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悪魔の選択

まずレッサーデーモンに向かっていったのはズーリンだ。真正面から大盾を持って突進していく。


左翼にはオッドとカノン、右翼にユウが控えている。

まだ健在の左腕を、ダメージの少ないユウが1人で担当すると言ったための布陣だ。


レッサーデーモンはズーリンの突進を健在な左腕で受ける。その隙にユウは左腕を落としにかかるが、角を使って剣の軌道を逸らされた。


「ギアァァァァ!!」

左腕を切り落とすことは失敗したものの、レッサーデーモンから悲痛な叫び声があがる。逆側にいたオッドとカノンが協力して、ボロボロだった右腕としっぽを切り落としたのだ。


だが、それがさらなる怒りのトリガーになったのだろう。レッサーデーモンは暴れ牛のように角を振り回し、ズーリン・カノン・オッドの3人を吹き飛ばした。


ユウは辛うじて避けたものの、また距離をとって仕切り直しとなる。

そして、ダメージを受けたのはユウ達も同じだった。


「ズーリン!おい、ズーリン!」

ここまで多くの攻撃を受けてきたズーリンが、今のダメージによって遂に意識を失ったのだ。

カノンとオッドが必死に呼びかけているが返事はない。右目で視てみると死んではいないようだが、このままではまずいことに変わりは無い。


3人に合流しようとするが、レッサーデーモンに意識を向けつつ近くの魔物を倒しながらで中々進めない。

カノンとオッドも、ズーリンを守りながら周囲の魔物を倒している


このままじゃ長くはもたない。レッサーデーモンも弱ってはいるが、倒すとなると全意識を集中させなければならない。だが自分がレッサーデーモンに集中している隙に、3人が無事な保証は何処にもない・・・


幾ばくかの逡巡を経て、意を決したユウはレッサーデーモンに背を向けて3人の方へと走り出した。

周囲の魔物からの攻撃やレッサーデーモンの追撃を全て無視し、十数メートルの地獄をぬけ仲間の元へとたどり着いた。


「ユウ・・・お前・・・」

「ユウ、なんでこんな・・・!」

満身創痍の2人が傷だらけのユウを見て呟く。だがユウには痛覚も倦怠感も無い。この重症でも問題なく戦える。


「オッドさん、カノンさん。ズーリンさんを2人で背負って下さい。飛ばされたおかげで門まですぐ近くです。」

そう。幸い今いる場所は門の近くで、門番もすでに門を開ける準備をしている。


「ローランドさんがやられて、飛行型の魔物が何匹か中に侵入しています!あとは村の中で籠城戦をしましょう!しんがりは僕がします!」

ユウの発言に2人は賛同し、ズーリンを担いで門へと向かう。


ユウが群がる魔物を倒しながら、徐々に4人は門へと近づいていく。

そして遂に門を開けられる距離まで来た時、ユウが3人を中に向かって押し込んだ。


たまらず前のめりに倒れていく3人。

「ぐうっ!な、なんだ?ぐっ!」

「ユウ!?あんたいったい・・・うっ!」

何が起こったか理解していないオッドとカノンを、扉の先で気絶させる。


「飛行型の魔物をあと数匹だけ倒してきます。僕が出たらすぐに閉めてください。」

ユウは門番にそう告げ、外へ出ていく。もちろんそれは嘘だ。


手負いのレッサーデーモンが1匹であれば、ユウも当初の提案通り籠城戦で持ちこたえようとしただろう。

だが門に入る直前で、ユウの右目は見てしまった。新たに森から出てきたレッサーデーモンを。それが1匹でなく、複数存在していることを。



〜〜〜〜〜



「どけえええええ!!!」

邪魔な魔物を切り捨てながら、ユウはとりあえず手負いのレッサーデーモンを片付けることとした。


助走を付けたユウの剣は、レッサーデーモンの残った左手と左の角を切り落とす。

だがレッサーデーモンもただではやられまいと、残った角をユウの左肩へと突き立てた。


痛みも何も無い。だが左手にもう力が入らなくなった。

左肩に角を貫通させたまま、ユウはレッサーデーモンの胸に剣を突き立て言う。


「ありがとう。代わりに選んでくれて。」


そして脳内に久しぶりのアナウンスが響いた。


――左腕を変換し、適所に統合します。

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