表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャナ王国戦記譚  作者: 越前屋
第一章
18/87

第一章 12話 不幸将軍襲来

あれから、5日後に王都ランパールからフローレンス将軍率いる軍勢が出陣した。

ついに第二王子派は軍勢をローランド要塞に差し向けたのである。


総大将はフローレンス将軍。

近衛軍4万人、貴族軍1万人。

合計5万人の軍勢が出陣した。

ラファエル軍からの妨害も特に無く、ローランド要塞近くまで順調に進軍した。




王都を出てから9日後にはローランド要塞に程近い所まで行軍した。

5万人の軍勢が進軍すると、先頭と最後尾との距離が数キロにもなる。

そのなかの中軍で馬上に揺られながら、フローレンス将軍と副官が話をしていた。


「あと少しで、ローランド要塞だな。」


「はっ!あと一日で到着するものと思われます!」


実直な副官が律儀に将軍の答えを返す。


「さて、ラファエル軍はどう出るかな?」


「将軍!物見に行かせた者達が帰って参りました!報告があるとの事です!」


「分かった、報告を聞く。直ぐに連れて来い。」


フローレンス将軍の許可が出て、数分後には前方から偵察兵が馬で駆けてきた。

偵察兵はフローレンス将軍に報告する為に馬を寄せた


「御苦労。それで、ローランド要塞の様子はどうであった?」


「はっ!ローランド要塞に敵兵の姿なし!

また、城門が開け放たれているのを確認しました!」


「んっ?どういう事だ?」


「分かりません。弓の射程ギリギリまで近付きましたが、弓から攻撃はありませんでした。

念のため、城門から中を覗きましたが、誰もおりませんでした!」


「ふーむ、どういう事だ?」


フローレンスは首を捻って考えた。


「絶望的な戦力差ですし、亡命したのでは?」


「たしかに援軍のない籠城は負け戦だしな。今一番可能性が高いのは亡命か。

念の為、罠の可能性もあるし、ローランド要塞の周りの索敵を強化するとしよう。」


「畏まりました。」


副官が了解すると、更に偵察兵を何組かローランド要塞に送り出した。

その作業が終了すると、将軍は呟いた。


「それにしても、どうも腑に落ちない。」


「将軍、何が腑に落ちないのですか?」


「どうも、上手く行き過ぎている。」


「良いことではないですか?」


副官が不思議そうに聞き返すと


「どうも、俺は昔から良い事が続くと、その後に嫌な事が必ず起きるんだよ。

俺が帝国軍との戦で序盤に勝ちまくって、逃げる帝国軍を追撃した先には伏兵がいたし、

女房と結婚式を挙げた当日には帝国軍が奇襲を掛けてきて、

新婚生活を満喫どころか半年間女房と会えなかったし。他にも・・・・」


その後も、色々な不幸話に副官は思わず涙ぐんでいた。


「将軍・・・。苦労していたんですね。」


「まぁな。だが、不幸が下級貴族出身の俺をこの地位まで押し上げたと思っている。」


「何でですか?」


「お陰で俺はどんな状況でも、最悪の事態が起きる事を予想するようになったからな。

すると、俺はどんな事態になっても戦功を立てる事が出来るようになった。

まぁ、不幸が俺を鍛えたと言っても過言ではないな。」


フローレンス将軍は不幸を己の強さに変えた。

それが彼を名将に成らしめたのである。

どんな状況でも冷静に事態を解決し、彼の手堅い用兵術は相手に隙を見出させない。


その結果、彼の部下は将軍の下なら安心だと思い、彼を信じて戦う事が出来る。

それが、フローレンス将軍の強さに磨きをかけるのである。


「それではいかがいたしますか?」


「う〜ん。現時点では予想もつかないな。

ローランド要塞を出た、ラファエル軍の足取りを追うしかないな。

近くの村、町にも聞き込みをして貰おう。

1万人もの軍勢が動けば、何か知っているかもしれないし。」


そう言いながら、理由もつかない不安がフローレンスの全身を包んでいた。

彼の長年の不幸探知機が警報を鳴らしているのである。

心の中で「何か嫌な予感がする」と呟きながら

ローランド要塞がある方向を眺めていた。

彼の不幸探知機は当たっていた。


第二王子派にとって、不幸な事態が進んでいたからである。


ただ、残念ながら探知機は察知する事を出来るが、

何が起きているのかを知らせる事は出来なかった。

そして、ほどなくカズマが仕掛けた、罠の全貌をフローレンス将軍が知ることになる。

彼がそれを知ると、一言「不幸だ。」

と呟いたかどうかは分からない。


12話をお届けしました〜!

それにしても、常識家で有能な普通の将軍を書こうとしたのに・・・・。

いつの間にやら、フローレンス君の不幸キャラが確立していた・・・。

まぁ、これはこれで気に入ったキャラなのですが。

それでは13話目、カズマの策の全貌が・・・。


感想、誤字、脱字 お待ちしておりま〜す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ