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氷の華-クビ切り社畜、最強幼女に生まれ変わる-  作者: 東山スバル
シーズン2 鈴木ライナの憂鬱

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35/39

E35 覚悟を決めろ

文字数調整のため、いつもより文字数が少ないです


(なんで、正体を知っている……!?)


 スピーカーモードになっていたので、その声はライデンにも聞こえていた。

 それから数秒黙り込んだ後、ライデンが口を開く。


「……貴方は誰だ?」

『おれ? おれか、おれァ……イリヤ・パワーだ』


 電話の向こう側から聞こえる高笑いが、この男をあの〝イリヤ・ファミリー〟のドンとして判別して良いのか迷わせる。


『おいおい、ホントだよ。そんなに疑うなら、おれの場所を送ってやる』

「……ヒトをオチョくるのも、大概にしてよね」守原が答える。

『オチョくっているのは、オマエらのほうだろう。うちの特攻隊長が手負いで帰ってきたのって、オマエらの所為だよな?』男は更に高笑いを飛ばす。『まぁ、許してやるよ。おれの居場所に来てくれるのならな。ただ……人質がいる。ちょっと強く蹴っちまったみてぇで、そろそろ病院運ばねぇと後遺症が残るかもなぁ』


 電話は一方的に切られた。

 ライデンと守原は顔を合わせ、まず褐色幼女が答えた。


「罠、ですよね。これ」

「えぇ……。もし本当にイリヤだったら、他のピースメーカーも連れていきたいくらいよね」そこまで言って、守原はうなだれた。「いや……、イリヤ本人と交戦するには上の許可が必要だわ。〝超魔術師〟は大国の軍隊とも対等に渡り合える存在だから──」

「なら、私だけ行ってきます」

「え?」

「司令部の許可なんて待っていたら、理亜が殺されてもおかしくないですよね? 人命をみすみす見逃して、なにが治安維持ですか? 私は行きますよ」


 冷静かつ、しかし静かな怒りを感じる口調で言い放った。


「……分かったわよ。なら、私も行くわ」


 抱きつけと言わんばかりに、彼女は手を広げる。


「ライナちゃん、捕まって。全速力で行くわ」

「はい!」


 *


 廃工場にイリヤ・パワーはいる。それがフェイクで兵隊を送り込んで来なかったら、もうライデンと守原は往生するしかないだろう。


 守原は、ピースメーカーに支給される、魔力切断石の銃弾が入った拳銃をベルトとシャツの間から外した。イリヤの兵隊がいればほとんど役に立たないが、イリヤ単体であれば威嚇にはなるかもしれない。

 ふたりは無言で、裏口から工場のメインフロアを目指す。

 そして、


「おいおい、こっちは堂々と居場所くれたんだからよぉ、コソコソ隠れるな」


 カツカツ……という足音とともに、背後から先ほどの電話の声が聴こえた。


「なぁ?」


 その声の主は、廃工場内へ一斉に光りをともした。


「といっても、来てくれただけ感謝すべきだな。ほら」


 明るくなった廃工場の奥のほうに、理亜が謎の物体で縛られ放置されていた。


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