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12話 闇魔法

12話

ドン、ド、カ!、ドンドンドン、カ!

「!!??」

 祭りで聴くような太鼓の音で堺の体がビビン!と起きる

「お、おぉ!なんかみなぎってきたぞ!」

 全身に鳥肌がブワ~っと立ち、今にもどこか飛び出したくなる

 すると、何処かから声が聞こえ出す

「クローゼットに入っている制服を着て外に出てきてください~」

 寝起きのような、ぽや~んとした声が部屋の中から聞こえる

「うぇ!?え、え!?」

 訳がわからなかったが、従わないとやばい事になるのではないかと思った堺は、部屋の右側にあるクローゼットを勢いよく開く

 中には黒色の制服が上下で3セット入っている

 特に柄はないが、サラサラとした肌触りが何とも心地いい

「お!ピッタリ!」

 ラッキーと思いながら部屋の扉をカチャっと開く

 廊下には数人ほどトボトボと歩いて出口に向かっていく人達がいた

 堺もその人達の後ろをついて出口に向かう

 カチャ、カチャと次々と扉が開かれ、皆どこか緊張している

 (あ~、人多いなぁ、誰か友達になってくれないかなぁ~、てか、腹めっちゃすいたな、飯ってどこで食うんだ??)

 堺はそんなことを思いながら、誰にも声をかけずに出入り口を出た

 外はギラギラと晴れている

 風が吹いており、服の隙間をぬって体をサラサラ~と通り抜けていく感じが気持ちよい

 出入り口のすぐ横には、以前この建物で受付をしていた人が立っている

 制服は黒色で、銀色のボタンが2つ付いている

 顔は眠たそうで、髪は水色で短めだ

 少しボタっとしている制服が、顔と相まって愛らしく見える

「2列で並んでね~、そうそう、そんな感じでずらーって」

 少年はぽや~んとした口調と態度で指示を出していた

 (部屋の中で聞こえた声はこの人だったのか?)

 堺は周りをチラチラと確認しながら列に並んだ

「だいたい30人だね、うん、なら付いてきて~」

 そう言ってスタスタと彼は走り出す

 列に並んでいた人たちは戸惑ってその場で固まっていたが、すぐに彼を追いかけて走りだした

 堺も負けじと走り列の後ろについていく

 列が蛇のようにウネウネっと建物の周りを通り抜ける

 じきに壁の中央にある大きな建物が見えてきた

 彼はその建物の左側にある出入り口で止まった

「は~い、皆さんよくついてこれましたー、少し休憩したら中に入りますー」

 彼は済ました顔でその場に立っている

 堺は「っはぁっ!はぁ!はぁ!」と額から汗を流して疲れ果てている

 (もう無理、無理!何で走るのさ!もう疲れたんだけど、、)

 堺の周りも同様に息を切らして疲れ果てていた

 (よかった、俺だけ疲れているわけじゃないんだ、)

「は~い、充分休憩したねー、なら、ついてきてねー」

 彼は棒読みのような感情がないような声で呼びかけ、校内へスタスタと入っていく

 堺は「っはぁ!」と息を吸い込んで中にスタ、スタ、と歩き出す

 他の人達もノロノロと校内に入っていく

 校舎には出入り口が3つあり、中央に1つ、左右にも出入り口がある

 堺達は左側の出入り口から校内に入っていった

 出入り口の扉は両開きで、縦3メートル、幅2メートルのドッシリとした作りだ

「す、すげぇ、はぁ、で、でかぁ、」

 はぁはぁと呼吸をしながら、扉を眺める

 扉には模様や、とってはなく長方形の分厚いコンクリートブロックをそのまま扉にした感じだ

 後ろの人たちがヨロヨロと出入り口に近づいてきたので、堺は邪魔になってはいけないと思い、扉を眺めるのをやめて再びヨロヨロと歩きながら校内に入る

「お~、広ーい、」

 校内は全体的に白く、床がツルツルとしている

 天井は高く、4メートルくらいの高さだ

 部屋はコンビニエンスストアを6個並べて正方形にしたくらいの大きさで、正面に黒板ほどのボードが置いてある

 部屋の中央には形がそれぞれの机と椅子が置かれているが、誰も座ってはいない

 ボードが置かれている左側と、出入り口の右側に大型バスが通れそうな廊下が真っ直ぐ続いていた

「おっき!廊下ひっろ~」

 堺は校内をジロジロと、子供が博物館を見るように楽しんでいたが、左奥に続く廊下をヨロヨロと奥に向かって歩く人がいた為、負けじとついていく

 出入り口から斜め左に向かって左奥の廊下に直線で向かいたかったが、正面には机や椅子が置かれているので出入り口から左に歩き、壁付近を歩いて進んだ

 突き当たりに近づいた時、奥に続く廊下を見通した

「おー!」

 ズワーっと、100メートルほど廊下が続いている

 先ほど廊下を歩いていた人は、廊下を進んだ先にある左側の部屋に入っていった

「あ、あそこに向かえばいいんだな、」

 堺の呼吸はだんだんと正常に戻り、スタスタと廊下を歩いていく

 廊下は床が白くてテカテカと光っている、壁はなめらかなコンクリートブロックのようだ

 天井には蛍光灯のような棒が左右に一本づつ埋め込まれており、真っ直ぐ続く廊下の始まりから終わりまで光る棒が埋め込まれていた

「おー、なんか、病院みたいだな」

 堺は壁をサァ~っと触りながら廊下の先を進んだ左側にある部屋に向かう

「サラサラだぁ~、ずっと撫でておきたいなぁ、」

 ボケーっとしながら歩いていると、すぐにその部屋の前についた

 部屋の前には扉があり白色でスライド式だ

 扉の上には4番と書かれている

 扉の中央から右側に指を差し込める隙間があり、スライド式だと理解した堺は「ふぅ~、はぁ~」と深呼吸をした後に、スススと右から左に扉を開ける

 部屋の中がだんだんとはっきりしてくる

「好きな席に座ってね~」

 扉の正面から横向きに設置されてある大きめの机に、水色髪の彼がポヤ~ンとしながら座っていた

 (この部屋であってる!よかったぁ!)

 心の中で喜び「は、はい、」と言いながらどこの席に座ろうかと迷っている

 堺は改めて部屋の中をチラチラと確認した

 部屋の中は窓はなく、なめらかなコンクリートの壁に覆われており、床は薄茶色の木製で光があまり反射しない作りになっている

 出入り口の正面から少し歩いたところに大きめの机が置いてあり、そこに彼が座っている

 彼が座っている後ろには黒板があり、彼の正面には6列の机が並んでいる

 1列に5席の机が並んでいる為、30席分ある

 席の間隔は広く、30席でも余裕のある空間だ

 周りの席にはバラバラで男女が数人ほど座っており、堺は出入り口から1番遠い端の席に座った

 椅子は4本足の木製だ、机も同様に木製だが一般的な学校で使われる物よりも一回り小さい

 (学校って感じだ!!しっかり学ぶぞ!)

 堺は目をぱっちり開けて、何も書かれていない黒板を眺める

 勉強好きではない堺だったが、異世界転生ということもあって張りきっている

 続々と教室の中に人が入る、堺の周りにも人が座り始めた

 あっという間に満席になり、正面の机に座っている彼が口を開く

「は~い、皆さん集まりましたねー、これからはこの教室で授業を始めるので覚えておいてくださいねー」

 彼はそういうと、席から立ち上がって自己紹介を始めた

「そして、私が皆さんの先生を務めることになりました、ライン ケイラです、よろしく~」

 そう言ってラインはペコ~と体を倒す

「今日はメルディア学園の説明と、皆さんの適性検査をしていきますので~、それと、時間があれば実技の方もやっていきます~」

 そう言ってラインはメルディア学園の説明を始めた

 メルディア学園は実力主義で、強ければ強いほど良い待遇が受けられる

 強さを象徴する物としてクラスがあり、堺がいるのは見習いクラス、その上からブロンズクラス、シルバークラスと上がり、そこから先のクラスは自分の適性によって変わる

 近接戦闘が得意な者はゴールドクラスに上がり、魔法が得意な者はプラチナクラスに上がるそうだ

 そしてゴールド、プラチナクラスで最強の存在がダイヤクラスに昇格するという

「それで、僕のクラスはシルバー、相手のクラスを知りたいならボタンを見ればわかるよ~」

 ラインは服を少し引っ張って自分の胸の中心とその下についている銀色の2つのボタンを強調した

「まだ全然話せてないことあるけど~、そこはおいおい話していくね~、あ、それと、見習いにもクラス分けがされていて、この4番クラスがいちば~ん弱い人の集まりだから、みんなはとりあえず3番クラスに上がれるように頑張ってね~」

 教室にいたみんなの笑顔がだんだんとなくなる

 (え、いちばん弱い?マジ?俺いちお転生者なんだけど、え、)

 堺は自分と会話をしながら状況を理解した

 (俺は別に主人公でもなければ、なんでもないんだなぁ、ただ死に戻りするだけの一般人にすぎやしないわけか、)

 堺は前の世界にいた時の無力感を再び味わった

「お次に~、適性検査を始めま~す」

 そう言って彼は机の下から木製の箱を取り出した

 箱からはジャラジャラという金属同士がぶつかる音が聞こえる

「は~い、この中に指輪が沢山入っているので、1つとって好きな指につけてくださいー」

 席に座っていた人達はゾロゾロと箱の中に入っている指輪を取っていく

 堺も指輪を取りに行きたいが、列の邪魔にならないように、前の人達が座るのを待って立ち上がる

「ふぅ~」と一呼吸置いて列に並んだ

 だんだんと木製の箱に近づき、その箱の中身を見る

 長方形の箱には灰色の指輪が沢山入っていた

 堺は指輪を一つ取る、指輪の作りはシンプルだが金属のような重さがある

 (つければ良いんだっけ?あれ?)

 堺は間違った行動はいけないと思い込み、指輪を手の中で握り周りを見渡す

 近くの人が指輪を身につけていること確認した為、堺は手の中に握っていた指輪を右手の人差し指に通す

 そのまま出入り口の方向に向かい、グルリと教室を歩きながら自分の席に戻る

 席に戻る際に他の人がこちらを見ているのではないかと思い、無意識に背中を丸めて「すいません」と小声で何度も言う

 堺は注目の的になるのが嫌いなのだ

 無事に席に戻り、「ふぅ~」と緊張を吐き出しながら椅子に座る

 他の人達が席にすわると、一呼吸置いてラインが話し出す

「は~い、では身につけた指輪を見てくださいー、色がつきましたか?この色は皆さんの得意な魔法を教えてくれます~、ちなみに僕はこの通り水色で氷魔法です~」

 ラインは水色の指輪を身につけている右手の人差し指で自分の髪を指さした

 周りの人たちは「赤だ!」「青色~」「黄色ってことは!?」「え、色いっしょ!」などと騒ぎ始めた

 堺はと言うと、

「何色かなぁ~、」

 ジワジワと指輪を隠している左手を離す

 まるでギャンブルをしている時のような気持ちになっていた

「!!??黒!?」

 堺は自分の指輪が真っ黒になっていることに驚きを隠せなかった

 (え、これ言ったらまずいかも?、え、大丈夫なのかな?転生者カラーとかではないよね?)

 堺はすかさず左手で右人差し指を覆うように隠した

「は~い、みなさん色が出たと思うので、解説しますね~」

 そう言ってラインは次のように解説をした

 まず赤色、青色、黄色、茶色が一般的な色らしく、赤は火、青は水、黄は雷、茶が土とのことだ

 そのほかに水色の氷、緑色の風、黒色の闇、白色の光、紫の重力があるそうで、色が変わらない人は自身にバフをかけるのが得意らしく、近接戦闘を得意とするらしい

「は~い、色の説明はだいたいこんな感じー、色々出たと思うけど、これが最強!ってのはないから安心してね~、どんな魔法も最強になれるチャンスはあるからね、ただ自分の得意を無視して他の魔法を極めるのはとっても困難なことだから、自分の得意魔法を伸ばすことを頑張ってね~」

 (闇魔法か~、うわ~かっこいいなぁ、どんな魔法なんだろう)

 堺はすぐにでも魔法を使いたいとワクワクしていた

「は~い、それではさっそく魔法の質を高める訓練をするね~、もう出せる人がほとんどだと思うけど、より質の良い強力な魔法を出せるコツを教えるよ~」

 (やばい、どうしよう、魔法なんて出したことないし、まずいまずい、転生者ってバレるかも!!)

 心臓がバクバクと鳴り始め、ゴクリと無意識に唾を飲み込む

「まず~、イメージをして~自分の得意な魔法のイメージを~、炎が燃え盛るようなイメージでもいいし~、滝がドバーって流れるイメージでもいい、広大な大地でも、とにかく自分の得意な魔法をイメージできるようにするんだ、そしたらいつも通りに力を集める、全身に流れている魔力をかき集めるようにして~、それを背中に集めて~、もしくはお腹に集めて~、頭でもいいよ~、その後は手に流してもいいし、空中に流してもいい、重要なのはイメージ!イメージして~貯めて~解放~!!さぁ!やってみよう~!」

 ラインは話し終えると同時に両手を広げた

 シャラララ~

 周りにキラキラと雪の結晶がシャリシャリと現れる、まるでイルミネーションのようだ

 (えぇ!すっご、綺麗!あれできたら彼女できるかも、、)

 堺は「こぉ~」と息を吐きながらラインの魔法に感動していた

 教室の生徒もラインの魔法に「すげー」「きれい、、」と興奮をしている

 (よっしゃ!やってみるぞ!!)と心の中で叫んだ堺は闇魔法のイメージを想像する

 (闇、闇、なんだろう、お化け?いや、違うか、、闇、闇、、、ブラック、ブラック、、、、ブラックホール!!)

 堺はイメージをした、全てを吸い込むブラックホールを、光さえも飲み込む、ドス黒く全てを無に帰すブラックホールを想像した

 (イメージして~、全てを吸収するブラックホール、全身の魔力を集めて~、魔道具で感じたあのゾワゾワとした感覚、、)

 堺の体にゾワゾワと鳥肌が立っていく、そのゾワゾワ感を胸の前に集中させる

 (これか!これなのか!!もうはちきれそうだ、まるで呼吸を限界まで止めた時のように!!)

 堺は胸の中で溜まった何かを抑えきれずに解放した

「今だ!解放!!」

 堺は頭が酸欠のような状態になり、プツンと目の前が真っ暗になる

 そして、そのまま机にドタン!と頭をもろにぶつけて倒れ込んだ

 すると周りから叫び声がわずかな意識の中で聞こえる


 

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