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2代の顔合わせ

「帰って来たね・・・!」

「えぇ。数日なのに、なんだかとても懐かしいわ」

馬車に揺られて2時間ほど、2人は王都へ帰ってきたのだった。


「ゴホッ、じゃあパルファ、またあとで」

そう言ってメリィはジィファの屋敷、すなわちパルファの家へと向かっていった。

ジィファの兄でありメリィの父のアランも、今はそこに宿泊しているらしい。


今回のダンジョン攻略は、勇者の修行でもあり国務でもある。

パルファとユウは、先に王城へと報告をすることとした。


〜〜〜〜〜


「よくぞ成し遂げ、無事に戻られましたな」

王城を尋ねると、宰相のサリムが出迎えてくれた。

「勇者パルファ、帰還致しました」

「同じく冒険者ユウ、帰還致しました」

多くの目がある中で形式的な挨拶を済ませ、3人は別室にて話をする。


「いやぁ、お疲れ様でございました。噂はきいております。まさかSランクダンジョンだとは・・・」

「ありがとうございます、ただ・・・ボスはSランクだったので、難易度としてはAランクでは・・・?」

サリムの言葉にパルファが質問をする。それに対してサリムは落ち着いて返す。


「映像は王都の上層部まで届いております。あれ程までに厄介な仕様に、高い知能を持つダンジョンボス。基本的な線引きで言えばAランクダンジョンではありますが、総合的に見てSランクダンジョンと言って過言では無いでしょう」

サリムはそう言って手を打ち鳴らす。すると扉がノックされ、使用人が2枚の用紙を持ってきた。


「国はあのダンジョンをSランクと認定致しました。これはSランクダンジョン踏破の証でございます。お2人はたった今をもってして、Bランク冒険者へ昇格となりました」

2人は王都へ帰還してすぐ、思わぬ褒美を与えられたのだった。


〜〜〜〜〜


『次に行うのは建国記念式典の護衛でございます。なので建国記念式典までは、ゆっくりとお過ごしください』


サリムにそう言われ、2人は今パルファの家に来ている。ジィファに挨拶をするためだ。

パルファと共に応接間でジィファを待つ。


「自分の家なのに応接間にいるなんて、なんだか変な感じ」

「きっと応接間も同じことを思っているよ」

いつものように軽口を言っていると扉が空く。入ってきたのはジィ・・・ファ?


「2人とも、おかえりなさい。よく戻ったね。」

「はい、ただいま帰還致しました。・・・あなたの姪っ子が」

出迎えたその人に対して、パルファはいたずらっ子のような顔でそう言った。

すると扉がもう一度開き、目の前にいる男とそっくりの男性が笑いながら入ってきた。本物のジィファだ。


「おいおいパルファ。バラしちゃ面白くないだろう」

「ユウはちゃんと気づいてましたわよ叔父様。ねぇ?ユウ」

一気に態度が変わった目の前の男性は、パルファに対して文句を言う。


「改めてましての初めましてだが、ジィファの兄のアランだ。よろしくな」

そう言ってアランは、ユウに向かって挨拶をした。

「初めまして、冒険者のユウです。あの、思っていた以上にそっくりなのですね」

ユウは驚きながら挨拶を返す。


「そうだろう?昔はこうして、色々な人にイタズラしたものさ」

ユウの言葉にジィファが返事をする。そしてさらに続ける。

「改めて2人とも、よく戻ったね。出発前と見違えたよ」


パルファの進化を、ユウの変化をすぐに見抜いたのだろう。

ジィファは2人のことをしっかりと見据えてそう言った。

「あぁ、それにうちの者も世話になったな。ありがとうよ」

アランも娘や兵士たちを助けてもらったことで、2人にお礼を言う。


「さて、2人とも旅で疲れただろう。堅苦しい挨拶はこの辺にして、お茶でも飲みながら話を聞かせてくれないか」

そうして勇者とパートナーは2人の冒険譚を、先代勇者とそのパートナーに話したのだった。


〜〜〜〜〜


ユウは今悩んでいる。

時刻は夕暮れ、場所は騎士団詰所と自宅の丁度中間地点。

悩んでいる理由は2人の女性のことだ。


2人の女性はユウが出発する際、実は全く同じことをユウに言っている。

『帰って来たら真っ先に私のところに顔をみせて(ください)ね』と。


その時ハッキリと折衷案を出せなかったことを、ユウは今とても後悔していた。

(どっちも拗ねちゃいそうだしなぁ・・・)

言わずもがな、その2人の女性とは騎士のアルと使用人のリリアのことだ。


アルに先に挨拶をすれば、リリアは拗ねて家で何をしでかすか分からない。

かといってリリアに先に顔を見せれば、アルはまたユウをゆさゆさと揺さぶりながら尋問するかもしれない。


何かを変換して自分のクローンでも作ろうかと考えたが、脳内のアナウンスにあっさりと不可能を告げられる。

そうして頭を抱えているユウは、それに意識を取られて背後から近づくかげに気づくのが遅れたのだった。


「「わっ!」」

「うわあ!?・・・あれ、どうして?」

背後からの刺客は、今まさにユウが思い浮かべていた2人の女性だった。

2人で食材の入った買い物袋をもって、未だに状況が理解出来ていないユウへと声をかけた。


「「おかえりなさい!」」

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