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「……あぁ、ようやく見つけました!私の主!」


街で俯いて、身を投げる場所を探していた私を引き止めた声


「……え……」


「……貴方は、覚えていらっしゃらないでしょうが……私は、その……遠い昔に、貴方に助けていただいた……」


頬を赤らめ、興奮した様子で語る彼は……


「……覚えてるよ。……ずっと、覚えてる。忘れたことなんてない!」


赤い髪も、短く切ってはいたけど、それでも彼は彼だ。

覚えている、迎えに来てくれると言った。


「レイ様、ですね。……綺麗になりましたね。……いえ、むかしから貴方は綺麗でしたが」


そう言うと

「寒くは無いですか、帰るところは?送ります」

優しく手を握られ、微笑みかけられる


久しく触れていなかった人の優しさに触れ、少し戸惑った

「ご、ごめんなさい、帰るところ……なくて、私」


口篭りながらそう言うと、彼は首をかしげる


「帰るところがない、とは……いえ、詮索はご迷惑ですね。……でしたら私の家にお越しください。」


彼に手を引かれて歩く、彼の手は大きくて……あぁ、男の人……という感じがした


「……あの、そういえば、あなたの名前……」


……私は、彼の名前、知らない。……何年も前から彼に思いを馳せてはいたけど、名も知らないのだ。


「……私は。……私、は…………名前など、私には必要ありません」

彼はふと俯き、そう呟いた


「で、でも、名前、ないと、困るんじゃ……」


恐る恐る声をかけると「……貴方が心配することではありませんよ、大丈夫。貴方は何も考えないで、私を使って下されば良いのです」


彼は、深海のように暗い、青い瞳を伏せて微笑んだ


「ご、ごめんなさい……」思わず反射的に謝ってしまう。

「謝る必要などありません、大丈夫ですよ。レイ様」

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