外伝 ジョン・スミス(実在の人物とは全く関係ありません)前篇
これは外伝です。
現在の話とは時系列が異なりますのでご注意ください。
外伝のところだと話が更新されたことに気付かない方もいるかと思いましたので最新話に投稿しましたが、一週間ぐらいしたら外伝の列に移動しますので。
王都ランパール城の毎朝は……。
「カズマ~!どこに行った~!今日中に終わらせる書類が大量に溜まっているのですからね!今日こそは終わらせて貰うわよ!」
セシリア嬢による、カズマを探す声で一日が始まる。
通常、王国の高官には屋敷が用意されている。
カズマにも屋敷を支給する話もあったが、本人の希望で城に用意された個室が彼の部屋になっていた。
しかし、カズマがその部屋で寝起きする事は最近ではあまりない。
それは毎朝のように彼の副官に部屋から拉致されて刑務所 執務室に放り込まれるからである。
その為、カズマはまるで警察に追われる逃亡犯の如く、毎晩寝る場所を変えてセシリアの魔の手から逃げ回っていた。
無駄にたくさんの部屋がある城は格好の逃亡先である。
何百とある部屋を隠れ蓑にカズマはセシリア刑務官から逃げ回っていた。
この状況にセシリアが手を拱くはずもない。
メイドなどの使用人、近衛兵などを総動員して、セシリアは捜索隊を編成し、カズマを探し出していた。
だが、「シャナの千里眼」とも称される賢者は老獪に捜索網を掻い潜り逃亡している風景が日常と化していた。
兵士の間では、カズマが昼食まで逃げ切れるかどうかを賭けにするのが密かな楽しみとなっていたのである。
この日も……
「カズマを見つけた者には褒美は思いのままよ! 今日こそは、すぐに捕まえなさい!!」
という、セシリア捜索隊隊長による号令で捜索隊が城の内外へと散らばっていく。
「気を付けなさい。相手は百戦錬磨の逃亡犯よ! 些細な変化も見逃さないで!」
男を虜にする魅力的な碧の瞳には「犯人を逃さない」という強烈な意志で燃えていた。
「1階西の部屋で内側から鍵を掛けられています! ノックをしても応答がりません! ターゲットの可能性有り!」
「すぐに向かうわ!」
その報告を聞くや、風の如くセシリアは向かっていく。
「セシリア様、この部屋です!」
近衛兵から敬礼を受けつつ、セシリアは指示を出した。
「すぐに蹴破りなさい!!」
「「了解!!」」
三人の屈強な近衛兵がドアを体当たりでぶち破りなかに踏み込むと、人形が一つ置いてあるだけでもぬけの殻であった。
御丁寧にも人形にはカズマと書かれた紙が張り付けられていた。
「おのれ、囮ね。カズマっ……!」
ワナワナと震えたセシリアはカズマと書かれた紙を掴み取ると、ビリビリに引き裂いた。
「探しなさい! 敵はまた城内にいるはずよ!」
「「はっ!」」
碧眼を爛々とセシリアは輝かせながら、近衛兵に命じた。
だが、そう簡単に物事が上手くいかないのは世の常なのか。
「誰か、タオルを~! う、動けない!」
何だか、よく分らないネバネバした液体によるトラップで身動きが取れなくなった料理見習の青年。
「誰か水をくれ! 水を! 頭が燃える~!!」
頭を季節外れのキャンプファイヤー状態で同僚に水を求めて走り回る騎士の姿。
他にも数々のトラップに捜索隊は翻弄された。
「メイドの更衣室でメイド服が一着消えているとの情報が入った! 逃亡犯はメイドに変装している可能性がある! 合言葉で偽物か本物かを見極めろ!」
さらに偽情報までもが錯綜し、カズマを見つけることは容易ではなかった。
「カズマ~~! どこに行った~~~~!!」
その日、城にはセシリアの叫び声がいつまでも木霊したという。
◆
王都ランパールの城へと繋がる大通りにはたくさんのお店が建ち並んでいる。
食料品、雑貨、武器など多種多様な商品があった。
どのお店も威勢のいい掛け声とお客を呼び込む声で満ち溢れていた。
そんな、人々が行き交う大通りに少女が一人歩いていた。
格好は野暮ったいという表現が相応しい機能重視の旅人の皮服を身につけていたが、所々汚れており年季が入っていた。
その腰には少女に似つかわしくない虎の紋章が入った無骨な剣を下げていた。
少女の顔はどことなく丸い輪郭で童顔な造形をしており、将来的には可愛い系の美女になることを容易に予想させた。
時々、少女はキョロキョロと周りを見渡しながら歩いていた、どうやら近くの村から来たお上りさんらしい。
「あぅ~。この道を真っ直ぐでしたっけ? 急がないと、遅れてしまいますぅ~」
一生懸命な少女の歩く姿は子供が買い物を一人でしているようで見る者に微笑ましさを与える。
そんな、少女の後を付けている男が二人いた。
「ほぉ~。あれは中々上玉だな?」
若い男が舌舐めずりしながら、久々の獲物を見つけた。
「あれなら、高く売れそうですぜ!」
仕事の相棒らしき、小男も追従する。
彼らは王都ランパールで田舎の世間知らずの女の子を見つけては売り飛ばす悪名高い女衒だった。
しばらく、彼女の後を付けてから彼らは頃合いをみて話しかけた。
「もしもし、お嬢さんお困りですかな?」
若い男は出来るだけ少女に優しく尋ね、警戒心を煽らないように気を付けた。
「あっはい! その近衛騎士団の訓練所はどこですか? 迷ってしまいまして」
「それはお困りでしょう。すぐ近くですからご案内いたしますよ?」
若い男が先立って案内を始めた。
大通りを真っ直ぐに進んでいたが若い男は途中で道を曲がり、最下層の住人が住む裏路地を突き進んでいく。
若い男の案内に随って付いてきたが、さすがに人通りも少なくなり、少女の心の中に不安が出て来たらしい。
「あの本当にこちらで良いのですか?」
少女はか細い声で若い男に聞いた。
「大丈夫だよ、こっちであっているから」
少女を強引に若い男は連れて行こうとするが……
「あの、やっぱり自分で探しますぅ」
そう、少女が決断するのに時間はかからなかった。
だが、少女が踵を返そうとした瞬間に立ち止まらざるを得なかった。
いつの間にか、小男が退路を塞ぐように立っていたからだ。
「ヘッヘッヘッ、お嬢さん? あんたにはこれから死ぬまで働いて貰うぜ」
「心配するな、段々気持ち良くなるからよ? 男なしでは生きていけない体になるんだ」
もはや、善人面をする必要が無くなった若い男は本性を表した。
二人でゲラゲラ笑いながら少女の手を取ろうと手を伸ばした瞬間、彼女は腰に下げていた無骨な剣を抜き放った。
少女の構えは多少剣を学んだらしくある程度様になっていたが、実戦は初めてなのか、少女の気持ちを表すかのように剣先が震えていた。
「ヘッ。抵抗する女を無理矢理するのも楽しみなんだよな」
こういった仕事を生業にしている男達らしく多少の荒事には慣れているらしい。
喧嘩場慣れした様子で持っていた短剣や棒を男達は構えた。
少女は背中を取られないように薄汚れた建物を背にどちらも目を配れるようにした。
若い男と小男はそんな少女にジリジリと間合いを詰めて来た。
もはや、少女が彼らの餌食になるのも時間の問題だった。
実戦が初めての少女に喧嘩慣れしている男達に敵うはずはないだろう。
「大人しくしろよ? 誰も助けなんて来ないんだよ」
非常に小悪党らしいセリフを言い放った。
ただし、彼らは知らなかった。
そう、負けフラグという存在を。
異変はまず小男に訪れた。
空気を切り裂く物体が突如小男の後頭部に直撃したのである。
かなりの威力だったらしく、小男は顔面から地面に叩きつけられた。
ノックアウトされた小男は時折手足をピクピクしながら痙攣させているのが、彼の叩きつけられた衝撃を物語っている。
その様子はゴキブリを丸めた新聞紙で叩いた後の状態に酷似している。
相棒をやられて呆然としていた若い男だったが、我に返ると小男を倒した新聞紙・・・ではなく、矢の先端にゴム状の物体を付けた代物を拾った。
「何だ、これは矢なのか?」
「よし、ジャスティン。さすがだな」
路地裏の死角から出て来たのは猫背気味の青年とテロリストへと走る手前の暗い顔つきをした男だった。
暗い顔つきをした男はどことなく疲れた雰囲気を醸し出している所為か、年齢をいくつか年嵩に見せていた。
その手には先程の小男を狙撃したと思われる弓を持っていた。
「何だ、テメェは!」
持っていた短剣を世の中に疲れ切った青年に向けると、お約束の言葉で若い男は誰何した。
「この町で虫退治を任されているゴキブリバスターズで~す。本日はこの路地が清掃場なので大人しく叩き潰されろや?」
「ふざけやがっブォッ!」
残念ながら、小学生の通信簿で先生から「最後まで人の話を聞きましょう」と褒められたことのある青年が最後まで話を聞くはずもなかった。
青年はいつのまにか手にした弩を若い男の顔面に打ち込んでいたのである。
非殺傷性の弩とはいえ、この至近距離である。
若い男を倒すには十分な威力を持っていた。
そう若い男の歯を2、3本と鼻の骨をへし折るぐらいには。
「イヒャイ! ニャニスルンダャヨ!」
顔面を押さえて座りこむ若い男に青年は更に容赦ない追撃をお見舞いする。
「ちなみに俺は男にもゴキブリにも一切容赦しない主義だ」
「ニャメテ! ゴメンニャシャイ! シニュ!」
ドスッ! ゴスッ! メキャッ!
若い男が必死に命乞いをするが、青年はそれを一切無視し、更にしこたま顔面に矢を打ち込んでいく。
「流石はゴキブリの親戚だな。なかなかにしぶとい」
しぶとい生命力で中々気絶をしなかった若い男だったが、5発目になると全身をピクピクと痙攣させて気絶していた。
それでも青年は、若い男が気絶したか確認する為、うつ伏せになったゴキブリの親戚(若い男)の腹を情け容赦なくけっ飛ばして仰向けにした。
顔面は血だらけで親に見せても誰だか分らないほど痣だらけになっていた。
猫背気味の青年はゴキブリ達が気絶したことを確認すると、モンスターを倒した後の勇者が取る行動・・・。
簡単にいえば、気絶している2人のポケットを弄った。
そして、慣れた手つきで二人のポケットからサイフを抜き取ると、自然な動作で猫背気味の青年は懐にしまった。
「それにしてもレスターに作らせた弩が役に立ったな。よし、こいつはゴキジェット君一号って名づけるか」
謎のゴキブリバスターズ(おいはぎ)達は目的を果たすとその場を立ち去ろうとしたが、見ているだけで不幸になりそうな男の裾を少女に捕まれた。
「あの、助けて頂いて有難うごさいますぅ~」
「んっ? あぁ。逃走用の資金……ではなくて、そう仕事だからな、仕事。ちょうど良いカモ……じゃなくて、虫だったから倒しただけだ。うん、気にする必要はないぞ」
「それでも、助かりましたぁ~。私はビアンカですぅ。それで、あのあのぉ~? 名前を聞いてもいいですか?」
「名前? う~ん、スミスだ。ジョン・スミス」
「あなたじゃなくて、こっちのカッコイイ方ですよぉ~」
ビアンカはキラキラした目で見ながら、暗い顔つきをした男の裾を引っ張った。
「……ジャスティンだ」
「良いお名前ですぅ~!」
ジャスティンの手をビアンカは掴むとブンブンと音が出るぐらいな握手をした。
「あの~、俺は?」
一人だけ除け者にされたジョン・スミスと名乗る猫背気味の男は所在なさげに立っていた。
「ジャックさんもほどほどに良い名前だと思いますよぉ~。多分」
「有難うよ。……ジョン・スミスだけどな」
「何か言いましたか~?」
「いや、何でも無いよ。何でも」
スミス(偽名)は慌てて首を振った。
「それでこんなところで何しているんだ? ここは女の子が一人で来るには危ないぞ」
「あぁ、そうでしたぁ! 近衛軍の訓練所って何処だか分かりますぅ~?」
「訓練所? あんな所に何の用だ?」
どう見ても騎士でも関係者にも見えない少女にスミス(あくまでも偽名だよ!)は首を傾げる。
「今日そこで採用試験が行われるんですぅ~。早くそこに行きたいのですが、知りませんか?」
ビアンカの言葉にスミス(仮)は採用試験に来た身内の忘れものでも届けに来たのかと首肯した。
「まぁ、知っているけど……」
逃亡中の身の上としては捕まるリスクを避けたいが、どうも世間知らずっぽい少女を置いて行くのはあとで何らかの犯罪に巻き込まれそうでジョン・スミスには後味が悪かった。
どうせ、採用試験を受けに来た身内に忘れ物でも届けたらすぐに帰るだろう、とスミス(変名)は楽観することにした。
「しょうがない。じゃ、俺に付いて来い。案内して……」
「有難うございますぅ~! ジャスティンさん!」
「もういいけどさ……」
こうして、ビアンカを連れたスミス(実在の人物とは一切関係がありません。だって、偽名だし)とジャスティンは城の一角に作られた近衛軍の訓練所に向かうことになった。
◆
――私は今年で15歳になる、ビアンカ。家族は現在、2歳下の妹と5歳になる弟しかいません。
父は数か月前に亡くなり、母もあとを追うように亡くなりました。残された私達姉妹が生き延びるには私が働くしかありませんでした。
死んだ父の職業は下っ端の兵士です。
昔は近衛騎士団に憧れて、採用試験を受けた事もあったらしいが、近衛騎士団に入る事は出来なかったそうです。
幸いにも、生真面目な性格のお陰もあって、上司からも信頼されていたそうです。
とはいえ父は、昔の憧れだった近衛騎士団には未練が会ったのか、男の子が生まれたら、剣を教えて、近衛騎士団に入れるのだと張り切っていたと死んだ母が笑って言っていました。
残念ながら、初めての子は男の子ではなく、女の子である私でした。
それでも、余っ程、我が子に剣を教えたかったのか、女の子である私に護身術と称して、剣術の基礎を教えてくれました。
とはいえ、女の子らしく育てたかった私の母と父は何度も喧嘩をしたようですが。
私に多少でも剣の才能があったのか、剣の腕前自体は村の若い男にも負けないぐらいまでには成長しました。
ただ、私が10歳の頃に待望の長男が生まれてからは、父は私に剣を教える事を止めてしまった。
それから、弟が大きくなるのを楽しみに剣を磨いている父の姿を見かけるようになりました。
と言っても、父が私達姉妹に愛情が無かったわけではない。
父は不器用ながら、精一杯の愛情を姉妹に注いでくれた。
目の良い私はよく遠くにいる鳥や鹿などのその日のおかずになるものを見つけては父を驚かせ、喜ばせていた。
その他にも私達姉妹が父の誕生日に野原で生えている花で作った冠をあげると、泣くほど喜んで大切に保管していたくらいである。
そんな父が今年になり、軽い風邪を引いた。
「たいした事ない」と笑っていた父だったが、
3日後に容体が急変した。
そして、父は医者に見せるまもなく、息を引き取った。
私達家族は悲しみにくれましたが、
現実はそんな私達を放ってはくれなかった。
大黒柱である父を喪った私達は生活に困窮するようになったのである。
母は育ち盛りの妹と弟を一生懸命に育てながら、
縫い物などの仕事をした。
だが、家族を養うには縫い物の稼ぎだけではどうしようもなかった。
そうこうしているうちに父を失い、気落ちしていた母は流行病に罹って死んでしまった。
父が質素な生活を心掛けてくれたお陰で多少の蓄えがあったが、それもいつまでもつかは分からなかった。
頼りになる親戚もおらず、途方に暮れていた私はある話を近所の人から聞いた。
それによると、ラファエル新国王が即位し、シャナ王国中に優秀な人材を求める触書を出したとのこと。
その触書が私達の村にも通達されて、村の中央に立札が立てられていたらしい。
その立札に書いてある職種の中には父が憧れた近衛騎士団の大々的な団員募集の要項があった。
これは亡き父の導きかもしれない。
そんな思いすら抱いた。
とりあえず、私が持っている特技は父から手解きされた剣しかなかった。
そんな特技を生かせるし、父の願いと家族を養うために出来るのは近衛騎士団に入団することだと思った。
心配する妹を説き伏せて、近所の仲の良かった人に妹と弟を頼むと王都ランパールに向かうことにした。
王都は想像以上に活気があり、大陸中の人がこの大通りにいるかと思うぐらいの人の数だった。
そんな時に、若い男の人から声を掛けられて付いていってしまったのは、そんな活気に当てられたからかも知れない。
人通りが少ない所に来ておかしいなと気付き、やっと騙されている事に気付いた時には遅かった。
慌てて元の道に戻ろうとしたけど、その時には親切だったはずの若い男と小男に囲まれてしまったのである。
慌てて父の形見である剣を構えたが、剣先の震えが私の心を表していた。
もう駄目かと思った時に、小男がいきなり倒れた。
何が何だか分からず、眠そうな男の人が出て来たと思うと、
一瞬で手に持った弩で若い男を倒してしまった。
その眠そうな男の後ろから、どこか陰のある青年が現れた時には運命の出会いだと感じてしまった。
だから、そのまま立ち去ろうとする男の人の裾を掴んでしまったのだと思う。
傍から見ると、仲のいい兄妹に見えたかも知れない。
でも、この人なら良いかなと感じるのだからしょうがない。
2人に頼みこんで何とか元来た大通りに戻ると、改めて私と親切なお兄さん達は近衛軍の訓練所に向かいました。
◆
「え~と、ジャスティンさんは何の職業をしているのですかぁ~?」
さきほど助けた少女がジャスティンに問いかけていた。
どうやら、ジャスティンをよほど気に入っている様子だった。
別に少女の気を惹こうとして助けた訳ではないが、こうまで相手にされないでいると複雑な気分にジョン・スミスはなった。
一方のジャスティンはどこか戸惑っている様子だった。
陰気な顔立ちなお陰でこれまで露骨な好意を向けられたことがなかったのだろう。
どこか戸惑った様子なのが、長い付き合いであるジョン・スミスには分かった。
仕方がなく助け舟を出す形でジャスティンの代わりにジョン・スミスが少女の質問に答えていた。
「俺達か? この国の害虫を退治するのが仕事だ。ちなみに俺の趣味は仕事中に寝ることだ」
一瞬で迷わず駄目人間発言を放ったジョン・スミスの言葉を少女は冗談だと思ったらしい。
「本当ですかぁ~?」
ビアンカと名乗る少女はクスクス笑った。
そんな雑談をしながら、近衛騎士団の訓練所前に到着した。
「ここまで案内して下さり、有難うございますぅ~」
深々とお辞儀しながら、感謝の意を示す姿はなかなかに礼儀正しい。
「今度から気をつけろよ?」
「ハイ、有難うございますぅ~。」
再びビアンカがお辞儀をして、頭を上げた頃には二人が立ち去る姿だった。
二人の住んでいる場所をビアンカは聞こうと思ったが、今の自分に恋愛をしている余裕がない事に思い至った。
ただ黙って、二人の姿を見送るしかなかった。
二人ともどうやら王都の人間のようだし、試験に受かれば、再び会えるだろうと無理矢理ポジティブに考えたビアンカは本来の目的である、採用試験会場に向かっていった。
すみません、本編を楽しみにされていた方は申し訳ない。
今回の話はパソコンを整理していたら出てきたものです。
どうやらシャナ譚を書き始めていた時のもののようで見るに堪えない文章でした。
でも、どうせ書いたやつだし、世に出ないのも忍びないので今回、加筆修正して更新しました。
話も1万文字を超えそうなので前篇、後篇で分けました。
話の骨格自体は出来上がっているので後編は来週中にもお見せ出来るんじゃないかなと思います。
それと本編ですが、5割ぐらいは書きあがりました。
ストーリー的にも自分の頭の中で出来上がっているので割と早く出せそうな気がします。
来月の頭には出せるかと計算しております。
いましばらくお待ちください。
それと感想有難うございます。
返信は出来ていませんけど、キチンと読んでいますので。
感想を送って下さった方、有難うございます