027:クラブ・ドミニオンの闇を暴け:SNSが導く潜入の糸口
スマホが震えた。
短い通知音。車内の沈黙を割る。
ジョージは2本目のプロテインバーを噛みながら、画面をスワイプする。
差出人はヴィンセント。
[クラブ・ドミニオンの調査結果、まとめた。確認しろ]
ジョージはコーヒーを口に含み、もう片手でPDFを開く。
画面に流れる文字を静かに追った。
◇
■ クラブ・ドミニオン:調査概要
【1】基本情報
オーナー:ビル・キングスリー
所在地:ホロウェイ地区(高級クラブ街の一角)
表向き:合法ラウンジバー
裏の顔:ドラッグ取引、売春、マネーロンダリングの拠点と目される
客層:富裕層/ギャング/警察・政治家系のパトロンあり
【2】キングスリーの関与
クラブの所有権は名義上キングスリー個人
背後にマフィアとカルテル系の資金流入の可能性
最近、性産業に注力。「面接」と称して女を選別
→ 行方不明者が複数
【3】スタッフ構成
バーテンダー/ホステス:
VIP専属ホステスは“キングスリーの私物”と化している
一部、顧客への肉体接待を強要されている疑い
セキュリティ:
元軍人・元警官を雇用
特にVIPルームとオフィス周辺は監視が強化
クラブマネージャー:
キングスリーの右腕
スケジュールとVIP対応の調整役
【4】施設・セキュリティ情報
フロア構成:
1階:一般フロア/バー
2階:VIP専用(賭博・プライベートルーム)
3階:キングスリーのオフィス・居室
地下:非公開
セキュリティ:
監視カメラ多数
オフィス入口は電子ロック+常時警備
搬入口1、非常口2(VIP脱出口の可能性)
【5】キングスリーの不在パターン
月曜/木曜:性産業関連の外部「面接」で不在
金・土:必ずクラブ内に滞在
平日14〜16時:会食のため外出
【6】危険要素/注意点
裏切り者・証言者の排除が速い
VIP客に法執行関係者の可能性
クラブ外での張り込みは、即バレのリスクあり
オフィス侵入には警備のシフト解析が必須
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ジョージはPDFを閉じ、画面を伏せた。
息をひとつ吐き、背もたれに頭を預ける。
── ただの娯楽施設じゃない。
そんなことは、とっくに分かっていた。
問題は、どう侵入するかだ。
“月曜か木曜”
キングスリー不在。
狙うなら、このタイミング。
セキュリティが緩むとすれば、
開店前の準備時間(17時前後)か、
深夜の閉店後(4時以降)。
だが、動くにはまだ材料が足りない。
内部に詳しい人間の証言。
とくに、警備側──元ボディーガードの情報が必要だった。
今朝DMを送った3人のうち、誰か一人でも喋ってくれれば。
それが突破口になる。
そのとき。
スマホの通知がもう一度震えた。
ジョージはコーヒーを口に運びながら、
無言で画面をスワイプした。
── 誰だ。
── どこまで喋る気がある?
視線はスマホに向いたまま、
脳内ではすでに「次の一手」を組み始めていた。




