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33話 タイトの覚悟  魔道具選び

33話

カツ、カツ、カツ


「逃げなかったのは素晴らしい判断です!」


 一同の息が詰まる、そこには上半身裸の田中がいた


「くそっ!!」

 ギルが吐き捨てるように言った


「わ、私が、あいつ、を、っ!」

 最後の力を振り絞るようにリュロが気絶した


「だ、ダメだよ、タイト…タイト……」

 ラルトは激痛に耐えながら、タイトに声をかけた

 


「それでは、行きましょうか」

 田中はタイトに向けて手を差し出した


 タイトは、覚悟を決めた

 後ろを振り向き、ラルト達をみて、ロアを見た

「み、みんな大丈夫、だいじょうぶだ!俺は、必ず生きて戻る!」


「お兄ちゃん、嫌だよぉ、嫌だよぉ!!」


腰を抜かしそうになりながら、ゆっくりと田中の方に体を向ける

 

 (あぁー、俺どうなるんだろう、嫌だなぁ、嫌すぎるぜこんちくしょう!!)


 極限状態のタイトは走馬灯のように、過去の記憶を思い出していく


 


 幼少期のタイト・ルーロスは、地の国にある山奥の町に住んでいた

 物心つく前に母を亡くし、父と二人で生活している


 

「ルロース、今日はもう休め」

 そう言ったのは、タイトの父親、タイト・ナハであった


「まだまだやれるよ!ほら!」

 ウォー!!と元気よく田畑をたがやすタイト、それを見たナハは優しく微笑むのであった


「俺も頑張らないとな!!」

 鎌を振り上げ、叩きつける


 グキッ!!


 ナハは腰をやってしまった、

 自宅に戻り、タイトに看病をしてもらう


「父さん、無理したらダメだよ、」

 はぁ〜、とため息をつくタイト


「すまんすまん、もう大丈夫だ、ちょっと待ってろ今、飯の準備をっ!!」

 寝ている状態から無理に起きあがろうとして、ドタンと転げてしまう


 タイトは額に手を置き首を振る


「今日は俺が飯の準備するから、ちゃんと寝てて」


「す、すまない」

 ナハは顔を赤らめた


「っても、何もないしなー、よし!俺が森で集めてくるか!」


「バカお前!魔法もろくに使えねぇのに、森なんか言ったら殺されるぞ!」


「大丈夫だよ、魔物がいたらちゃんと逃げる、それに、薬草も取りに行きたいしね」

 タイトはそそくさと準備をして家を出た


「ルーロス!!、、まったく、」

 ナハは天井を見ながらヘヘッと笑った



「ややっぱ、一人は怖いな、、」

 震える手で小さなナイフを握りしめるタイト

 ガサガサと葉っぱを踏み締めながら、一歩一歩前に進む


「お、これは使える!あ、これ食べれるやつだ!」

 だんだんと森に慣れ、ワクワクしながら食材や薬草を調達していく


「ふん、ふーん」

 

「い、いやぁ!!こないで!」


「な、なんだ!!」

 何処かから悲鳴が聞こえてきた

 タイトは背負ったカゴを捨て、森を走り回る


 

「い、いた!」


 森の奥地で小さな女の子が一人、ゴブリンに襲われそうになっている


 ケラケラと笑うゴブリンが、錆びたナイフをもって今にも飛びかかりそうだ

 女の子はごめんなさいごめんなさい、と体を丸くして謝っている


 (このままだと、あの子、殺されるっ!助けなきゃ!、、、でも、俺もころされっ)


 ズルッ、、体が後ろに下がり、今にも逃げ出しそうだ

 その時!ゴブリンがケケケ!!と言って大きくジャンプした


「誰か助けて!!!!」

「うおぉぉぉ!!」

 タイトは地面を蹴飛ばし、両手で握りしめたナイフをゴブリンの脇腹に突き刺した


「キエッ!!??」


 ゴブリンの皮膚は意外にも硬く、かすり傷を与えることしかできなかった

 ゴブリンはタイトを睨みつけて、ナイフを雑に握りしめている


「お、お兄ちゃん、、?」


「お兄ちゃん??どういうことだ!とにかく今は逃げるぞ!!」

 タイトは彼女の手を引き、森を駆け出した



「はっ、は、は、は!」

「もっ!ダメっ!」


 彼女がその場で倒れ込んだ


「大丈夫か!?逃げるぞ!」

「も、もう、歩けないよ、」

 タイトは疲れ切った彼女を休ませてようと、キョロキョロと周りを確認する

 近くにゴブリンの気配がなかった為、この場で休むことに決めた


 二人は落ち着きをだんだんと取り戻していく


「お前、名前は?」

「な、名前、、名前は、え、っと…」

「名前ないのか!?悲しいな、なら家族は」

「家族、私、こうえん、で滑り台してて、家族は、えっと…」

「こうえん?滑り台?よくわからないけど、迷子なんだな!なら、俺の家にこいよ!父さんなら何かわかるかもしれない」

「え、あ、うん、わかっ た」

「あとよ、お兄ちゃんってさっき言ったよな、兄貴いるのか?」

「お兄ちゃん、、いた?顔わからないけど、お兄ちゃんに似てた」

「なんだそれ、まあいいや、俺はタイト・ルーロスだ、よろしくな」

「うん、、」


 彼女は黙り込み、しばらくしてポツポツと涙を流した


「ど、どうした!?怪我したのか?痛いのか!?」

「ママ、パパ会いたいよ、、怖いよ、怖いよ、、」


 タイトはシクシクと泣く彼女を見て自分も目が熱くなる


「わかった!ママとパパが見つかるまで俺がお前の兄貴になる!そして俺がこの先守ってやる!!だから、だから元気出せよ」

 そう言って顔を赤くしながら手を差し出した、彼女は恥ずかしそうにその手を握った



 (思い出した、そういえばこんな出会い方してたな、)

 タイトは泣いているロアの声を聞き、不甲斐ないと思いながら田中に近づく、


 ガサッ、

 (いや!!諦めるな!!考えろ!!!こいつをぶっ飛ばして!みんな助かるルートを!!…………!!!!)

 

 タイトはゆっくりと微笑む田中の手をにぎ、、


「ロア!!!今ダァぁ!!!!!」


 タイトが叫んだ

 それを聞いたロアは、その意図を察した!

「ま魔法解放値はぢじゅっぱぁあせんと!!!生きて!タイトお兄ちゃん!!!!」


「まがぁせろぉおおお゛!!!!!!」

「しゅつりょっつ!!?っっ!!」

 タイトは田中の手を握りつぶし、脇腹を抉って、地面に、叩きつけっ!!!!


「うぉ!!おまっ!!」

 (うっ、す、スロー!!??これが、走馬灯ってやつか!い、いや、これはチャンスだ!今ならリュロとラルトを抱えて逃れっ!でもロアがっ!、、、ってえぇ!?)


 なんと、ロアが目をつぶって、ギルに向かってジャンプしている


 (これなら一直線に運べるな、、って流石にスローになりすぎだろ!!、これも、ロアの魔法、、あいつの言ってた転生者ってのは間違いないみたいだな)


 ギルはビュゥゥン!!と暴風のように駆け出した

 あっという間に、祝福の森入り口まで着くと、


 バボァアアアン!!!!

 森の奥から爆音が轟き、大津波のように土砂が押し寄せてきた


 (なんて威力だこんちくしょう!!地面が揺れてっ!踏み込みがっ!!)

 ギルはなんとかその場を切り抜けた

 地の都に向かって走り続ける

 すると、急に魔力が底をつき、四人とも勢いよく転がっていく




 一方、田中とタイトは


 タイトが溺れるように苦しみ続けていた

「っはぁっ!!っはぁああ、がっぁあああ」


「ぶっ、ぶはっ!!ま、まさか、攻撃してくるとは、、ぐはっ!!、、わ、私も、もう、ダメかも、ゔっ!!し、しれません、ね、」

 田中は血反吐を吐きながら青空に手を向けた

「あ、アストラ、ごっ!めんなさい…」











 


 一方、転の地 アルファでは


 ピピピピピピ!

「う、うぇ?」


 堺が「うーーん」と背筋を伸ばす


 そのタイミングでコンコンとドアがノックされた


 (いつも流石だよなぁ、、、)


「は、はーい!」

 そう言って扉を開けた


「おはようございます、堺さん」

「あ、おはようございます、前田、さん、」


 ニコニコしている前田さんを見て、あせあせと準備を済ませた堺


「では、魔道具を見に行きましょうか!」

「は、はい」

 (今日の前田さん、いつもよりテンション高いなぁ、、)


 二人は要塞のような建物から出て、繁華街を歩く


 (賑わってるなー、みんな転生者って思うと面白いな)


 堺がクスッと笑う


「ふふっ、私もこの場所好きなんです」

「えっ、、あ!で、ですね!じ、な、なんか、みんな、楽しそう!で、えへへ」


「そうですね、、みなさんの笑顔を、守り続けていきたいです…」

「え!あ!で、ですね!!守りましょう!」

 ムキムキと変なポーズをする堺と、真剣な眼差しの前田であった


 二人はしばらく歩くと、巨大な建物が見えてきた

 豆腐型のシンプルな作りに、深みのある灰色のコンクリート


 その建物の目の前に着くと前田が、

「つきました!」

「おぉー!!」

 (やっぱ規模間すげーな、、、)


「ま、前田さん、ここ、とびら、なさそうです、ね」

「ふふっ」


 堺がハテナを頭に浮かべると、


 ぴ、ぴ


「ぴ、ぴ?」


 ウィン!


「おぉ!空間が!」


 ツルツルとしたコンクリートの壁に空間が開き、中に入れるようになった


「さぁ!いきましょうか」

「あ、はい」


 外から見ると室内は明るく照らされていることがわかった


 中に入り周りを見渡す堺

「まぶっ、、えぇー!!!!!」


 なんとそこには、現代でいう戦車や戦闘ヘリ、戦闘機が置いてあったのだ


「銃もある!!!剣も!あれ、刀!!?ジャパニーズソード!?スナイパーも!ほぉ!!」


 空間には戦闘用の乗り物、壁には武器がズラーっと飾られてあった


 

 バァヒュン!!! カロン、コラン、、


「はえあ!!??」


 何処かから銃声が聞こえた


 堺は咄嗟に前田の方を見ると、


「ふぅ、今回は危なかったですよ」

 前田は顔に手を持っていき、その握られた拳からは煙が上がっている


「へぇ〜、本当に魔力喪失してんだ」


 そう言ってヘリコプターの後ろから一人の女性が出てきた


 ニヤリと笑みを浮かべてこちらを見定める

 

 タバコをふかし、2メートルにもなるスナイパーライフルを肩に担いでいた


 彼女は美しい顔立ちで、目には光がなく、ニヤッとした笑みは細長い弧を描いている

 髪型は、その野蛮さとは逆に綺麗に整えられていた

 前髪は眉の辺りで切り揃えられ、横髪は肩にかかっており、後ろ髪はまとめられていた

 服装は白のタンクトップを着ており、鍛え抜かれた腕と、綺麗に割れた腹部が丸見えになっている

 下半身は黒のガーゴパンツで、長い足によく似合っている

 足元は分厚いミリタリーブーツを履いており、血痕がついていた

 

 戦闘に快楽を覚えそうな、狂人の雰囲気が漂っている


「早乙女さん、堺さんをビビらせないでください」


「あ〜、ごめんね、いつもの恒例行事でつい」

 ねっとりとテヘッをする早乙女


 (か、可愛い!)


 堺は単純であった



「今回もあれ?だろ?武器、奪いにきたんだろ〜?」

「奪うだなんて、ちゃんとお金は支払いますよ」

「い〜や、いつもの冗談だよ、ほれ、好きなもんでも取っていけば良いさ」


 堺の顔が明るくなった


「ただ、気をつけるんだよ〜、あんまり強力なん持っていったら、魔力吸いすぎて死んじゃうからね」


 堺の顔がひきつった


「そこで早乙女さんにおすすめの武器、魔道具を選んでいただきたいんです」


「まったく、うちも暇ではないんだけどね〜、まあ、あんたの頼みなら、仕方ないねえ」


「ほ〜ら、坊や、、え〜っと、」

「堺さんです」

「あ〜、堺ね、なら、こっちおいで」

「は、はい!!」


 

 (大人のお姉さん!!たまらない!好きだ!!!)


 早乙女の後ろについていく堺は、色んな意味でドキドキしていた



「さあ、ついたよ、この中入りな〜」


 そう言って連れてこられた場所には、大きな球体がドン!と置かれてあった


「え、この中にですか、、」

「うん、そこの階段を上がっていけばいいさ」


 堺は球体から伸びた階段をカツカツと上がり、薄暗い空間に入っていく


 ウィーーン


「あ、へ!?」


 階段が上に上がっていき、閉じ込められてしまった


 ピカー!

 ライトが照らされると、、

「おおおおおお!!!!!!」


 なんということか、目の前に草原が広がっているではないか!


 足元の草がツルンとしており、風が肌と服の間をスゥ〜と通り抜ける


「すぅ〜はあ〜、なんか、懐かしい、、なつかっ」


 堺は思わず口元を手で覆った


 (まさか死んだ!!??でもなんで!どうして!!?この場所、最初から!?どうすれば!どうしよう!どうしよう!!)


 食道がむせ返りそうになりながら、ブルブルと震え固まる堺


 

 シュィーン


 堺の後ろから音が聞こえた

 

 

 

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