界ぽくないのでフードを着てた方がいいかと思います、それとこれは魔道具です、使うにはコツが入りますが、そこまで難しくないので寝る前などで触ったりしてください、あとこの袋には通貨が入っています、人前であまり開かないようにしてくださいね」
「あ、ありがとうございます、、」
(こんなに色々貰えたんだ、、金色の通貨ぜったい高いなこれ、てか魔道具マジか!!デカすぎ!!!)
「それではAさん、私はこれで失礼しますね」
「は、はい、、まえ、シュベルツさん」
目頭が熱くなる堺であった
(1人で生きていくんだろ!、でも前田さんと離れるのはやっぱり、悲しいな...あの出来事が夢であれば、起きたら前田さんが部屋をノックしてくれれば、いいのに…)
「な、何から何までありがとうございました」
鼻を啜り、首を下に傾けた
「はい!ではまたどこかでお会いすることを楽しみにしています」
そう言って音もなく、そよ風だけを残して目の前からいなくなった




