表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャナ王国戦記譚  作者: 越前屋
第一章
12/87

第一章 6話 諸葛カズマ誕生? 

「このヨシトゥーネ王が真偽は分かりませんが、自身を異世界の戦士と名乗っていました。

まぁ、その後もあらゆる戦いで超人的な軍功を上げていましたし。

伝説では千人の敵を一人で倒したとか、彼の姿を見ただけで、一万の敵が逃げ出したとか

嘘みたいな話もありますからね。あながち嘘ではないと思いますが。」

ラファエル王の話を聞きながら、頭の中で考えを纏めていた。


ヨシトゥーネ?

何だか、響きが古き良き日本の名前に似ているような・・・。

両手の人差し指で頭に円を描きながら屁理屈坊主の如く考えてみた。


・・・・・・・・ポクポクポクチーン!

もしかして、ヨシツネか?


まさか日本で伝説の戦の天才だった、源義経のことか?

そういや、中国に落ちのびて、フビライハンになっただとか、そんな伝説があったな。


まさか、異世界に落ちのびていたとは・・・。

聞いた限りの話だと、戦上手な所と戦術の面からすると本物かもしれないが・・・。


さすがに、千人もいる敵を打ち破った武力については眉唾ものだと思うが、

無双の豪傑と言われた武蔵坊弁慶を京都の五条大橋の一騎打ちで

破った腕前があればそんな噂が出るのかもしれない。


「それでケイフォードに勝つための助言をして頂けませんか?」


考え込んでいる俺にすがるような目で対面の美青年が見つめてきた。

これが美女なら力になってやろうと思うが・・・。

正直、そっち方面の趣味はないので気持ち悪いだけだ。


「そもそも、何で国王になりたいんだ?」


言動を見ていると、これ程、国王という肩書が似合わない人もいないだろう。

国王になりたがる人は、大抵、野心に燃えた人物か国王の豪華絢爛な生活に憧れた

愚か者がなるものと思うが、そういった感じを受けないが故の疑問だった。


俺の疑問を聞くと

おもむろに椅子から立ち上がり、

俺の家にある、唯一の窓の外で生き生きと畑を耕している農民を見ながら語った。


「僕は・・・。国王になれる器だとは思っていませんよ。

本当なら誰かが成りたいなら、譲りたいというのが本音ですね。

でも・・・・・、ケイフォードだけには譲る事は出来ません。

ケイフォードが国王になれば、戦が絶えなくなるでしょうね。

彼は有能であるが故に、自分に絶対的自信を持っていますし、

大陸を統一しようと考えています。

しかし、大陸を統一するには莫大な時間が掛かるでしょう。

その間に民が困窮するのは間違いないでしょう。

私は草原の国と称される、この美しい緑の国が好きです。

そんな、この国が疲弊していく姿を見ることは出来ません。」


今まで自分の中で貯めていた、

言いたい事を全て言い切った美青年の顔は使命感に燃えていた。


正直、意外だった。

こっちの世界に来てから、感じたのが

貴族というのはロクでもない奴ばかりということ。


税金を跳ね上げる奴もいれば

面白おかしく、農民を虐める奴

日本にいた汚職政治家がまともに見える程だ。


中には、まともなのもいるが、そんな貴族は少数派でしかない。

こんな王族もいるのかと新鮮な気持ちになった。


傲慢(ごうまん)な貴族には手を貸したくないが、

この王太子には条件付きでならば、手を貸したくなるから不思議だ。


「手を貸しても良いが、条件があるぞ。」


「条件ですか?」


「あぁ、俺はタダで働くくらいなら、死を選ぶぐらい嫌いだからね。キッチリ報酬を頂く。」


「報酬と言いますとお金ですか?地位ですか?」


「どちらも要らない。」


どうせ、地球に帰るのに地位など要らないし、その地位で働かされるのも嫌だし。

また、こっちの世界のお金を貰っても邪魔になるだけだし、処分に困る。


「とすると・・・・。もしや女ですか?」


チラリとこの部屋にいる唯一の女性を見た。





・・・・・その瞬間、時間が止まったと思った。


「ななななななっ・・・!」


その男性陣からの視線を受けて、

唯一の美女は顔を赤らめながら言葉にならない声を出していた。

更に自分の身を守るように、両手で自分の体を抱きしめていた。

その間から豊かな胸が軍服を押し上げており・・・。

そんな様子は全世界の半分の人にとっては眼福の光景として写ることだろう。


かくいう俺も、全世界の半分の人に属する性別なので

眼福とは思うし、20代の健康な体を持った本能が正直

この報酬も悪くないと不覚にも考えてしまった。


だが、このままだと借金をした美女に体を要求する外道みたいだし、

顔を赤らめながら遂には剣を抜こうとしている美女に

成敗される可能性も出てきたので訂正する事にした。


「違う、違う。俺が要求するのは王室が所有している、初代王に関する資料を見せてくれ。」


ちょっと・・・。

いや、かなりの未練はあるが、理性を総動員して、本来の目的を切り出した。


「えっ?それだけで良いのですか?」


「あぁ。それと俺は敬語を話すのは苦手だからな。

王太子でも敬語は使わないかもしれないがそれでも良いか?」


「それで良ければ、いくらでも見せてあげますし、言葉使いなんて大丈夫です!

今ならセシー姉も付けますよ!」


深夜の通販で物を売るハイテンションの司会者みたいな口調で商品を勧めてくる。

まぁ、そんな通販番組があれば、世界の半分の富が集まるに違いない。


何故なら、物を買うと美女が付いてくる通販なんて、

野獣と化した半分の人類が買うのは請け合いである。


「なっ。何て事を言うんですか!」

慌てているのか、呼び名を訂正するのも忘れているらしい。


通販のオマケみたいにされた美女の叫び声が鳴り響くなか、

一部の条件以外は無事契約が成立した。


ちなみに、この場面は現在でもグランバニア大陸で語り継がれることになった。

シャナ王国戦記をモチーフにした劇では

ラファエル国王が千里眼の軍師を手に入れた屈指の名場面として語り継がれている。


劇ではカズマを軍師にする為に、自らの足で彼の所に三度も訪れ、

三顧の礼で軍師になる事になっている。


そして、この時のセシリア将軍には甚だ不本意だろうが・・・。

この時、カズマに一目惚れする恋模様が演じられる事になるのは別の話。


ともあれ、賢者を手に入れたラファエル王。

この瞬間、グランバニア大陸には一見何も変わってはいなかったが、

この瞬間、大きく大陸は変動する事になる。


過去、カズマの世界には数多の英雄がいた。

そして、その英雄の傍らには天下を見通した軍師がいた。

その有能な軍師を手に入れる為、苦労を厭わず、三顧の礼でもって手に入れる程である。


中国では周王が太公望を。劉邦が張良を。

劉備が諸葛孔明を。日本では豊臣秀吉が竹中半兵衛を。

そして、グランバニア大陸の新たな英雄、

ラファエル国王にはカズマが傍らに控えることになる。


というわけで、やっとこさ、ヒロインとの絡みが・・・。


それから感想有難うございます。

何話かストックしてあるので、しばらくはハイペースで出せるかもしれないです。

どうぞ、御贔屓に。

脱字、誤字、感想お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ