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豪徳寺弥彦と15人のフィアンセ  作者: 水野葬席
【第一章・Ⅰ】
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【47話】対峙・本当の敵

弥彦(やひこ)


日曜の昼下がり、愛依(あい)果音(かのん)真子(まこ)(らん)、そして(りゅう)さんがお見舞いにやって来た。

昨日の凪乃(なぎの)の件もあるし誰かには来てもらいたいと思っていたので助かった。

5人全員が浮かない顔をしているのはきっと同じ理由だろう。


「お久しぶりです。来ていただいてありがとうございます。」

俺はそう言って龍さんに頭を下げる。


「いや、礼を言うんはこっちの方や。でも、その前にな……。」

龍さんは微妙という言葉が余りにも似合う面持ちで俺を見る。

怒っているようにもそうでないようにも見える。


「豪徳寺君、君は禍神(まがみ)福蔵(ふくぞう)とはどういう関係なんや。」


いきなり本題に切り込んできた。話が早くてありがたい。

そしてその質問に対する答えは1つしかない。


「昨日彼が1度面会に来ました。それが初対面です。」

昨日の凪乃みたく豹変するだろうか。だとしても他に答えようがない。


俺の懸念をよそに、5人の目は俺の答えを聞いた途端に見開かれる。

「……自分、それは本当なんやろうな?嘘ちゃうよな?」

龍さんが念を押すように聞いてくる。


「嘘をつく理由がありません。早々にお引き取り頂きました。」


龍さんの目を見て答える。なるべく思いが伝わるようにと。

彼は俺の答えにハッとした顔を浮かべた。

伝わっていると思いたい。


俺は更にテレビ台の引き出しから禍神の名刺を取り出す。

もしかしたら説得力を増してくれるアイテムかもしれない。

「これを。昨日渡された彼の名刺です。」


龍さんはそれを受け取りまじまじと見つめ、そして呟く。

「……うん、間違いないな。」


「……ってことは結局、凪乃の勘違いだったってこと、だよね?」

俺と龍さんのやり取りを横から見ていた真子が口を開いた。

……勘違い?凪乃は何か勘違いをしていたのか?

何にせよ誤解が解けたらしいのは良かった。


「ああ、せや。うん、ワシは自分を信じるで。」

俺にそう言う龍さんの顔は付き物が取れたように晴れやかだった。

成程、部屋に入って来た時点で彼らは俺に何か疑惑を持っていたらしい。

それがどういうものかはともかく、少なくとも今解消されたようだ。


愛依、果音、真子がそれぞれに顔を見合わせて胸を撫で下ろした。

「勘違いで良かったぁ~っ。」

「うん、本当に。」

「じゃあ姉妹(みんな)にも言わなきゃね。特に凪乃には。」


愛依は心底嬉しそうだ。

果音は涙を浮かべていた。そんなに重い疑惑だったのか。

真子は早速スマホを取り出してメッセージを打ち始める。


「それがどうかしたか……って凪乃に答えたのは何だったの?」

質問は蘭。その表情を見るにもう俺を疑ってはなさそうだ。

そして彼女が出した俺の答えは凪乃を豹変させたものだ。


蘭の口から今一度俺の答えを聞いて俺の中で点と点が繋がった。

成程、この答えは疑惑を持った人間には間違って受け取られるよな。

どうやらこれが俺のミスだったらしい。不親切だったと猛省する。


「この部屋から禍神福蔵が出て行くのを見たって言われたから、俺はそうやって答えた。そしたら凪乃、目に見えて怒り出して、挙句には泣き出してな。俺の答え方が悪かったよ。」


「何それ。完全に凪乃の早とちりじゃない。全くあの子ったら。」

「でも凪乃の気持ちを考えたらね…。今回は勘弁してあげてほしいなあ。」

果音は俺を擁護してくれた。愛依は俺に容赦を求める。


「勘弁も何も、別に俺は怒ってないから良いんだけどさ。」

誤解は誰にだってあるものだ。そんなものを一々怒っていてはキリがない。

一番忌むべきは凪乃ではなく誤解そのもので、そしてそれは解消された。


一段落付いた所で俺からも聞きたいことがある。

そう言おうとした時、病室のドアがノックされた。

「……?どうぞ。」


扉を開いて現れたのは、今このタイミングで一番会いたくない男だった。


◇禍神福蔵◇


「なっ……!?」

思わず声を上げてしまった。ワシは夢でも見ているのか?


「よ、ようオッサン、久しぶりやな。何しに来たんや、ドアホ。」

腹立たしい夢原(ゆめはら)龍の憎まれ口すら、この光景では有象無象の雑音。

織姫(おりひめ)愛依、そして七つ子……!!」

知らない女が一人いるがまあいい。


凪乃(クソガキ)以外との顔合わせは初めてのハズだ。しかし彼女らはワシを睨む。

手を回していない方が不自然と言うべきだが、やはりこうなってしまったか。

豪徳寺のガキも同じ目をしている。入れ知恵か。余計なマネをしてくれる。


「あんたが……禍神!!」

愛依はワシを殺さんが勢いで見やる。やはり躾がなっていないのは変わらんか。

「凪乃と一緒か。礼節を教わらなかったようだな。目上に対する口の利き方を。」


恐らくもう何も隠す必要はない。だとしたらやりやすいものだ。

手段に気を遣うのはまどろっこしくて好かん。わかりやすい方がワシも好みだ。

暴れたとてこの病院での出来事など幾らでも書き換わる。


「おい大鵺(おおぬえ)、【狗虎會(ヤツら)】に人を集めさせろ、今すぐにだ。ここに呼べ。」

「御意。」

6月から8月まで話数整理の為、金曜日に加え日曜日も更新します。


※5月31日追記

次回更新は6月7日(金)になります。

よって6月2日(日)の更新はありません。

日曜日更新は9日(日)以降の週になります。

紛らわしい書き方をしてしまい申し訳ありません。

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