隠し事はすぐバレる ⑦
「それって……どういう……」
アイビーが証言すればするほどゼファは混乱した。
国王が二人の女性の間に子供ができた。
それだけでも信じがたいが、今、国王として君臨しているのがウィスタリアだ。
あとの一人はどこへ行ったというのだ。
国王が隔離するべきなのはアザリアとの間に生まれたウィスタリアのほうだ。
だが、ウィスタリアはゼファの従兄としてこれまで共に成長してきた。
それは、ゼファ自身が体感している。
「ということは、アザリアと共に幽閉したのは女王が産んだほうってことか?」
恐る恐るゼファはアイビーに尋ねる。
だが、アイビーは目を閉じたままゆっくりと首を振った。
真実は、ゼファが思っていたことよりもずっと残酷だったのだ。
「殺されましたよ。それも、女王様の目の前で」
自分の呼吸が止まったのが、ゼファ自身もわかった。
しかし、どんなにゼファの顔が青ざめても、信じられないと目を剝いても、アイビーは淡々と語った。
「事を済ませた国王は、女王や我々関係者に例の計画のことを話しました……アザリア・グライスが産んだほうの子供をこの国の王子とする。そして、戦争が来た時は彼の召喚獣を前線に立たせて戦わせる。そうすれば、この国の平和は保証される……」
無茶苦茶なことを言っているのはアイビーたちもわかっていた。
だが、もう彼らに残されているのはアザリアの子しかいない。
彼らも、そして妃も、これを受け入れるしかなかった。
「そこから先は、地獄でした。子供を取られたアザリアはその悲しみから朝から晩までずっと泣き続け、やがて精神を病み、衰弱死しました。妃様のほうはゼファ様もご存知の通り……崖から落ちて亡くなっております」
妃がウィスタリアが生まれてすぐに事故死したことはゼファも知っていた。
いや、彼の場合はそう聞かされていたのだ。
本当の理由は――おそらく、自害だ。
「……死にたくなるのも、わかる気がする」
小さく漏れたその言葉は、ゼファの本音だった。
夫に裏切られ、子供を殺され、不貞の先に生まれた子供を実の子として扱えという。
もう彼女は国も夫も信用できないし、何より子供……ウィスタリアを愛せなかったはずだ。
「それでも国王はいつでもウィスタリア様が召喚士として扱えるように彼には召喚術を学ばせていたはずです。そのためにアザリアを捕えて、彼女にずっと召喚術の研修をさせていたのですから、彼女の研究レポートが残っていたはずです」
召喚士を所有できたのだから、ここでいつ戦争が起こったとしても、召喚士がいる限りこの国は安泰だ。
少なくともそう思っていたのだろう。
国王の身勝手な行為を考えると実の伯父とはいえゼファは憤りを感じていた。
それが彼の顔に十分出ており、彼の眉間には深いしわが刻まれている。
そんな彼の様子をアイビーは申し訳なさそうに見つめていた。
「……以上が私の知っていることの全てです。国王命令とはいえ、今まで黙っていて申し訳ございませんでした」
最後にそう告げたアイビーは深々と頭を下げた。




