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バトルレックス


「怖い……流石に怖い…………」


――ダンジョン二階層への入口


 ゴツゴツとした岩で作り上げられたその階段からは、ビュゥゥという不気味な風と共に、直ぐに土に返してやるとばかりのモンスターの唸り声が聞こえる。

 未だかつて、二階層への進出をフェイはしたことが無い。

 冒険者学校では先生による贔屓(ひいき)のせいでまともな成績を決められていない為、いつもビリだったが、知識には自信があるフェイ。

 まぁその知識の中に嘘の情報も混じりまくっているのだが……。

 それでも地図の履修は済んでいるフェイは、迷うことは流石にないだろうと唾を飲む。


「それでもやっぱり……」


 ダンジョンの階層が変わるとどれ程までの違いが生まれるか。

 それを今日初めて身を持って味わおうとしているフェイには、全面的に心許無い物が多すぎた。

 武器、防具等の装備類。回復薬(ポーション)などのアイテム類……。仲間無しの単独冒険者(ソロプレイヤー)…………。

 それ以外にも経験による知識、レベルなどなど、足りない物だらけのフェイには正直自殺行為とも言える世界だ。

 それでも友の為。と、震える足にムチを打ったフェイは、死へ吸い込まれるように石階段を降りて行った――


~~~~~~~~~~~~~~~~~


――ダンジョン二階層


 苔が生えた岩が目立つそこは、一階層とは別世界。

 所々冒険者が放った魔法の跡があり、じわじわと修復が始まっている。

 ダンジョンは道が変わる恐れがある程のダメージを負うと、少しづつ修復を始めるのだ――


「早く見つけて帰ろう」


 一階層で魔法の跡などほとんど見た事がないことを踏まえると、魔法(それ)に頼る程二階層は別次元という訳だ。

 それに、道を慎重に歩くフェイの足元には所々、刀身の折れた片手剣や、ボコボコにクレーターの出来た胸当てなどが落ちている。

 それが何を意味するのかは考えたくないが、悪い方向に考えてしまうフェイは己の姿に苦笑いを浮かべる。


「僕……冒険者の格好ですらない……」


 鎧なんて一切付けてなく、切れるかどうかも怪しい片手剣一本のフェイ。

 滴る汗を手の甲で拭いながら足を速め、どうかモンスターに出会いませんようにと切実に願う……が。



 そんな事叶うはずがない――



 ここはダンジョンなのだから。



「バトル……レックス……?」



 それは少し大きめな広間(ルーム)

 フェイが足を踏み入れたその瞬間、目の前には大きな石斧を持った二足歩行の恐竜が現れた――


『ゴガァァァァッッッ!!!!』

「――――――っ!!!」


 バトルレックス――


 二階層に現れるモンスターで上位の強さを誇るそのモンスターは、ルーキー冒険者が本気で会いたくないと願う、初心者殺しのモンスターだ――


 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 


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