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氷の華-クビ切り社畜、最強幼女に生まれ変わる-  作者: 東山ルイ
シーズン1 社畜青年はおしまい
19/39

E19 猪突猛進の意気込みで

(強盗犯はふたり組。まずは……〝幻獣型〟でなければできない術式を使うべきだな)


 強盗犯ふたり組、男女ペアが銀行から出ていく最中、ライデンは一瞬で思考を固めた。


「〝雪女〟の力って、どこまで使えるのかな……」


 小声で呟きながら、ライデンは自身の魔力を探る。すると、指先から冷気が漏れ出してくるのが分かった。


(よし、これなら……!!)


 ライデンは地面に手をつき、一気に氷の道を作り出す。すると予想通り、強盗犯のふたりは滑って転倒。しかし男のほうは、すぐさま魔術で氷を溶かそうとする。


(火属性か。だけど……)


 男が放った炎は、むしろ氷を強化してしまう。並大抵の火では、取得に時間のかかる=強力な〝幻獣型〟の餌食にされてしまうのだ。


「な、なんだ? この氷は!?」

「待って、あれを見て!!」


 女が指差した先には、金髪褐色の少女が立っていた。


(せっかくだから、演出も付けてみるか)


 ライデンは両手を広げ、周囲の温度を急激に下げていく。すると白い霧が立ち込め始め、視界が悪くなっていく。


「クソッ、〝幻術型〟の霧魔法か!?」

「違う! これは──」


 女が言いかけたところで、ライデンは一気に近づく。スタンガンを男の首筋に当て、一撃で気絶させた。


「ちょっと!!」


 女が魔術を展開しようとするが、すでに遅い。霧の中から現れた少女の手には、最前のスタンガン。ただ弾は切れていた。

 となれば、それを投げてしまおう。それは女の顔面に命中し、ライデンの魔術によって弱っていた彼女も意識を失ってしまった。


(よし。これで──)


『試験終了』


 ゴーグルを外すと、先ほどの壮年男性が微笑んでいた。


「見事だね。普通の受験生なら、魔術で派手に戦おうとするんだ。でも君は、与えられた道具を上手く使いこなした。そしてなにより──」


 男性は一呼吸置き、


「〝幻獣型〟の力を完璧にコントロールできている。君は合格だよ。特待生級の天才児だ」

「特待生?」

「あぁ。〝大魔術師〟として君を迎え入れようと思ってる」


 ライデンの顔が、やり遂げたことで出てきた笑みから、少し怪訝なものへと変わった。


(〝大魔術師〟っていったら、一国の軍隊とやり合えるって聞いたな……)


 魔法使いには、序列というものがある。それらは5段階に分けられ、強さだけでなく人格や教養を問われるときもある。

 序列は弱い順から、一般人→魔術見習い→魔術師→大魔術師→超魔術師……と続き、ライデンは2番目に高い評価を得てしまった。つい数日前、魔力不足でクビになったことが嘘みたいだ。


「10歳の〝大魔術師〟など前例もないが、歴史は常に前へ進み続けるのだよ。ライナくん」男性はライナの目を見る。「しかし、どうも君は大人っぽいというより、大人にふさわしいだけの思考能力を持っている。なにか隠し事がありそうな雰囲気だな」


 ライデンは口を曲げ、


「隠し事があったとして、それを話す義務はありますか? 小生意気なことを言っているのは、重々承知ですが」

「ないな。だからひとつだけ言っておく。自分の嘘の重たさに潰されるくらいなら、いっそ暴露してしまったほうが良いぞ。それほどの才能があるのだから」


 という会話をしていたら、

 保護者代わりの守原が現れた。


「ライナちゃん、どうだった?」

「〝大魔術師〟に認定されました、美夢さん」

「へ?」

「詳しい話はいっしょに詰めていきましょう。私たちはまだ、スタートラインに立ったばかりです」


 さぁ、リスタートだ。二周目の人生、モノにしてやろうじゃないか。どうせ失うものなんてない。甘えたければ甘えれば良い。なら、猪突猛進くらいの意気込みで行こう。


シーズン1、おしまいです。シーズン2をお楽しみに!!



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