表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きだった幼馴染に告白されたが嘘告だった日、ヤケクソになって一人公園で遊んでいる幼女と一緒に遊んであげたらその幼女が同じ学校の天使様の妹だった  作者: テル
第二章 両片思いじれじれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/54

第五十四話 これまでとこれから

「琴美のことが好きです。俺と付き合ってくれませんか?」


 柚衣は琴美に目を合わせて言った。


 正真正銘の心からの告白。


 柚衣の胸の鼓動は徐々に加速していく。

 告白とはこんなに緊張するものなのか、と柚衣は認識させられる。


 琴美が返事をするまでの時間が柚衣にとってはとても長く感じられた。


「......私も柚衣くんが好きです。だからいいですよ、私で良ければお付き合いさせてください」


 琴美はそう言って若干目を潤ませる。

 

 柚衣が現実を飲み込むには少し時間がかかった。

 約半年間の恋、柚衣にとっては数年間のように感じられるくらい充実した日々。

 それが今実ったのだから。


「じゃ、じゃあこれからよろしく......お願いします」

「は、はい......こちらこそよろしくお願いします」


 琴美はそう言うと顔を赤くして、目を逸らす。

 その仕草がいつもよりも柚衣にとっては愛おしく思える。


「琴美、ハグ......してもいい?」

「ど、どうぞ」


 柚衣は琴美を優しく抱きしめる。

 心の容器は恋愛感情でもうすでに満たされており、溢れ出している。

 それだけ幸せで夢にまで待ち望んでいた時間。

 

「......てっきり柚衣くん、私のこと好きじゃないのかと思ってました」


 しばらく黙って抱き合っていると琴美が喋り出す。

 

「それは俺も......正直、友達としてしか見られてないのかなって」

「ふふ、お互いすれ違っていたんですね......でも私、結構アピールしてましたよ?」

「例えば?」

「軽いボディータッチとか......大胆なもので言うと膝枕とか」

「......いつものからかいも?」

「それもそうですよ......私が柚衣くんの照れている姿を見たいというのもありましたけど」


 琴美のからかいのせいで柚衣の心臓はたびたびはち切れそうになっていた訳だがどうやらわざとだったらしい。

 それはそれで困る訳なのだがそれに気づかない鈍感すぎた柚衣も悪い。


「ちなみにいつから好きになってくれたんだ?」

「恋愛感情を抱き始めたのはもっと前でしょうけど明確に柚衣くんのことが好きだなってわかったのは多分バレンタインくらいからです」

「そっか......待たせてごめん」

「謝らなくていいですよ。結果的に彼女としてこれから柚衣くんの側にいられることになったので」


 しばらく経った後、琴美もそろそろ帰らなければならないだろうと思い、琴美から腕を離す。

 琴美も同じように腕を離した。


 けれどお互いの距離は未だに近いままで、琴美は柚衣の服の裾を握った。


「時間だし、家まで送ってくよ?」

「......いえ、もう少しだけここにいたいのですが、ダメ......ですか?」


 流石に断れる訳もなく琴美が良いなら柚衣も問題ないので二人はソファに座る。


「なんか......変な感じだな」

「そうですね。具体的に恋人同士になったにしても何をするのでしょうか」


 柚衣は恋愛経験がないので恋人同士ですることと言ってもあまり思い浮かばない。

 しかし無理に恋人らしいことをしようとして気まずくなることは避けたい。


「......たしかに。とりあえず友達の延長線みたいな感じでいいんじゃないか?」

「ですね......彼女になったので柚衣くんと色々やってみたいことはありますけど」

「色々?」

「ま、まだ早いですけど、き、キス......とか、もっとデートしたりとか......」


 琴美の顔が赤くなるだけでなく柚衣の顔もつられて赤くなってしまう。

 想像すればするほど赤くなるのでキスのことはあまり考えないようにする。

 キスはお互いにまだ早い。


「そ、そうだな、俺もデートとかはもっとしたい」


 恋人同士になった分、もっと一緒に過ごす時間も増えるだろう。


 そんなことを話しながら気づけばもう時間は十八時になっていた。

 いつもとは違う会話で、少し気恥ずかしくて、それでも幸せを感じられる会話。


「じゃあそろそろ帰りますね。長居してすみません」

「全然、一人暮らしだし」


 柚衣は靴を履いて一緒に外へ出ようとすれば琴美に止められる。


「まだ日も落ちていないですし、一人で帰れますよ?」


 たしかに冬の時期は辺りが暗いので送っていたが今は夏だ。

 故に一人で帰れるだろうし、少し遅くなったとはいえまだ日は落ちていない。

 しかし別の理由もある。


「いや、俺がギリギリまで一緒にいたいだけだから」

「そ、そうですか......」


 普段言わないようなセリフを言っているので柚衣も後から羞恥が押し寄せてくる。

 一方で琴美の方も顔を赤くして、柚衣から目を逸らす。


「こ、恋人同士だからと言っても調子に乗ってあまりからかわないでください」


 琴美はそう言って口を尖らせる。

 どうやらからかっていると思われたらしい。


「ごめん......けど本音」

「嬉しいですけど、そ、そういう問題じゃないです」


 一気に関係が変わったからか、ぎこちないし、慣れない。

 しかしこれから探っていけばいい。


 時間の流れも以前よりはるかに早く、話しながら歩いていればあっという間に琴美の家に着いていた。


「では改めて、明日からよろしくお願いしますね、柚衣くん」

「こちらこそよろしく、琴美」


 柚衣がそういう言うと琴美ははにかんで笑った。

 その笑顔が柚衣の脳裏に焼き付いて離れなかった。

 

これにて本編完結です!

アフターストーリーを何話か投稿しようと思っているのですが本編はこれで終わりです。

後書きあまり書かない人ですが少し書かせてください。

柚衣くんは初期の頃と比べてだいぶ成長しましたね。

琴美ちゃんも柚衣くんの前では素を出すようになって今では天使様の面影は全くないです。

色々とありましたが何はともあれ付き合う形になってよかったです。

二人の恋はこれからも続きます。

その中には楽しいこと、幸せなことだけじゃなくてすれ違いだったり困難もあるでしょうけど頑張ってほしいですね。

本編は完結しましたがアフターストーリーが気になる方は、もうしばらくお付き合いください。

ここまで見てくれた読者の皆様、ブックマーク登録や評価等してくれた方々、ありがとうございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 一気読みさせて頂きました。 面白かったです。 是非、アフターストーリーも読ませて頂きたいと思いましたので、更新楽しみにしてます。 [気になる点] 途中、遼君がニヤニヤと主人公を冷やかす…
[良い点] 本編完結お疲れ様でした。やっと勇気を出して言ったね!
[一言] 本編完結までお疲れ様でした。 どのお話のときも次の更新が楽しみになるほど面白く、毎回キュンキュンさせていただきました。 アフターストリーが楽しみで仕方がないです。 毎話、楽しませてくれる小説…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ