第五話〜助っ人〜
レオに指示され訪れたのは、地方の山奥だった
「本当にこんな所に人が居るのか?」
『間違いないよ、でも気をつけてね、彼結構荒っぽいからさ』
「はぁ…了解」
しばらく歩き続けると、少し開けた場所に建てられた古びた小屋を見つけた
「…本当にあった」
扉を軽くノックすると、中から男の声がした
「誰だ、こんな所に」
「話がある、レオからの使いだ」
「…レオだと?」
足音がして、中から男が姿を現す
見上げる程に大柄なその男は、紅刃をじっと睨みつける
「あの男はとっくに死んだ、違うか?」
「あー…これを見せれば伝わるって聞いたんだが…」
紅刃は男にレオから預かった手紙を差し出す
手紙を受け取った男は内容に目を通すと、手紙を握り潰す
「めんどくせぇ、帰れ」
「おいおい、それは困るって!協力してくれねえと大勢の死人が出るかもしれねえんだぞ!」
「はあ…テメェ、俺が何者かレオから聞かなかったのか?」
男の身体から濃厚な…死の魔力が吹き出す
「魔術?にしてもこれは…」
「自己紹介してやる、俺の名はレト・トワイライト…《死霊術師》だ」
レトの足元に漆黒の魔法陣が広がる
「人が死ぬから何だ?死んだら俺の下僕になるだけだ」
「テメェ…本気で言ってるのか?」
「さあどうだろうな?試してみるかァ!《死霊魔術》!」
魔法陣から次々と死霊の群れが這い出してくる
「チッ!」
慌ててナイフを取り出し、聖属性の印を刻む
「ほぉ、おもしれぇ技を使うんだなお前…もっと見せてくれよ!」
死霊達と共にレトが紅刃目掛けて迫る
紅刃はナイフを振り下ろすが、刃をレトに掴まれる
「なっ!素手で!?」
ナイフを掴んだレトの手から肉が焼ける匂いと共に煙があがる
「なるほど、俺には相性が悪いみたいだな!」
レトはナイフから手を離し、紅刃の腹に蹴りを入れる
「ぐぁっ!」
「だが、これだけじゃあ俺には届かねえよ」
紅刃に迫る死霊をナイフで斬り払い、立ち上がる
「テメェ、人間にしちゃあ結構丈夫じゃねえか!」
「ああ…まあな」
「その顔、昔の知り合いみたいで…」
レトが何かに気がついた様子でじっと紅刃を見る
「…お前、名前は?」
「…番 紅刃だ」
「ツガイ…そういう事かよ」
レトがそう呟くと周囲の死霊達が霧散する
「めんどくせぇが、今回だけはレオの奴に協力してやる、連れて行け」
「…どういうつもりだ?」
「…テメェの御先祖様に借りがあんだよ、大した借りじゃねえが…まぁ利子込みで今回手を貸してチャラにしてやる」
「…わかった、結構遠いから…良ければ俺の御先祖様って人の話を教えてくれないか?」
「ああいいぜ?耳の穴かっぽじってよく聞けよ?」