表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/108

決着

片腕を無くした歴戦の猛者であるアランと、未だダメージの少ない若き勇者パルファ。

両者の戦いは拮抗していたが、徐々にパルファが押し始める。


この局面にきてパルファは、アランのガード不能ダメージを常時回復で打ち消すだけでなく、広範囲爆炎攻撃への対策も生み出したのだ。


「っがぁぁぁ!!」

「はぁぁっ!」

アランの体から紫炎が巻き上がる瞬間に、パルファが発する光が周囲に凝縮される。

パルファを中心に球体となったその光は、迫り来る爆炎を完全に遮断した。


全方位への完全防御。

ここにきてパルファも、スキルを進化させたのだ。

「はぁ、はぁ」


しかしこの全方位防御は、一度使用する度に大きく体力を消費する。

スキル使用中パルファの体力は回復こそしているが、その回復量よりも全方位防御を使った消費量の方が圧倒的に大きかった。


繰り返しになるが、それでも押されているのはアランだ。

パルファの目に映るのは、もはや呼吸すらままならないほど体力をすり減らしたアランの姿。

攻撃に特化しすぎたそのスキル達は、破壊力こそ凄まじくも持久力に乏しい。


それなのに、アランはジィファとパルファ、ユウを単身で相手取っていたのだ。

長年の努力によりここまで持ちこたえるほどのスタミナを有していたが、底が見えはじめたのは至極当然のことだろう。


剣を杖代わりにして、アランはついに動きを止める。

「叔父様・・・ここまでです」

パルファは燃え尽きつつも、鋭い眼光をこちらに飛ばすアランへと近づく。

手が届く距離まで来たとき、その目に強い炎が灯った。


「俺は、負けん」

それまで全身から満遍なく吹き出していた紫炎が、無くなった右腕に集中する。

それは巨大な右手を形取り、パルファを握りつぶさんと迫った。


パルファもすぐに全方位防御を展開する。

弾かれながらも攻撃の力を緩めない炎の手と、ジリジリと押されつつも耐える光の防御壁。

今まで以上の高密度なエネルギーの衝突に、甲高い音が周囲に響き続けていた。


(なんて執念・・・!)

そんななかで、パルファはアランに畏敬の念を抱く。

先ほどまでの弱った姿は嘘ではない。アランは紛れもない極限状態なのだ。

それなのに、アランは最後の1滴も残っていなかった自分の体を締め上げて、この猛攻を実現させている。

勇者に負けたくないという執念の強さを、パルファはその身を持ってして感じていた。


(やばい、もう・・・)

そしてパルファの体力も底をついた。時間にして20秒も経っていないが、アランが最後に見せた炎はパルファの全方位防御をすり減らし打ち勝ったのだ。


だが限界を迎えたのは、アランの炎も同じことだった。膝をつくパルファの視界から、紫炎が消えていく。

(どうにか、耐えた・・・)

そう油断したのもつかの間、炎が晴れた先には剣を構えるアランの姿があった。


「甘いな、勇者」

アランの剣がパルファへと振り下ろされる。満身創痍でもブレておらず、殺傷力は十分すぎるだろう。


そのアランの全てを込めた一閃は、突如現れた黒い刃によって弾かれた。


〜〜〜


「はぁっ!」

ユウはパルファたちを追いかけている。時折パンチやキックを虚空にむけて放ちながら。

幻影アランは際限なく現れ、ユウの足止めをしようとするのだ。


だがスキルが進化したユウは、今や攻撃を当てさえすれば一撃でその体を霧散させる。

邪魔されながらも、徐々にユウはパルファたちへと近づいていた。

そして建物と建物を渡りながらユウは、ついにパルファとアランの姿を捉える。


視認できる距離まできても、まだ邪魔は続いている。

幻影アランは前後左右から次々に現れて、羽交い締めにしようと迫ってくる。

その対処をしていると、パルファたちがいた方向から強い衝撃音が聞こえた。


前を見るとアランが生み出した炎の手が、パルファの光をガリガリと削っていた。

パルファの顔を見るに猶予はない。ユウはすぐに進行を再開する。


建物を飛び移る時空中に、飛び越え着地した瞬間に、走っている最中に・・・

幻影アランは機を見計らいながら、ユウを邪魔し続けた。


ようやく隣の建物まで来たときに、アランとパルファの衝突は終わる。

膝をつくパルファと、剣を振りかぶるアラン。

ユウはそこに割って入るべく、パルファたちがいる建物へとジャンプした。


(大丈夫だ、間に合う)

このままならギリギリ、パルファをアランの剣から救える。ユウが安堵すると、目の前にまた白いモヤが集まる。幻影アランの出現の兆候だ。

それを消滅させるべく、ユウは今まで通りモヤに向かって体術を繰り出そうとした。が、


「っ!」

今回のモヤは、アランの姿をしていなかった。

ユウもよく知る女性が、悲痛な顔をしてたたずんでいた。


その姿を見て攻撃を決められなかったユウは、女性の体に引っかかり空中で体勢を崩す。

「しまった・・・!」


なんとか持ち直したものの速度は失われ、もはやアランの剣には間に合わない。

パルファに振り下ろされる剣を見ながら、ユウの手は腰に指したナイフを求めた。

「伸びろぉぉぉぉ!!」


言葉のとおり、ユウの変換スキルはナイフを5m超えの長物の刃へと変換させ、アランの剣を弾いた。

そのまま2人の間に割り込んだユウは、アランに渾身の拳を叩き込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ