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シャナ王国戦記譚  作者: 越前屋
第一章
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第一章 8話 軍議前編

3人の騎士が帰ると

家の整理や村長、村人達に別れの挨拶。

連れていく元山賊を選んだりをして、次の日には旅立つことが出来た。


といっても、元山賊頭が顔に似合わず、まめまめしく働いたお陰だが。


ともあれ、カズマ、バルカンに4名の元山賊を加えたパーティーは

出会う旅人に恐怖を撒き散らしながら、

その度に山賊じゃない事を元山賊頭が説明しつつ要塞に向かった。


そして、3度にわたる、騎士や自警団の職務質問という名の準討伐行為を乗り越えて到着した。


何とか俺達は街道の隣に作られたローランド要塞の

城門の中に入ることが出来たが、

当然の如く、城門を守備している門番にも山賊と間違えられて、

ひと悶着があったが、割愛することにしよう。


武器を門番に預け、城兵に案内されながら、

無骨な作りの城門を抜けると要塞の本丸が見えた。


貴族や王族が見栄で作る豪奢な城とは違い、壁には白い塗料などは塗られておらず、

石の灰色で無機質な色がそのまま剥き出している。


それが、機能性を重視した前線基地である事を認識させられる。

本丸の中に入ると、どの騎士も忙しげに歩きまわっていた。


バルカンの部下だった4人はとりあえず応接室で待つように伝えて、

俺とバルカンだけで螺旋階段を上り、最上階の城主の部屋に案内された。


中に入ると既にラファエル、セシリア、ガンドロフ、ルークの4名がいた。


野球が出来る広さ・・・・とは言わないまでも

キャッチボールぐらいなら出来そうな広さの部屋だ。


部屋の中央には大きなテーブルがあり、地図が広げて置いてあった。

地図の所々には色の付いた針でマーキングしてあった。


おそらく反乱軍の重要な施設や軍勢などの情報を記しているのだろう。

その奥にはこの部屋の主が使う執務用の机と椅子があり、

椅子にはラファエル王が座っている。


その机の前に彼の側近である、

ガンドロフ将軍、ルーク騎士団長、セシリア将軍が揃っていた。


「カズマさん!お待ちしておりました!どうぞ、こちらへ。」


俺とバルカンを部屋に入ったことを確認すると、城兵は王に一度敬礼し、

扉を閉めて出て行った。


「ガンドロフ将軍とセシリア将軍は会ったから知っているよね?

それで、こっちの人がルーク騎士団長だよ。」


そういって、傍らの優男を紹介した。


「お初にお目にかかります。ルークと申します。

この要塞に駐屯している騎士団の団長を任されております。」


優雅にお辞儀する姿を絵師に描かせて、

出来た絵に「伝説の騎士」というタイトルが付けられても、

誰も疑わないぐらい絵になっていた。


「げっ!あんたがシャナの聖騎士でやんすか?」


バルカンは、まるで、ハブがマングースに出会ったかのような表情を浮かべていた。


「バルカン、知っている人か?」


「知っているも何も、俺っちの元職業は山賊でやんすよ?」


さすがに王の前で前の職業を言うのは躊躇していたが、俺に促されて渋々話した。


「あ〜ぁ、成程。商売敵なのね?」


その俺の軽い口調に聖騎士は苦笑していた。


「とりあえず、二人とも遺恨があるかも知れないけど水に流して、

これからの対応について話したいんだけど・・・?」


忘れ去られていた、この要塞で一番偉い人の言葉で会議が始まった。


「とりあえず、今の僕たちの状況を話してくれる?」


王太子に促されて、セシリアが説明を始めた。


「ケイフォードは現在、王都を掌握しています。

まもなく、討伐軍がこちらに来るかと思います。

兵力は推定ですが、5万〜7万に上るかと思われます。

一方の我が軍は1万です」


現在の状況を的確に淀みなく説明していく。

それが否応もなく、ラファエル王太子の苦境を認識させた。


「5倍〜7倍の兵力差でやんすか?

この要塞がいくら難攻不落でも苦戦は必至でやんすね・・・。」


想像はしていたが、絶望的な兵力差に普段は陽気なバルカンも気落ちしていた。


「ちなみに、ラファエル国王のこれからの方針は?」


「援軍が来る見込が無い為、セントレイズ帝国に亡命して、

捲土重来(けんどちょうらい)を図ると言う案を検討しています。」


セシリアが初めて会った時とは違い冷静な口調で補足してくれる。

恐らく普段の彼女がこちらなのだろう。


セントレイズ帝国に亡命する案については悪くない案である。

援軍が来ない城は兵の士気は下がるわ、目の前から食料が減っていくわ、

矢などの武器が不足するわと落城一直線でしかない。


それに比べたら良い案ではある。

何も考えずに、熱血馬鹿達が立案した籠城だったら

どうしようかと思ったが、そこまで頭の悪い奴はいなくてホッとした。


ただ、亡命は最も安全な案だが、そこに最大の欠点がある。

安全故に時間が掛かり過ぎるのである。


「うーん。その案も悪くないけど時間が掛かり過ぎるね。

内乱が起きた場合の最も理想的な治め方って、何だか分かる?」


どれぐらい使える人材か、周りの側近を試してみる事にした。


ちなみに王太子を呼び捨てにしたせいか、セシリアの白い額に青筋が浮かんでいた。

とりあえず、味方になる条件を思い出して堪えていた。


「う〜〜〜〜ん?ルークは何だか分かる?」


この問いにラファエルは考えるのを宇宙の遥か彼方に不法投棄した。


「速戦即決で治めるのが、おそらく答えではないですか?」


「正解〜。亡命だと時間がかかるんだよね。亡命している間に相手は防備を固めるし。」


内乱は短期間に治めないと、国に重大な損害を与える。

時間が掛かれば掛かるほど、国力は低下するし、

他国から狙われるわ、国が滅びる原因となる。


日本では応仁の乱がいい例だ。

国が二つに割れて、内乱が長期化した結果はご存じの通り。

幕府の権威は失墜するわ、美しき都だった、京都は無残にも焼け野原と化した。


「速戦即決と言っても、相手は5倍以上の軍勢で来るのよ?

野戦ではとても勝ち目はないわよ。」


セシリアが断定するように言うと、部屋にいる全員がその言葉に頷いていた。

その言葉を聞いて、俺が考えた作戦が成功するのを確信した。


お待たせ致しました。

いよいよ、作戦の全貌が・・・・。

分かりません!!

申し訳ございません。

ちょっと勿体ぶった話になっています。

ですので次回も宜しくお願い致します。


誤字脱字感想をお待ちしています。

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