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創作怪談――創怪

ダイスのお告げ

作者: ユージーン


 Hさんは数年前までギャンブル女子だった。

 競馬や競輪、ボート。何度かラスベガスにまで行って楽しんだというからなかなかの本格派と言えるだろう。

 彼女には必勝法があったという。

 それは賭ける前に2個のダイスを振ること。

 良い結果が出れば賭け、そうでなければ避ける。

 ひどくシンプルなやり方で適当に思えるが、Hさんによると易学やタロットにも通じる古代からの由緒正しき方法なのだと言う。


 ある日、さて今日も当ててやるとダイスを振ったところ、ダイスが割れた。

 驚いた彼女はその日以来、ギャンブルをやめたと言う。

 ちょうど同じ時間に祖父が急病で倒れ、病院に搬送されたもののそのまま亡くなられた。


 私が「やはりお爺さんがギャンブルをやめさせようとしたんですかね」と言うと、そんな訳無いと答えた。

「だったら、それまで勝てたのは爺ちゃんの生霊のおかげってことになるでしょ」

 なるほど。少々引っかかるものの、誰かのせいでと考えるの少し短絡的かもしれない。


 Hさんの話には続きがあった。

「ダイスは割れないの。汚れたりもしない。今まで一度もそんな事なかった」

 そうなる前に無くなってしまうのだそうだ。

 振った時に床に転げ落ちてどこかに行ってしまうのならよくあることだろう。そんなふうにして物をなくすのは誰でも経験があるはずだ。

 それだけではなくポケットに入れたりケースに入れても、いつの間にか無くなっている。

 さっきまであるのを確認したのに取り出そうとすると無い。

 一度などは、ポケットに手を入れた時に2個あるのを確認して取り出したのに、手を広げると1個しかなかった事もある。

「ダイスは教えるの。その言葉に耳を傾けるのかそうでないか。それだけで」

 いつかギャンブルを再開する日をダイスは教えてくれるのかもしれない。

「それまでは始めないでしょうね」との事だった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] インタビューをしているような雰囲気の作品で、流れるように読むことができ、良いと思いました。 こうもスムーズに読むことができ、しかも心に残るのは、文章の上手さゆえだと思います。 また、過去の…
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