表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/9

ガードハロー


「――んでどうです? 取引します?」

「う……、ま、まぁ命とお金は測れないっ! し、しますっ!」

「まいどー!」


 商業人兼道具生成者(アイテムメイカー)であるサリー・エリンズは、お金大好き爆乳女である。

 その唯一無二の道具生成スキルで数多の冒険者と契約をし、お金をかっさらってきたサリーが満足する日は来ないであろう……。


「ちゃ~んと、地上に戻ったら70万グルト払ってもらいますからね!」

「うぐっ……」


 フェイ、貯金二万グルト。


 無謀すぎなその買い物は命の重さとでも言うべきだろうか。

 冷や汗だらだらのフェイは、命、命、命の為! と自分に言い聞かせながら両手で一、二、三、と指を折る。


 ちなみに、契約内容は二点。


 一つは七十万グルトでトラップ解除のアイテムを購入するというもの。

 そしてもう一つが……。


「……そういえばマベリアル鉱石って3階層より下層でしか手に入りませんよね……?」

「うん、そうだよー」

「僕……弱いから行けませんよ多分……」

「大丈夫! 私がいるから!」

「それじゃあ1人で行けばいいんじゃ……」


 レア鉱石であるマベリアル鉱石の採掘の手伝い――


 それがサリーが二つ目に付けた契約だった。

 丁度冒険者を探していたのよね~と語るサリーは、別にいいよね? と契約内容にぶち込んできたのだが、一階層以外行ったことのないフェイが行くのは、逆に足でまといになる可能性が高い……。

 その事を一番理解しているフェイは、ごめんなさい、僕弱いので……。とキャンセルを申し込むが、サリーは適当に笑って大丈夫大丈夫と聞き流す。


「ってほら、早くしないとコレの効果が切れてモンスター湧いちゃうよ! ちょっと離れて、今解除するから!」

「は、はい……お願いします」


 サリーが指さしたコレとは、モンスターをおびき寄せないアイテム、【手動安置(ガードハロー)】。

 ちなみにこれはサリーにしか作れない完全オリジナル。

 ネーミングセンスに疑いがかかるが、その道具を作る腕は誰にも劣らない。


「行っけぇ! 私の大発明、罠強制解除(トラップカット)ッッッ!」

「勢いの割にはちょっと名前ダサいんですね……」

「……70万から0もう一個足しとく?」

「ごめんなさい!」


 水を刺されたサリーは、むっと頬を膨らませながら、背負っている巨大バックパックから水色のキューブを取り出し、木の根元辺りに投げ込む。


 刹那――


「おおおおおお! す、凄い!」

「ふっふ~ん! 凄いでしょ! もっと凄いって言って!」

「本当に凄いですよサリーさん!」


 それはもはや魔法の域。


 白い光がキューブから溢れたと思えば、一瞬にして木の根はゆらゆらと解け、消滅した――

 二日ぶりの自由に、わー! と走り回るフェイは、自由最高ー! と満面の笑みを見せながら、サリーさん神! 本当神! と崇め奉る。


「本当にありがとうございますサリーさん! ……あ、ちょっと1回地上に帰ってから鉱石探しでもいいですか? 友達が心配なんです……」


 契約にはちゃんと従います! と頭を下げたフェイは、足踏みしながらサリーの返答を待つ、


「そ、そっか……なら早くここから出ないとダメだね、コレももう持たないし……。うん、とりあえず1回地上に出よっか」

「ありがとうございます!」


 そう言ってフェイは、待っててキール! と素早く小部屋(ルーム)を抜け出した。


 

 どこか冷たい表情を浮かべるサリーと共に――

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ