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氷の華-クビ切り社畜、最強幼女に生まれ変わる-  作者: 東山スバル
シーズン2 鈴木ライナの憂鬱

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E23 こんな時代だから

「お金は大事だもんね」

「うん。僕みたいな孤児には、特にね」

「孤児?」

「そうだよん。親が蒸発して、いろんな親戚の家たらい回しにされた挙げ句、今はピースキーパー用の寮に住んでる。ま、僕みたいな特殊な経緯を持つピースキーパーは多いからね~」


 あっさりと暴露したが、理亜は理亜なりに苦労しているようだ。そう思えば、父に正体を知られていて、守原という保護者がいるライデンは(傍から見れば)幸せ者である。


「子ども捨てる親なんて、外道も良いところだな」


 ただ、ライデンからすれば解せないものがある。彼女が彼だった頃、しっかり親より愛情を受けてきたから、余計に理亜のような子どもを憐れんでしまう。


「もういなくなったヒトのこと話しても、仕方ないでしょ。顔も思い出せないあのヒトたちは、きっと僕の親にふさわしくなかったんだよ」

「達観しているなぁ……」

「こんな時代だからね」


 理亜が言うように、今はひどい時代だ。魔法科学のおかげで日本の経済はある程度復活したが、そのとき起きるのは、なにも良いことばかりではない。貧富の差も拡大してしまうのだ。

 となれば、理亜のように見捨てられる子がいるのはある種当然の話である。


 それでも、当然だと分かっていても、ライデンはやりきれない怒りで拳を握りしめるほかなかった。


 そんな折、


『守原美夢』


 から着信があった。

 ちょっと電話に出る、と理亜に伝えてライデンはスマホをスワイプする。


「なんですか? 美夢さん」

 タバコを吐き出す音が聴こえる。『ねー、ライナちゃん。大見得切って開発部門から離れたのは良いけど、なかなかピースメーカーの配属先が決まらなくて暇だよぉ。こういうときってなにすれば良いの? 酒飲んでるタイミングで配属と仕事が決まるのも嫌だしさ~』

 ライデンは溜め息をつく。「知りませんよ。お酒とタバコ以外に趣味ないんですか?」

『ないよ。強いて言えば、仕事が趣味で生きがいだからね~』

「なら、配属先が決まったことは伝えておきます」

『マジ? ライナちゃんと私、いっしょだよね?』

「あとひとりいます。名前が宮居理亜。性別は……」一旦言葉を区切り、理亜へ向き直す。「性別、どっちなの? 顔とか骨格じゃ分からないよ」

『えーっ!? 幼女か可愛い男の子ってこと!? 超サイコーじゃん!!』

「えぇ。まぁ、顔は可愛いと思います。髪型の所為で目は見えませんが、全体的に整っているので──」ライデンのスマホを理亜が無理やり奪う。「こんにちは、守原さん。宮居理亜と申します。性別なんですけど、僕にそんな常識は似合わないので気にしないでください」

『こ、声が可愛いぃ……。って、良く分かんないけど、分かった!! 顔合わせ、楽しみにしてるね!』

「はい」スマホをライデンへ帰す。「とのことです。年齢は多分私と同い年くらいで、孤児でもあるようですよ」

『なら、私が料理作ってあげる!! その子、私の新居へ連れてきて!!』

 一旦マイクをオフにした。「理亜、紫色のカレーとか食べられる?」

「食べられると思う?」

「だろうね。でも、魔力は確実に上がるよ」

「魔力なら〝デバイス〟に耐えられるくらいあるから、必要ない」

「あぁ、そう……」

 マイクをオンにした。スピーカーモードだ。「すみません。理亜は予定があるようなので、また今度ということで」

『残念過ぎて酒飲みてぇ!! 幼女と中性な子とご飯食べたかった!!』

「では、私は一旦そちらへ戻りますね」

『え? そういえば授業は?』

「受けなくても良いらしいですよ。理亜がそう言っていました」

『理亜って呼ぶくらいだから、相当緊密な仲なんだね。美夢さん嫉妬しちゃうよ』


 言われてみれば、ライデンは名前を聞いたときから理亜を理亜と呼んでいる。親しみやすさのようなものがあるのだろう。


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