♥ ラムネ売りがやって来た 6
◎ サブタイトルを変更しました。
マオに微笑むセロフィートは、古代魔法を発動させた。
マオとセロフィートの足下に魔法陣が現れる。
転移魔法陣──略して、転移陣と呼ばれるモノだ。
マオとセロフィートは発動した転移陣の力で《 創造主の館 》へ転移した。
──*──*──*── カグザークの何処か
マオ
「 ………………これは何だよ!
どうしてこんな事になってるんだよ?!
──《 創造主の館 》に居る間に≪ カグザークの街 ≫で何が起きたって言うんだよっ!! 」
《 創造主の館 》で過ぎる時間の流れは、現実世界よりも遅い。
現在《 創造主の館 》の1時間は、現実世界では1分となっている。
24時間《 創造主の館 》で過ごしても現実世界へ戻れば24分しか経っていない事になる。
マオとセロフィートが《 創造主の館 》に転移してから、現実世界では未だ50分程しか経っていない。
たった50分程の間に≪ カグザークの街 ≫は、とんでもない事態に見舞われていた。
≪ カグザークの街 ≫で何が起きたのかマオにはさっぱりだった。
マオ
「 ──セロ、何が起きたんだよ?! 」
セロフィート
「 マオ…。
何故ワタシに聞きます? 」
マオ
「 何故って……。
セロなら何か知ってると思って… 」
セロフィート
「 ワタシはマオと居ましたし、分かるわけないでしょう 」
マオ
「 本当か?
セロを信じて良いのか? 」
セロフィート
「 マオ…。
君だけのワタシを信じてくれません? 」
マオ
「 それは…… 」
セロフィート
「 ワタシは君と共に薬物ラムネを≪ カグザークの街 ≫へ広めた関係者達を尋問してました。
共同作業をしていたワタシを疑いますか?
………………ワタシは悲しいです… 」
マオ
「 セロ……。
そうだったよな…。
セロはオレの為に快く協力してくれてたもんな…。
オレに付きっ切りでさ…。
そんなセロを疑うなんて……御免な… 」
セロフィート
「 マオ… 」
マオ
「 だけどさ、あれは尋問って言うよりも、拷問に近いと思うんだけど? 」
セロフィート
「 それは気の所為です。
飲ませたのも唯の自白剤ですし 」
マオ
「 自白剤…ねぇ?
それを左右の鼻の穴から流し込むって、どうなんだよ…。
口に猿轡迄してさ…。
滅茶苦茶辛そうだったし、苦しそうだったし、白目剥いてヤバかったじゃないか。
口から飲ませるんじゃ駄目だったのかよ? 」
セロフィート
「 口から自白剤を飲ませても普通で詰まらないでしょう?
相手は未来ある子供達に薬物ラムネを食べさせていた極悪人達です。
少しぐらい楽しんでも罰は当たりません 」
マオ
「 いや…だけど……。
そうかも知れないけどさぁ… 」
セロフィート
「 未だ死んでませんし、大丈夫です。
“ 流し込んだ ” と言いますけど、スポイトで少量ずつ入れただけです 」
マオ
「 …………長かったじゃんか…。
中毒や廃人になったりしないよな? 」
セロフィート
「 安心してください。
全ての悪事を自白する迄は生かします 」
マオ
「 ……程々にしてくれよな… 」
セロフィート
「 善処はしましょう 」
マオ
「 頼むよ… 」
セロは人間に容赦ないから、多分だけど善処はしてくれないだろう。
それにしても本当に一体何が起きたんだろう…。
マオ
「 セロ…これからどうするんだ? 」
セロフィート
「 どうするとは? 」
マオ
「 いや、だってさ…カグザークの3分の1が半壊してるじゃないか。
《 宿屋街 》も無くなってるしさ… 」
セロフィート
「 テントを張ってキャンプをすれば良いです。
此処は安全ですよ 」
マオ
「 …………セロに任せるよ… 」
今、セロとオレが居る場所は見晴らしの良い丘の上だ。
カグザークの人達は大丈夫かな?
負傷者とか出てないよな??
激しく不安だ…。
明日はセロに頼んで、3分の1も半壊したカグザークに行ってみたいと思う。
どうなってるのかな……。
◎ これにて完結しますが、後日談的な内容を【 吟遊詩人のセロフィート & 守護衛士のマオ その4 】に投稿しました。