E21 第六感もライナちゃんを好きだと言ってます
「なら、美夢さんと私と理亜の3人ってこと?」
「美夢さん? 名前で呼ぶなんて、随分仲が良いんだね」
「そりゃあ、親代わりだし」
「親代わり? どういうこと?」
「他人のプライバシーを詮索するのは、良くないぞ。どっちか分からんけど、多分少年よ」
「見れば分かるだろうに」
「見ても分からないから、そう言っているんだよ」
理亜はややうなだれた。しかし、いくら見ても性別が分からないので仕方ない。
「んで、話を進めよう。私と君と美夢さんの3人組なんだよね?」
「うん。ピースメーカーはふたりまでピースキーパーを率いられるからね」
「そうか。じゃあ、理亜の使える魔法は?」
「第六感だよ」
「んん? シックス・センス?」
「要するに、感が凄まじく鋭くなる術式さ。感が鋭いと良いよ。FXで馬鹿みたいな勝ち方できるし」
「それって犯罪に当たるんじゃないか?」
「だからやらないんだよ。腐ってもピースキーパーの一員だからね」
魔法を乱用してカネを稼ぐのは、法律で禁止されている。1回2回であれば目を瞑ってくれるが、数十回もやればそれこそ魔術犯罪に該当してしまう。
あくまでも魔法は自分の人生を少し良くするためのものだし、この姿になる前のライデンのように、魔力を全く持たない者もいる。それらの不公平をなくすために、魔法の乱用は禁止されているのだ。
「まぁ良いや。理亜、私らが最初に受け取る仕事とか分かる?」
「そんなに仕事したいの? 趣味とかは?」
「あー、プラモ作るのとか趣味だったな」
「過去形」
「うん。もう3年くらい前に作らなくなったしさ」
「7歳くらいで飽きちゃったの……?」
理亜は怪訝な面持ちになった。
同時にライデンも、口を曲げた。28歳時代であれば25歳に飽きました、と言っても訝られないが、10歳だと3年前は7歳だ。更に、プラモデル制作が趣味の女児なんてなかなかいない。
「ま、まぁ。〝ギフテッド〟なら、なくもないか」
ある種の魔法の言葉を使い、理亜が軌道修正してくれた。そう、今のライデンは傍から見れば天才児の一種。そんな幼女が奇妙なことを口走っても、あまり不思議には思わないものだ。
「あー、そうだな。帰りプラモ買っていこうかね」
「〝宇宙機器ロボット〟シリーズとかのヤツ買うの?」
「いや、戦闘機や戦艦のプラモだよ。あれ、塗装大変なんだよね。というか、塗装具も買わなきゃ、だな」
「……もしかして、お兄さんとかいる?」
「あぁ、いるけど」
「お兄さんの趣味だったりしない?」
「そうだね。兄が買ってきてくれるから、作っていた」
兄というのはライデンそのものだが、今のライデンはライナという幼女だから、こういう言い訳が通じてしまう。
「良い趣味してますね、って伝えておいて」
「なんで?」
「プラモデルは僕も何個か作ったことあるけど、どれもすでに色分けされてるものだけだったから、塗装もされていない戦闘機とか作るのって大変そうだなぁって」
「あぁ。まぁ、そうかもね」やっぱりぶっきらぼうだ。
「んでさ、本題に入って良い?」
「本題? 本題もなにもないでしょうに」
「いやいや、聞けば分かるよ」
「じゃあ聞こう。なに?」
「僕、ライナちゃんのことが好き」
いきなりなにを言い出すのかと思っていたら、ライデンは奇妙極まりない衝撃を受けた。金髪褐色の幼女は、同い年くらいの少年に付き合ってくださいという旨の告白を受けたのだ。
「はぁ? どこに好きになる要素があるんですか?」
「一目惚れ。なんか、初めて見たときから電流が走ったんだ。第六感もそう言ってるしね」




