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冒険者の街


「はぁ……はぁ…………やっと…………やっと外だぁ!!」

「お疲れ様ぁぁ……」


 大都市グランディール――


 冒険者が一度は絶対に訪れるとされるこの街には、フェイが潜り続けていた巨大ダンジョンに、冒険者御用達のギルド、酒場に武器屋に道具屋、極めつけはこの世界に一つだけあるとされる冒険者学校がある――


「なんか……久しぶりに空気が美味しい!」

「そりゃあ2日もダンジョンに居ればそうなるよねぇ……」


 両手を広げながら深く深呼吸をしたフェイは、汗でベトベトになったカーネーション色の髪の毛を揺らしながら、早くキールの家に行かないと! と疲れているのにも関わらず全速力で坂を下る。

 ちなみに都市の西側に配置されているこのダンジョンは、少し急な上り坂の先にあり、入口は結界で守られている。一応門番がいて、二重の結界もあるのだが、入口付近にはそうそうモンスターが現れることは無い為、安心安全設計だ。


「ちょ、私……もう……つか……れ……た……」

「サリーさん!?」


 巨大バックパックに押し潰されるように倒れたサリーは、私体力無いのぉ! とヘトヘト顔を見せる。

 

「私、ギルドで待ってるから……先行っていいよ……」


 喉乾いたぁとゆっくり立ち上がったサリーは、急ぎたがっているフェイを気遣い、そんな提案を持ちかける。

 しかしフェイは少し微笑んだ後、それは出来ませんと首を横に振り、サリーの持っている巨大バックパックを背負う。


「じゃあサリーさんをギルドに連れてってから行きますね」

「それじゃあ遅れちゃうよ? 私はいいから先に行っていいよ」


 それでも、いいえ、心配なのでギルドに着いてから行きます。と笑ったフェイは、着いた後もっと早く走れば大丈夫です! と意気込みながらサリーの肩を支える。

 正直疲労レベルはフェイの方が何倍も上回っているが、目の前で困っている人がいたら放っては置けない。それがフェイ・ユリウスだ。


「……ありがとう。じゃあ全て片付いたらご飯一緒に食べようね、私が奢るから」


 そう言って苦し紛れに笑ったサリーは、内心、久しぶりに味わう『優しさ』に喜びを感じていた。

 道中モンスターを退けるために酷使したスキルのせいで、スタミナを消費したサリーが一人で歩くのもままならない中、フェイは、はいっ! と力強く返事をした後、まずはギルドに急ぎましょう! と弱っていた両足に力を入れ、一歩ずつ前進した――



~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ククッ、キールの野郎ヘマしやがったなぁ、これは罰を与えねぇと行けねぇ、ククッ……」


 それは遠くからダンジョンに繋がる坂を見ていた一人の狼族(ヴァラヴォルフ)の男。

 奇妙な紫色の槍先は太陽に反射して輝き、不気味さを増させている。


「ったく、これだから駆け出しの冒険者は使えねぇんだよ……」


 そう言ってその場を後にした男は、不気味な笑みを浮かべたあと、姿を消した(・・・)――




 


 

 

 

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