23話 決着
23話
「決闘始め!!」
普段のジョン・ケイン先生からは想像もできないような気合の入った言葉にラルトとタイトは事の重大さに改めて気づく
「大地の剛腕!!」
彼がそう叫ぶと、隣にあった5メートルほどの岩がクネクネと形を変える
「おぉぉおおお!」
「やべーなこりゃ」
ラルトとタイトは彼の魔法に驚き隠せないでいる
彼の魔法は巨大な岩を拳に形を変えるものであった
それはまるで、頭が拳になっている大蛇のようだ
杖を振るたびにズル!!ズルルル!!と拳が動く
「ぶち殺してやるよ」
ニタァと笑う表情に恐怖したのはタイトであった、体がすくんでしまったが、盾を持つ手は緩めない
「潰れろ!!ゴミ共!!!!」
勢いよく杖を振り回すと、彼の頭上にある拳が後方に行ったと思いきや、そのままズゥゥン!!とタイトとラルトに向かってくる
それがゴゴゴゴゴ!と地面を抉る
当たれば即死だということを理解するのにさほど時間を要さなかった
彼が作り出した拳は現代でいうところの10トントラック、その拳が時速100kmで突っ込んでくる
「うぉぉぉ!!!受け止めてやりゃぁ!!!」
盾を押すかのように持ち、衝撃に備える
ラルトはタイトを信じて背後に回った
ドシャァァン!!!!
砕け散る拳の岩に散乱する砂や砂利
シャリシャリと砕けた余韻が聞こえる
「タイト!?」
目の前の砂埃が晴れると、ガチっと固まっているタイトの姿が見えた
ラルトは「ふぅ、」と息を吐き、安心する
「はっははは、、ははっ!!」
「受け止めてやったぜ!!」
「凄いよタイト!!」
2人は興奮状態だったが、それをよく思わない彼は「ちっ」としたうちをする
「1発がなんだ?そんなに嬉しいか??ならもっと喜ばせてやるよ!!!」
彼の後ろに先ほどの拳が10手あり、千手観音のように周りを囲んでいる
「これで消えろや!!!!」
杖をグルングルンと回すと、一手が風をグワングワンきりながら向かってくる
「かかってこいや!!!」
タイトはガッチリ構え、疲弊した体を気合いで立て直す
ドシャァァン!!!
「うぉぉぉ!!!」
踏み込んだ体が地面を抉りながら後ろに押される
その体をラルトが受け止めた
「大丈夫!!??僕攻めるから休んでて!」
「はぁっ、はぁっ...ラルト、ちょっといいか、、」
2人は彼に気づかれないようにコソコソと話す
「何話してんだダァ??休んでる暇はねぇぞ!!」
すると、1つ、また1つと重い一撃が2人を襲う
「くそ!!手も足もでねぇ!踏ん張りは任せたぞ!!」
「わかった!!あと7発!頑張って耐え切って!!」
タイトが守り、ラルトが支える形でやり過ごそうとしていた
そんな姿を見た彼はふと疑問に思う
(耐える??せめてこないのか??近づけない??いや、何かを狙っている??なんだ?考えろ、嫌な予感がする……!!、、魔力切れか!!あいつらそれを狙って、)
彼はクククと笑い、何度も拳をぶつける
ドシャァァン!!!ドシャァァン!!!!
「おい!!あいつの攻撃止まないぞ!!もうとっくに7発は過ぎたぞ!!!」
「わかんないよ!!!普通あんなに強い魔法を撃ってたらすぐ魔力切れになるでしょ!!」
「ならどうしろってんだよ!!」
2人は大声で言い合いを始めた
その内容で彼は自分の予感が的中したと理解する
(こいつら、俺の魔力切れを狙ってたんだな、通りで動かない、動けないんだ、つまり攻める能力がないわけだ)
「どうした!どうした!そんなもんかよ!このままだと、2人とも退学だぞ!!あっははははは!!」
ドシャァァン!!ドシャァァン!!!
彼は杖をブンブンと振り回して笑っている
フィールドの岩がどんどんなくなり、更地となっていく、地面は拳を放つたびにえぐれ、弾かれるたびに砂埃が舞っていた
上の観戦席にて――
「おいおい、まずいじゃねーか!」
1人の生徒が声を上げる
すると、1人また1人と戦況について話し出す
「このまま、何もできずに終わるのかな?」
「無謀だったんだよ、まぁ、攻撃を何発も防いだタイトは称賛ものだよ」
「ラルトくん、あんなに自信満々だったのに、タイトの後ろに隠れて何もできてないね」
生徒は皆、2人の敗北を確信していた
そんな中、ラルトとタイトの先生、ジョン・ケインは瞬きをしていない程にじっと凝視していた
決闘に戻る――
「あーくそ!!もう足がもたねぇ!!どうするんだよ!」
「退学したくねぇ!!退学したくねーよ!!」
タイトが叫ぶ、戦意が喪失しかけているようだ
その後も「負けたくない!」などと叫んでいる
「お前らは喧嘩を買う相手を間違えたんだよ!!見習いは!見習いらしく!ゴミのように!!隅っこで!!固まっておけば!!よかったんだよ雑魚がぁ!!!」
セリフの合間に杖を振り、怒りをぶつけるように魔法を放つ
まるで蛇口の水を無駄遣いするかのように、溢れんばかりの魔力量であった
「君は、どうしようもないね、、」
彼の横からラルトが砂埃を剣で切り裂いて突っ込んでくる
「は???」
彼は訳もわからずに放心状態になる
ラルトはお構いなしに刃を振った
目にも止まらぬ速さで刃が首、胸、腹を切り裂いた
かと思いきや、彼は魔法壁の外に瞬間移動する
ラルトとタイトもまた、魔法壁の外に瞬間移動した
放心状態の彼と同じように、上で見ていた生徒もまた訳もわからずに固まっている
そんな中、
「か、勝ったのか?、、いや勝った!勝ったんだよ!!やったな!!ラルト!!」
「うん!作戦成功だね!!」
2人はハイタッチを交わす、ラルトはタイトよりも身長が低いため、ほんの少しジャンプをした
「なんだよ作戦成功って、、お前ら何したんだよ、」
「まあなんだ、簡単に説明すると、不意打ちだな」
「そう!タイトが君の攻撃をひきつけて、僕がトドメを刺す!ってね!」
「は??それなら、あの言い合いもわざとってことか??」
「わざとってわけではないけど、結構ピンチだったし、、でも作戦のうちではあったな」
彼はタイトとラルトの作戦を聞いて怒りが湧き出してくる
こんなチンケな作戦でやられた自分が惨めだと感じてしまうからだ
「ふざけんな!!ふざけんなよ!!!こんなんで、こんなんで終わりかよ…」
彼は呼吸して冷静になろうと努力する
「も、もう一度だ、もう一度、俺だってお前にハンデを渡した!なら俺だってもらう権利がある!」
プライドを捨てて、学園に残りたいと意地をみせる
すると、ラルトが彼に救いの手を差し伸べた
「そうだね、ハンデもあったわけだしー、、うん!もう一回勝負しよう!」
すかさずタイトが止めに入る
「おい!辞めとけって、勝ったんだからもういいだろ!」
「お前は黙っとけ!!なら決まりだ、今度は正々堂々、タイマンで勝負しろ!!」
彼は熱く、今にも飛びかかってきそうな眼差しをラルトに突き立てる
「わ、わかったよ!」
彼の圧に心がひいてしまうラルトであった
「おい!聞いただろ?もう一回勝負させろ!今すぐだ!!」
観戦席に声を張り上げる
顔は怒り狂っており、今にも爆発しそうだ
、、、
「おい!!聞いてんのか!勝負させろって言ってんだろ!!」
スゥーーン、、
……空気が変わる、何かがきた
「認めろ、お主は負けた」
「あぁ??、、、!!」
「す、すいませんでした!」
彼とラルト達の間にいたのはナックル校長であった




