第一章 15話 美女?暗躍
王都ランパールは静かな闇に包まれていた。
夜遅くまで営業する酒場も店じまいをした、そんな頃合であった。
現在、起きている者は歴史上、最初に24時間営業の職業を生業としている者。
端的に言えば、警備兵だけである。
「うぅ〜。今日も寒いな、こんな日は酒でも飲みたいなぁ。」
「確かに飲みたいな。こんな寒い日に当番なんて、ツイてないな。」
そんな年中無休の職業の為、城門の上に作られた監視塔で警備兵二人は文句を言っていた。
「そうそう聞いたか?」
「何を?」
「最近出るらしいぞ?城壁の周辺で夜な夜な美人の幽霊が。」
一人が驚かすように、両手を幽霊のように垂れ下げた。
「へっ。もし、美人の幽霊が出たら、酒の酌でもしてもらうぜ。」
「ついでに、嫁に貰ったらどうだ?」
「いいねぇ。ただ、夜にしか会えないのが難点だな。」
「違いない!!」
二人で笑いあった瞬間
ゴトリッ!
ドアの外で「ゴトリッ!」と誰かが立てた音に
「何者だ!」
二人は職業柄、反射的に剣を取ると、入口に剣の矛先を向けた。
そして、観念したのか、何者かがドアを開けた
「ハ〜イ!兵隊さん、ちゃんと飲んでいる〜?」
そういって、千鳥足で歩み寄ってきたのは20代前半の水商売の格好をした美女であった。
余程、酒を飲んだのか、二人の警備兵の所まで酒の匂いが漂ってくる。
右手には飲みかけの酒のビンが握られていた。
「おいおい、どっから入って来た?下の警備兵は寝ていたのか?」
呆れたように呟く。
「幽霊の正体って、まさか、この女か?」
幽霊の正体見たり枯れ尾花とはこの事か・・・。
二人の兵士は声には出さなかったが、同じ事を思った。
「そんな事よりも飲まなきゃ損よ〜!」
そういうと、一人の兵士の首に腕を回しながら、手に持った酒を飲ませようとする。
「おい!止めろ!どこから入って・・・ウッ!」
酒を持った手を押し止めようと手を伸ばした瞬間に
鳩尾に衝撃を感じると同時に兵士は倒れ込んだ。
「おい、どうし・・・ガッ!」
そして、もう一人の兵士が慌てて剣を構えるよりも速く、
彼の視界に普段なら魅力的に映る優美な足だが、今は恐るべき凶器として迫っていた。
次の瞬間、彼の顔には足が埋まっていた。
その衝撃を受け止める事は出来ず、彼の体は部屋の片隅まで、吹っ飛んで止まった。
どうやら気絶したようだが、
鼻血を吹きだしながら、「あぁ〜、女王様もっと強くお願いしますぅ〜。」と
快楽に染まっている顔で悶えている。
どうやら、同僚には内緒で、そういったお店の常連客だったらしい。
「まったく。あたし、力仕事は苦手なのよねぇ〜。
王都の情報収集だけって、聞いていたのに。
人使いが荒い上司だと、大変だわねぇ〜。」
警備兵2人を倒した謎の美女?はそう呟くと部屋を出て行った。
その後、謎の美女によって、城門付近の警備兵は全員が不本意ながら、
強制的に職務放棄をする事になった。
そして、無人となった城門は何者かによって開けられたという。
こうして、寝静まった王都ランパールでは人知れず事態が着々と進んでいた。
まさしく、大嵐の前の静けさであった。
そういえば、いつの間にやら2万HIT有難うございます。
ただ、現在、読者カウントが壊れているらしく、詳しいHIT数は分からないのがある意味怖いですが・・・。
さて、今回で15話となります。
やっとこさ前哨戦に突入〜。戦闘パートの書き方は難しいなと感じる15話でした・・・。
感想、誤字、脱字 お待ちしております。