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第一話〜過去からの贈り物〜

かつて不可思議で奇妙で異端だと恐れられていた特殊な能力や魔術の原理が解明されそれ等が科学として再分類されてからはや数十年、世界中の科学者達の関心は新たに発見された遺跡から出土した巨大な機械に向けられていた


それはまるで巨大な人のような…さながらアニメに出てくるロボットのようだった


2機発見されたそれ等は表面に刻印された識別名と思われる文字から取り、【A.V.E.L】と【C.A.I.N】と呼ばれた




〜〜〜




A.V.E.LとC.A.I.Nの発見から数ヶ月後の日本、人々を脅かす妖を退治する事を生業とする1人の青年が居た


彼の名は【番 紅刃(ツガイ クレハ)


彼は普段は自宅と私有地である裏山の見回りをしながら妖退治の依頼が来るのを待っている


そんな如何にも由緒正しきといった風な生活の彼だが、かといえば現代科学に疎いかと言えばそうでも無くバリバリの現代っ子であった


人並みの少年時代を過ごした彼はA.V.E.LとC.A.I.Nという機体のニュースを初めて見た時からその虜であり、研究成果が新たに発表される度に目を輝かせていた


今日の見回りを終え自宅に帰ると、姉の【番 蒼火(ツガイ ソウカ)】が夕食の準備を終えた所だった


「紅刃、お帰り」


「ただいま、今日の夕飯は?」


「鰹のたたき、それとコレ」


蒼火が冷蔵庫から缶ビールを取り出す


「りょーかい、先にシャワー浴びてくる」


「はーい」




〜〜〜




夕食を終え2人でバラエティ番組を見ていると、突然テレビからブゥゥゥゥンとアラートが鳴り響き画面に速報が流れる


『【速報】研究中のA.V.E.LとC.A.I.Nが突如稼働し研究所を破壊、C.A.I.Nが高速で日本に接近中』


「はぁ!?」


画面がバラエティから慌ただしく人が動き回るテレビ局に切り替わり、キャスターが分かっている状況を説明している


唖然としながらテレビを見ていると、遠くから爆発音が聞こえてきた


「ねぇ…今の裏山の方じゃなかった?」


「…見てくる!」


「ちょっと紅刃!」


引き留めようとする蒼火を背に裏山までの道を駆ける


その数分の道程の間にも断続的に爆発音が鳴り響いていた


その音の発信源にたどり着くと、巨大なロボットが空から地面に向かって爆発物を発射していた


「C.A.I.N…本物かよ」


さらに数度の爆発の後、C.A.I.Nが地面に降り立ち…こちらを向いた


「なっ…やべっ!」


慌てて妖を退治する際に使用するナイフを取り出し、印を刻む


「…って、あのデカブツ相手でナイフ1本かよ…」


C.A.I.Nが手に持つ銃をこちらに向ける


その銃が火を噴く直前、先程までC.A.I.Nが開けていた地面の穴からC.A.I.Nよりふた周り程小さなロボットが飛び出してきた


それ等はC.A.I.Nに飛び付き空へと飛び上がる


『そこの君!早くこっちに!』


「は?何処から…」


『こっちだよ!』


声のする方を探すと、先程小型のロボットが飛び出してきた穴の底からだった。よく見れば地面の下に何か施設があるのか入口のようなものが見える


「ああもう訳わかんねえけど…行くしかねえか!」


覚悟を決めその穴に飛び込む。

施設の入口を通過したあたりで不自然に速度が落ち、地面にゆっくりと着地する


『やあいらっしゃい、君は紅刃君で合ってるかな?』


「その前に姿を見せろ、あと事情の説明も求める」


『姿を見せろと言われてもねぇ…僕はただのプログラムだから実態は無いんだよね、強いて言えば君が今立ってるこの施設が僕だと言えるかな』


「…そんな映画みたいな事あるのかよ」


『あるんだよねぇ、それと事情の説明もって話だけど…少し時間が無いんだよね』


再び爆発音が聞こえ、施設が揺れる


『C.A.I.Nの目的はここの破壊みたいなんだよね、どうやら何者かに操作されてるみたいでさ』


「狙われる覚えがあるのかよ?」


『これでもこの施設を作った僕のオリジナルは天才だからね、だからこういう時の対策もあるんだけれど…少し手伝ってくれるかい?』


「何をすればいい?」


紅刃がそう答えると近くの壁が開く


壁の向こうにあったのは、A.V.E.LやC.A.I.Nのような巨大な人型のロボットと同型だがふた周り程小型の複数のロボットだ


『君にはあのロボット…【S.I.G.M.A】に乗って欲しいんだ。アレは…まぁ細かい説明は良いや、乗ってくれるだろう?』


「当然!」


何が何だか分からないがこんな機会一生に1度あるか無いかなんだ!


S.I.G.M.Aのコックピットに乗り込むと、不思議と操縦方法が頭に流れ込んで来た


「おおぅ、何か変な感覚だなコレ」


『すぐに慣れるさ、それより来るよ』


S.I.G.M.Aの操作はとても直感的なものだ。見た目はアニメによくある座って操縦桿を握る形だが、機体が身体のように自由に動くのだ


更に機体に搭載された武装も全て手に取るように扱える


背部に搭載された重力軽減ユニットを起動し、施設を飛び出しC.A.I.Nに掴みかかる


『君の任務はC.A.I.N機の無力化だよ、機能を停止させれば後はこっちでコントロールを奪取出来る』


「りょーかい、行くぜ!」


S.I.G.M.Aの主力武装、民家程の長さのナイフを手にし振りかぶる


『ああ、ちなみに注意事項だけれど』


C.A.I.Nが空中で突如高速で回転しS.I.G.M.Aを振り払う


『S.I.G.M.AよりC.A.I.Nの方が機動力は上だよ』


「それ先に言ってくれねえかな!?」


考えてみれば速報が流れてからすぐに此処に辿り着いたんだ、それは想定するべきだった


「じゃあどうするんだよ」


『その機体、S.I.G.M.Aの特色は【自由】だよ、君が出来ると思えばS.I.G.M.Aは応えてくれるよ』


「なんだよそれ…ああ、そういう事か」


S.I.G.M.Aが俺の疑問に答えるように俺の頭に情報を流し込んでくる


「行くぜS.I.G.M.A!」


S.I.G.M.Aが手にしている大振りなナイフがドロリと溶け、銃に形を変える


S.I.G.M.Aが持つ武装はその全てが特殊金属で生成されており、操縦者の想像通りに形を変える


銃から放たれた弾丸はC.A.I.Nの飛行ユニットの動力源を撃ち抜き、その翼を奪う


地面に墜落したC.A.I.Nを押さえ込み、再びナイフに変化した武装を首に突き立てた




〜〜〜





『お疲れ様、怪我は無いかい?』


小型のロボット達がC.A.I.Nを運んでいるのを眺めていると、例の声が聞こえてきた


「お陰様でな、C.A.I.Nはどうなるんだ?」


『1度システムをリセットしてセキュリティをアップグレードするよ、対策は終わってるからね』


「そっか…なぁ、お前名前はあるのか?」


『僕かい?…僕の事はレオで良いよ』


「レオ…宜しくな!」



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