11話 寮
11話
ガシャン!
門の扉が閉まる音がした
堺は扉の閉まる音にビックリして一瞬後ろを振り返りる
扉の音だとわかった後は前を見た
門の中は通路になっており縦幅、横幅が3メートルの正方形だ
通路は10メートルほど続いており、出口は見えるがその先は薄暗い
通路の両脇には2メートル間隔でランタンのような物が取り付けてあり、ランタンの中には白色に光っている玉が浮いている
「お~、ファンタスティック!」
堺はランタンを色々な角度からマジマジと眺めていた
すると、「早よこんか!」と奥から男性の声が怒った聞こえる
「は、はい、すいません!」と堺はダッシュで出口に向う
カツカツと廊下を走り、ゴールテープを切るように出口を駆け抜けた
「おーー!!」
目の前に広がったのは大きな壁に囲まれた空間だ
分厚くて高い壁が長方形の形になっている
屋根はなく、あい色と赤紫が混ざっているような空が美しい
門の出口から正面には大きな建物がある、東京ドーム2個分くらいの大きさだ
その建物は奥の壁にくっつくように建てられている
大きな建物の左右には、横に長いアパートのような物が、大きな建物の側面を見るように何列も並んでいる
まるで建物で四角形を作っているような感じだ
正面の建物と、左右の建物の空間には白いタイルが張り巡らされている
堺は「すげ~」とその場で棒のように立っていると、
「ぼーっとするでない!見習いはこの先をまっすぐ向かうのだ」
そう言って兵士は門から左にある大きなアパートに手を向けた
「1番奥の建物に向かうのだぞ!」
堺は「は、はい!」と焦りながらスタスタと奥にあるであろう建物に向かう
何かまた言われるかもしれないと思い、しばらく早歩きを維持していたが、だんだんと疲れてきたので後ろをスッと振り返る
兵士は門の出入り口をじっと見ていた為、「もう大丈夫だろう」と一息ついて早歩きをやめて歩き出した
「はぁ~、ふぅ~、それにしても、すっごいなぁ、、建物デッッカ、俺今日からここに住むってこと?まじか!まじか!!ウッヒョー!異世界生活サイコー!」
小声で喜ぼうと思ったがテンションが上がって声が大きくなる
すぐさま我に帰り、周りをチラチラと見て誰にも気づかれていないかを確認した
堺の歩いている方向の先には人が歩いており、それがタイトであると気づく、しかしタイトとの会話が長続きするとも思えない堺は、歩くスピードを若干おそくした
5分ほどチラチラと周りを見ながら歩いていると、最初の建物の前に着いた
その建物は長方形に長く、建物の左右に出入り口がある
出入り口の扉は両開きで、石造りのため重厚感がある
「おぉ~どっしりしてんなぁ~、どうやって開けんだこれ?」
堺はふむふむと眺めていると、
「何つったんでんだぁ?さっさっと行けや」
地面にベタァーっと響くような、男性のガラッとした声が聞こえる
堺の体中にブワーっと鳥肌が立ち、声がする方向を見ることができなかった為、左にくるっと体を向けて走っていく
その場から逃げる際に「す、すいません!」と震えた声を無理やり押し出すようにして謝りながら走った
建物を1つまた1つと過ぎていく
奥で歩いているタイトにだんだんと近づいた
声を出せばわかってもらえる距離に近づくと、堺は安心して先ほどよりゆっくり走ることにした
ジワジワとタイトとの距離を縮める
そのまま声をかけようかと思ったが、会話に自信がないため一定の距離を保ちながら気配を消していた
その間、下を眺めながらチラチラと上を向いて距離を確認しながら歩く、もし話しかけられても下を見ていて気づかなかったと言えるようにしているのだ
(うわぁ~、さっきの何!?めっちゃ怖かったんだけど!!とりあえずタイトの近くにいるし、ちょっと一安心、、)
堺はふぅ、ふぅ~と震えた息をポロポロとこぼす
先ほどの出来事があり、周りを観光せずにビクビクと背中を丸めて歩く
10分ほど歩くと最初にじっくり見た建物より劣化している長方形の建物が壁の近くに4棟建てられてある
外装がはげており、きれつが入っているのだが、掃除は行き届いているように見える
建物は2列2列で横に並んでおり、奥の壁に近い2列ある建物はコケやツルのようなものが生えている
「え、ここ?さっきみたいな綺麗な建物じゃなくて、ここ?」
並んだ建物の出入り口には人が2人立っている
タイトが2人に近づくと、1人が話しかけているのがわかる、すると数分も経たないうちに建物の奥に通されていた
堺もジワジワと建物の出入り口に向かう
建物付近にいる人に近づき、目が合う、が、不自然にそらしてしまう
「はーい、ストーップ、ちょっとこれに手をかざしてくれる?」
そう言って手に収まるくらいの水色の水晶を堺の前に片手で出す
彼は黒色の制服を着ており、銀色のピカピカしたボタンが縦に3つ付いている
横にいる彼も同じ制服を着ており、銀色のボタンが胸の上あたりに1つ付いている
(ちぎれたんかなぁ?、、)
堺はうーんともどかしい表情をうかべる
「あれ?ごめん、聞き取れなかった?この水晶に手をかざしてほしいんだけど、」
彼は少し困った顔をした
横の人がムッとなり、堺は「あ、は、すいません!」と勢いよく水晶を触った
「あー、触らないでほしかったな、」と水晶を持っている彼は苦笑いをこぼした
「え、は、す、すいません!」と堺は改めて水晶にソッと手をかざす
「えーっと、4番!だね、壁に面した奥側の建物に行ってきて、またそこで案内があるからさ」
そう言って彼は奥にある建物に指を刺した
「あ、ありがとうございます!」と堺はペコリ!とお辞儀をした、その後は小刻みに何度がお辞儀をしてその場から離れる
「4番ですって、見た目通りですね」横にいた彼はハハっとあざわらった
「そうだね、まぁ、すぐやめるだろうね」彼はニンマリと先ほどとあまり表情を変えなかった
堺は建物と建物の間にある道路のような白線を通って奥に向かう
「こ、ここか?、、」
明らかに先ほどよりも小汚い、コケが生えており、ツルがダラんと垂れている
建物の横には人が立っている、恐る恐る近づくと、
「やぁ、ようこそ、まずはここに手をかざしてね」
小柄な男性で、中学生と思うほどに若い
そして彼も同様に水色の水晶を持っていた、堺が近づくと両手ですくうように持っている水晶を胸の上まで持ってくる
堺がかざしやすいようにと配慮しているのだ
「あ、はい、」
シュワーっと水色のあわい光を放つと、
「えーっとね、20号室だね、この扉を入って1番奥だよー」
そう言ってジメジメっとしている建物に手を向けて案内してくれた
堺は開いている扉から室内を眺めた
「お、お~」
意外にも内装は綺麗に掃除されている
堺が室内に入ろうとすると、
「今日は集まりとかないからゆーっくりしててね、明日から本番だからしーっかり体力を休めるように、」
ニターとしている彼だったが、どこか安心感がある
堺は「あ、ありがとうございます!」と彼の優しさが身にしみた為、いつもより大きな声で感謝を伝える
彼はバイバーイと手をふにゃふにゃと振って先ほど同様に同じ方向を向く
堺は彼が振り返った後にちょこんと一礼をして、木製の廊下を歩く
廊下は両側に扉があり、その上に番号が振ってある
左側に1、右側に2と奥に進めば番号が上がる作りだ
壁は全体的に白いが、劣化のせいか少し黄ばんでいるところがある
扉はチョコレートのような茶色で、頑丈な感じだ
ドアノブは銀色で丸みを帯びており、鍵穴がない
とにかく横になりたいと思っている堺は、コツコツと廊下を進む
ズラーっと続く廊下の半分に差しかかった時に、20号室を見つけた
「こ、ここか、、」
茶色の扉の左側にある銀色のドアノブを触る
思った通りのツルツルした感覚だ
少しなでた後に、クルッとヒネる、すると、カチャっと音が鳴り、扉を引くことができた
中は薄暗く、ホコリの匂いがした
「電気、電気、、ってないか」
堺は不便だなぁとムッとした表情になる
だんだんと目が慣れてきて、部屋の中を改めて見る
部屋は正方形で、扉から正面の壁に横付けをするようににシングルベットが置いてある
その右側、ベットの足の方向に180センチほどのクローゼットが設置されている
部屋に入ってすぐ左にはボットン便所のような便器があり、穴の下は闇が広がっている
そして、そのさらに左の壁には、正方形のくぼみと仕切りがあり、その空間を囲うようにビニール素材のカーテンのようなテカテカした薄いものがぐるっと覆っている
「し、シャワーだー!」
堺は疲れた体を、たまったストレスを洗い流したいと思い、全裸になってシャワー室であろう場所にササっと入った
その中は人が1人、入れる空間で真上に四角形のシャワーヘッドのようなものが固定されている
水が出れば全身を流せるような大きさだ
「あれ?ボタンは、、これか?」
シャワーヘッドの下にボタンではなく水色の石板のようなものが置いてあった
ペチペチ、パチパチ
押したり叩いたりするが、一向に水は出ない
シャワーに胸をおどらせて全裸までなった堺は、水がまったく出ないがために腹を立ててしまった
「あ~くそ!」と、パチン!と強く石板を叩くと、
ジャワーっと冷水が出てきた
「冷えっ!!」
この場所から出たかったが、床が濡れることが嫌だったために、冷水に耐える
すると、だんだんと水の勢いが弱くなっていった
ポツポツ、、
「え、これで終わり?」
堺はペチペチ、パチパチと石板を叩くが、水はもう落ちてこない
(あー、そういえば、タオル、、)
クローゼットの中を見ればよかったが、その場にタオルがなかったために、仕方なくブルブルと頭を犬のように振って、先ほど脱いだ服を拾い、ギチギチと着る
部屋の中心に行き、改めて頭をブルブルと震わせた
床が濡れても自然乾燥に任せるつもりだ
精神的にも肉体的にも疲れた堺は1人用ベットにダイブする
ギシン!とバネではなく木がきしむ音がした
堺はベットを薄く覆っているホコリの匂いを気にせずに深い眠りについた




