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シャナ王国戦記譚  作者: 越前屋
第一章
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第一章 5話 3人の客人

カズマ邸で唯一の客間・・・。

というか、寝室以外では唯一の部屋に3人の客人を迎えていた。


一人目は駅前で配っているチラシを断れずに貰いそうな、

ザ・お人好しの称号を持っていそうな青年。


二人目は歴戦の強者っぽい、生涯現役筋肉マッチョ爺。


三人目はテレビでも中々お目にかかれない、理知的な美人。

おそらく、黒の眼鏡とスーツを着れば、社長垂涎の美人秘書が出来上がることだろう。


「で、寝ることに忙しい俺の睡眠を邪魔した、お客とはお前らか?」


不機嫌と面倒臭いオーラをブレンドした表情で、

騎士と聞いて、思い浮かべる服装をそのまま着た三人組に視線を向ける。


「寝ているなら、忙しくないでしょう!」


歓迎しているとは言い難いセリフに金髪の美女の怒りを買ったらしい。

冷徹で理知的な美女だと思っていたが意外と表情豊かな美女だったらしい。


「何を言うか!人生の半分は睡眠で占めんだぞ!

つまり、俺の人生の半分を邪魔したと言っても過言ではない!

その貴重な時間を邪魔したんだぞ!」


負けじと言い返し、互いに顔を近づけて睨みあったが、

傍から見るとカップルがキスをしようとしているようにしか見えない。

正直、ちょっと役得な気分を味わっていた。


そんな二人をさて置いて、世間慣れしている年長組が話を進めていた。


「それで、偉い騎士様が何の用でやんすか?」


「賢者と噂高いカズマ殿はあの人ですかのぉ?」


「とりあえず、この村に住んでいる、

賢者で怠け者のカズマという名前の人はあの人だけでやんすね。」


「怠け者じゃない!ちょっと、まったり家で過ごしていただけだ!」


美人との睨めっこにも飽きたので、話しに加わった。


「・・・それを世間では、怠け者と称すでやんすよ。」


「実は賢者として名高い彼をこちらにおります、ラファエル殿下が登用したいとのことで、

ローランド要塞に来ていただけませんかのぉ?」


老将軍はそんなやり取りを意に返さず話を進めた。

戦場では軍勢の先頭に立って、駆け抜ける猛将らしい、

婉曲に言い回さず、ズバリと切り込んだ。


「駄目駄目。俺は宮仕え嫌いだし、やる事がある。」


パタパタと手を左右に振りながら、断った。


「やる事って、どうせ寝ることでしょ!もう、いいわ。

こんな奴が賢者とは思えないし、帰りましょう。」


生真面目な体質っぽい彼女は俺の怠惰な言動がアレルギーの如く、

彼女の体質に合わないのだろう。

きっと、次に会う時にはアナフィラキシーショックで死んでしまうに違いない。


「セシリア、ちょっと待ってよ。そのカズマ殿のやる事とは?」


今まで、黙っていた

良いとこの坊ちゃん特有の温室で育てられた、

純粋培養の人を疑う事を知らない表情で聞いてきた。


「俺はこの世界の住人じゃない。3年前にこの世界に迷い込んだ人間だ。

だから、元の世界に帰ることだな。」


本当は適当な話をでっち上げるつもりだったが、

何でも、信じてしまいそうな表情で聞かれて、思わず本当の話をしてしまった。


まぁ、信じなくても実害はないだろう。思えば、この世界に来て3年が経っていた。

その間、他にも異世界から来た人はいないか?

帰る方法などを探したが、有力な情報はどこにも無かった。

そんな、俺の感慨を纏めて吹き飛ばす情報が耳に飛び込んだ。


「違う世界と申しますと、シャナ王国の初代王と一緒ですね。」


目の前のエライ坊ちゃんから重大重要な情報をのほほんと言ってのけた。




・・・・・おい!俺の3年間は何だった?

RPGでイベントを進める為に村人に話を聞きまわっていたけど、

実は隣村にイベントを進める為の村人がいたような気分と言えばわかるだろうか?


「おいっ!どういうことだ!詳しく話せ!」


「グウェッ!クビ!クビッ!シ・・ヌ・・・・・・・・。」


対面に座る殿下の襟元を掴みながら柔道の如く絶妙な絞め技を行い、

たっぷり審判に1本勝ちが宣告される時間まで続けた。

青黒く変色した顔で無理矢理話した内容を要約すると


伝説によれば、異世界の戦士と名乗る。

黒髪、黒目の黒衣の傭兵が現在の首都ランパールに突然現れた。


彼は当時、王の圧政に苦しんでいた農民をランパールで集い蜂起すると、

王の居城まで進撃した。


しかし、戦力差は10対1。武器は粗末。

当初は農民側が圧倒的に不利であり、

誰の目にも敗退する事を疑っていなかった。


唯一の誤算は黒衣の傭兵がいた事。


彼が切り立った崖から先陣を切って突撃をすると

まさか背後の急な斜面から敵が来るとは思わなかった

国王軍はハサミで紙を切られるが如く、易々と王までの道のりを切り開かれ、

暗愚の暴君を打ち取った。


これが「ランパールの奇跡」と称される戦いである。

そして、異世界の戦士はランパールを首都にして、シャナ王国を建国した。

その初代王の名はヨシトゥーネ。


誤字脱字感想カモ〜ン。

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