17話 拠点
17話
沈黙の中、互いの魔力が一気に高まる
ドォォォォン!!ドドド
空間に得体の知らない圧が掛かる
それは絶望に似た圧力であった
「う、うぅ、、息が、、」
堺は喉がギュゥ~っと締めつけられるような苦しみを味わう
互いの生死がかかっている一撃は、攻撃の重みだけではなく魂の重みも加重されている
ピィーーーン!!!
シュベルツの体がさらに光出す
「はぁ~!!!!」
(この一撃に、この一撃に全てをかける!!)
魔力をねり上げ、剣を左腰に構え、居合い斬りの構えをとる
「ゔおおおおお!!!」
ナックルの右腕が赤黒く光出す
ゴゴゴゴゴォと地面が揺れ、ナックルの周りに散乱している物や、えぐれた地面の石や砂がブワ~っと微振動しながら浮いている
(セラ、クレイン、すまない、、ワシを許してくれ、、今はお前らを構う余裕がないのだ、、)
ナックルは自身の魔力を高めている最中、壁にもたれかかっているクレインとセラを心配していた
(、、、ワシのせいでこやつらが死ぬかもしれん、ワシの正義の巻きぞえにしてはいかんのではないか??ワシが止まれば奴は止まるだろうか???)
強く握られている剣の持ち手がだんだんと緩む
「いや、まて、、わかった、、もうやめにしよう、、」
赤黒く光続けている右腕が太陽が沈むようにゆっくりと消えていく
「どうして!!!??どうしてですか!?ナックル校長!!」
体を震わせ、声を荒げるシュベルツ
「や、やられた!??」
堺とシュベルツはひどく動揺していた、特にシュベルツは開いた口が塞がらないほどであった
「前田 明よ、ナックルとセラに免じて今だけは許そう、、さっさとこの場をされ」
シュベルツは横たわっている2人を見て状況を察した
だんだんと光り輝いていた体がジワジワと落ち着き、ピカピカと光る剣がジュワ~っと消えていく
「ふぅ~、はぁ~、わかりました、では、ここ去るとしましょう」
シュベルツは深呼吸をして、堺の元にユラユラと走りながらかけよる
シュベルツが堺の正面まで到着すると、堺を拘束していた十字架のコンクリートブロックのような物が、パリン!とガラスのように砕けた
砕けた破片は光っており、地面に触れたと同時に輝きが失われる、まるで線香花火の火種が地面に落ちてジワァと消えるように
「はっぁ!!はぁ!!」
身体のこわばりが取れ、痛みがジワジワとくる
堺は辛そうにしていた、そして目の前にいるシュベルツに抱きついた
「よかったぁ!!死ななくてよかったぁ!!」
大泣きをする堺、シュベルツはふふっと笑う
しばらくグスングスンと泣いている堺だったが、急に恥ずかしくなり、押し付けていた体を元の位置に戻す
「堺さん、彼が許している今がチャンスです、この場を一刻も早く離れましょう」
グッと目に力を入れるシュベルツ、堺はそれに応えるようにコクンとオーバー気味に頭を振った
シュベルツは右の腰につけている魔道具に右手で触れる
ピカー!
魔道具が光り出した、数秒間光ったあとは輝きが弱まっていく
すると、シュベルツの右手にエメラルドのような黄緑の宝石が握られてあった
その宝石はひし形で、大きさはトランプのカードくらいだ
厚さは一番厚いところで1センチほどで、中央から端にかけてだんだんと薄くなっている
「さぁ、堺さん、私の手に触れてください」
そう言って右手を差し出す、その手には先ほどの宝石が乗っていた
堺は少し戸惑いながらその宝石の上からシュベルツの手に触れる
(なんかビリビリする、静電気みたいだな、)
だんだんと平常心に戻りつつある堺は心に余裕が出てきていた
堺が宝石に触れて数秒経つと、その宝石が緑色に輝き出す、信号機の緑色のような、鮮やかな色合いだ
(綺麗、、、)
堺は絶景を眺めるようにうっとりとしている
「前田 明よ、、彼女の事はきっちりかたをつけろ、わかったな??」
堺の正面、そしてシュベルツの後方にいるナックルがグッと圧をかけて話しかける
ビクッ!っと鳥肌が立つ堺、シュベルツはナックルの方向を見ずにその場で斜め下を見た、2秒後に目線を元の位置に戻す
「堺さん、目を閉じてください、」
シュベルツが優しい声でお願いをする
堺はスッと目を閉じた、すると、ピカー!っと目をつぶっていてても眩しくなるほどの光量が目を刺激した
宝石に乗せている右手はそのままで、左手を目に当てて眩しさを軽減する
…………
「堺さん、、、堺さん目をあけてください」
「う、うん、、??」
寝起きのような感覚がある、あと5分だけ寝たい気持ちがあったが、う~ん!と体を伸ばして起き上がる
「こ、ここはどこですか??確か先ほどは、」
堺はキョロキョロと周りを見渡した
人っ気がなくジメジメとしている
周りにはボロボロになった建物が多くあり、コケや植物が巻き付いている
素材はコンクリートや石を使っていようだ
「ついてきてください」
そう言ってどこかに歩き出すシュベルツ
堺は少しぬかるんでいる、ヌルッとした地面を歩いて追いかける
(なんか、気持ち悪い場所だなぁ、、どこにいくんだろう、、)
堺はボケーっとしていたが、急にあることを思い出した
そして、迷わずシュベルツに質問をする
「シュベルツさん、って、、て、転生者なんですか??」
好奇心が堺の心を前に向かせた、気になって気になって仕方なかったのだ
「えぇ、そうですよ、」
シュベルツは歩きながら振り向くことなく質問に答える
「え、、って、ことは、転生前は、何かされていたんです?、か?」
堺はたどたどしく質問を続けた
「転生前ですか、、そうですね、、その時はまだ13歳だったので、これといって何をしていたかは覚えていないです」
堺はえっ!?と声を漏らす
(13の時?、、中学生から転生してるの??)
堺はなんと話していいかわからずダンマリとする
「あ、そうでした、これからいくところは転生者が集まっている場所です、皆さん優しいので安心してくださいね」
シュベルツの声のトーンが少し上がった
「え、あ、はい、、」
堺は人見知りなため、あまり嬉しい報告ではなかった
(転生者、、転生者多いなぁ、)
自分が特別な存在ではないのかと無意識に思い、心の中で落ち込む
ヌチャ、ヌチャ、ヌチャ、
2人の足音だけが建物の間に響く
周りは静かで不気味であったが、幻想的な雰囲気でもあった
空は透き通る海のように青く、ギラギラとひかる日光は建物によって防がれている
ときどき吹く心地よい風が2人の間を通り抜けた
(なんだろう、なんだか懐かしい、、)
堺はホヤーンとしていた
「つきました」
そう言ってコケやツルが垂れ下がっている1つの建物の前に止まった
その建物は円柱の柱に石造りの壁で、扉はなく、長方形の空間があいている
ヌチャ、ヌチャ
建物の中に平然と入っていくシュベルツ
堺は建物内に入る勇気がすぐには出ず、少し様子をうかがってから一歩を踏み出した
(虫いそう、虫いや、虫むり、虫むり)
ビクビクと中に入っていく
建物内は暗く、出入り口から差し込む光が少しだけ空間の内部をあらわにしていた
「堺さん、こちらです、ここに立ってください」
そう言って校庭のグラウンドに線を引くように地面の泥をザーっと足で払いのける
堺はこの場で絶対に転けたくないため、すり足気味にスチャ、スチャ、とシュベルツに近づく
線の位置まで向かい、その場でキョロキョロしていると、
ウィン!!
どこから聞こえた機械的な音と同時に、地面に魔法陣が現れる
ザザザザザザザ、、
魔法陣の上の泥や、足元についていた泥が魔法陣の外に移動している
「うぉ!!すげっ!」
興奮している堺は周りを見たり、足裏を確認していた
フィーン!!
魔法時のフチから光の壁が出てきた
「おぉ!!閉じ込められた!!」
堺は光の壁をまじまじと見る
ウゥーーン!!
「お、おぉ!!??」
堺は急に体がふわっと浮く感覚を感じた
何が何だかわからずに「え、あっ、え!?」と情けない声をこぼしてしまう
シュベルツは堺の反応を見て笑いそうになっていたが、なんとかこらえていた
堺は「なんですかこれ!?」と言う
シュベルツは深呼吸を一度はさんで話し出す
「こ、これはそうですね、、、異世界版エレベーター、、です!」
シュベルツはいい例えだと思ったのか自信満々な感じであった
(エレベーター、、ということは下っているのか、そうか、地下に拠点があるんだな!!)
堺は動揺しながらも、この先に待っている光景にワクワクしていた
1分ほどウィーーン!!というモーターのような音とフワリと浮く体の心地よさを感じていると、
シュィーーン!
体に重力が伝わり堺の体はフラフラと揺られる
「お、おぉ、、」
(電車の中の揺れ以上だ!!)
堺は振動に耐えられた自分はすごいと思い、ドヤ顔を無意識にしていた
シュベルツは振動を受けていないほどにピタリと止まっている
それを見た堺はなんだか恥ずかしくなり、ゴホッ!と小さく咳をして斜め上を向いた
「堺さん、お待たせしました、ここが私たちの拠点、アルファです」




