第九話 いざ、マヨネーズ作り!2
「これをサラダにかけるんですか?」
「そうですね。サラダにかけたり、ゆで卵に付けたり?あとは蒸かした芋を潰してこれと和えたりしてパンで挟んで食べたりもしますよ」
「食べてもいい?」
そう言ってこちらの返事も待たないで小指を突っ込んでマヨネーズを取り舐める。
「行儀悪いよローゼ?」
「そうですよローゼお嬢様」
ルネさんはスプーンを取り出して掬って食べようとする。
「あ、ルネさんこれ単体だと少しの方が良いですよ。くどいですから」
「ユウタ」
「ん? なにローゼ」
「ユウタって何者? こんなもの初めて食べた」
「これは食べたことない味ですね……」
2人ともマヨネーズに驚いているようだ。
さすが国民食も言って良いほどの調味料だ。異世界でも通用するのか?
「ゆで卵と食べて見ましょうか? その方が分かりやすいですよ」
茹でて貰った卵をむいて2人に渡す。
卵にマヨネーズをつけて齧り付く。
「うわ。美味しい」
「美味しいですね」
2人とも口にあったみたいだ。
良かった。これで味覚の違いがないのが証明されたね。
夢中で食べる2人を横目に卵を潰してマヨネーズで和えて塩で味を整える。
「ローゼこっちも食べてみて」
ローゼに渡すとゆで卵に乗せて食べだした。
「いや、ゆで卵に乗せなくても……。普通にこれだけでいいでしょ」
「え、そうなの? でもこれも美味しいよ」
卵on卵じゃんそれ。しかもマヨネーズだからwith卵の三段活用。
うん。自分で言っててつまらないや。
「これをパンに挟むと美味しいよ」
3人で試食していると厨房にいた他の人達もチラチラとこちらの方を見てきているのに気付く。
「ルネさん、なんかみんな見てんですけど」
「ん、みんなも食べてみる? 凄いよこれ」
ルネさんの許可でみんな集まって試食会が始まった。
誰かがパンを持ってきて卵サンドにしたりと、ゆで卵とパンが無くなるまで続いた。
これじゃあもう試食じゃなくてご飯では?
ご飯と言えばお昼ご飯の作ってたんじゃないのかなこの人達。
「あの、ルネさん」
「なんでしょうか?」
「お昼ご飯の用意はいいの?」
「……」
それを聞いた瞬間厨房の空気が止まった。
やっぱり完全に忘れてたっぽいね。
「急いだ方いいんじゃ……」
「私もう割とお腹いっぱいだからなぁ」
「いやローゼに言ってるわけじゃないから……。そもそもローゼだけのご飯じゃないでしょ」
「まぁ確かに。それじゃこれ以上邪魔しなように退散しますか」
結局邪魔しちゃった感じになって申し訳ない。
ルネさん達はまだ固まっている。
「今何時!? どんぐらいまで終わってる?」
ルネさんが叫ぶとみんなが一斉に動きだして持ち場に戻る。
洗い終わった泡立て器をケースにしまう。
「じゃあルネ。残りのマヨネーズサラダに付けといてねー!頑張って」
人ごとのように厨房から出て行くローゼ。
「すいませんルネさん。失礼します」
それに続いて逃げるようにローゼを追った。