表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷の華-クビ切り社畜、最強幼女に生まれ変わる-  作者: 東山琉生
シーズン1 社畜青年はおしまい
2/38

E2 限界OL? の登場

「はぁ?」


 なにが起きたかさっぱり分からず、ライデンは錯乱気味に立ち上がる。そうしたら、スラックスとパンツが落ちてしまった。あられもない姿になってしまい、余計に慌てながらライデンは風呂場の鏡の前へ向かう。


「へぇ?」


 目が痛くなるほどの長い金髪、自身の生活とは対照的に運動好きそうな褐色肌、緑色の目、フランス人形のように整った顔立ち。ワイシャツで大事なところは見えなくなっている。


「……どういうことだよ、って声も高くなっているし」


 鏡に映っていないのだから当然だが、喉仏もなくなっていた。くたびれた無精ひげも同様である。


(あのデバイスの所為か? とりあえず、ちゃんと見てみよう)


 ライデンは先ほどのデバイスの元へ向かう。足が小さくなっていて、身体も縮んでいるためか、狭苦しいはずの部屋が妙に広く感じた。


 とまぁ、そんなことはどうでも良い。ライデンはデバイスをパソコンで読み取り、しっかり説明書を読む。


『発現魔法:逆成長。効能:若返りの魔法を実用化させたシステムである。ただし現段階ではバグが多く、未完成品でもある。そのため、使用には充分注意すること。主なバグとしては、任意の年齢に若返れない、性別が入れ替わるなどがあげられる。現状では、魔力が少ない者ほどその制御が難しい』


 言葉が出ず、ライデンは唖然と手を口に当てることしかできなかった。


「なんだよ、それ。嫌がらせみたいなものじゃねぇか……」


 注文した覚えなんて、あるわけがない。こんな副作用まみれのデバイス、普通は購入もできないはずだからだ。それなのに、ライデンは今まさにこのエラーだらけのデバイスを手にして、実際幼女化してしまった。


「…………、女児用のパンツとズボン買うか」


 もはや自暴自棄だ。注文したら3時間以内にドローンが届けてくれるというサービスを使い、ライデンは10歳児用のパンツとズボンを買った。


 それからなにもせず、ベッドの隅でボーッと時間が過ぎるのを待っていると、


 スマホに通知が届いた。どうやら、もう荷物が来たらしい。実際のところ3時間はかかっているため、完全にヤサグレ気味のライデンだが、それでも彼、基彼女は宅配ボックスへ向かう。一瞬外へ出ることになるが、まぁ隣人もいないだろう。幼女化した姿を見られるという、悪夢みたいなイベントを回避できるくらいのツキは残っているはずだ。


 と、思っていた時期がライデンにもあった。彼女が外へ出た瞬間、名前も知らない隣人が帰宅していたのである。

 キツネ顔というヤツだろうか。いかにも仕事ができそうな女性だった。

 彼女は一瞬面食らったような表情になるが、すぐにライデンの元に駆け寄ってきた。来なくて良いのに。


「えーと、鈴木さんの妹さん? でも確か、あのヒト日本人だったような……」


 こうなれば、もう詐欺罪を覚悟で騙し切るしかない。ライデンは子どもらしく愛らしい声で、告げる。


「いえ、私と兄は血がつながっていないんです。親が再婚しまして」

「そ、そうなの? じゃあ、お兄さんは?」


 さて、どんな嘘をつく? もっともそれらしい嘘をついたほうが、後々楽だ。


「実は、お父さんとお母さんが喧嘩し始めて、お兄ちゃんの家に逃げてきたんですけど……お兄ちゃんもここにいなくて。私、これからどうなっちゃうのかなぁ」


 ちょっと涙ぐんで、ライデンはそう言った。

 ひとまず、この場をしのげれば良い。携帯電話を見て親の喧嘩が収まりました、とでも言えば、彼女も幼女になったライデンがいなくなったことに納得するだろう。もっとも、即座に親を説得して実家に帰る必要が出てきたが。


「それは……大変ね。ねぇ、良かったらお姉さんの家に来る? お腹すいたでしょ?」


 確かに空腹だが、兄という設定になっている存在のワイシャツを着ていることへは、なにも思わないのだろうか? もしかしてこのヒト、相当な天然か?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ