第八十二話 旅行だぁぁぁぁ。
「アリス。準備はいい?」
「ん」
「忘れ物はない?」
「ん!」
「ハンカチとティッシュは持った?」
「ん……?」
これは違うか。
「ごめんごめん。なんでもないや。それじゃ行きますか」
ニズリさんにもレシピ渡したしローゼには畑の事とか書き置きしたから完璧。
帰ってきた時のローゼの対応がめんどくさそうなのを除けばね。置いてかれたって怒りそう。
「海」
そう。海なのだ。ローゼの怒りなど海に比べればちっぽけなのです。
というわけでいざ食材の宝庫へ。
「と、まぁ勢いよく出てきたのはいいんだけど馬車で行くべきだっかな」
「意外と遠い」
一応道路は整備されてるけど全然人通りもとい馬車通りがない。お昼時だからかな。
「誰も通らないなら飛ばしますか」
「ん?」
「こんな時便利なものがあるんです」
黄色い冊子……ではなく。
そう。みんなの味方原付です。
「なにこれ」
取り出した原付をまじまじと見つめるアリス。
当然だが見たことないよね。これが高速で移動するなんて考えもできないだろう。
「原付って言って馬車が10段階くらい進化したものだよ」
跨って鍵を刺してエンジンをかける。
エンジンが音が大きく響き、アリスがびくりと跳ね上がって警戒する。
「大丈夫だより少しうるさいけど、安全だから。ほらアリス乗って」
後ろに乗せるべきか足元に乗せるべきか。
「ん……」
恐る恐る近寄ってくる。大丈夫って言ってるのにね。
「ほら前に」
アリスは小さいから前でも大丈夫そうだ。後ろでもし落ちたら大変だし収まっててくれた方が安心する。
アリスを抱えてハンドルを握りなおす。
「それじゃいくよ?」
腕を捻ってアクセルを回す。
そしてそのまま目的地に向かって走り出す。
「死ぬ!」
「死なないから。慣れたら気持ちいよ。ほら景色でも見て楽しみなよ」
どんどん速度を上げて飛ばす。早く着いた方がいいもんね。
この世界って制限速度とかないから好きなだけ出していいのかな? 不安定な道路だから調子乗ってると事故って死ぬけど……。
「どう? アリス」
「危険が危ない」
「危ないのはアリスの頭だね」
アリスが可哀想だからゆっくり20キロくらいでドライブしよう。これなら大丈夫でしょ。
「どう?」
「ん」
どうやら大丈夫そうだ。
町までどうやら一本の直線らしいから迷うことなく行けそう。
作ったサンドウィッチを食べながらゆっくりとアリスとのドライブを楽しむ。
「海でたくさん材料を見つけたら物凄いレパートリーが増えるよ」
「頑張る」
わかめに昆布、アオサに岩のり、テングサ、ヒジキ……あとはもずくかな?
海藻だけでこんなに欲しいものがある。特に絶対見つけておきたいのがテングサ。これがあれば寒天が作れる。
ゼラチンを作るのがちょっと難しそうだから寒天だけでいいから作りたい。
「海潜って取らないと行けないな……」
冷たくなけなければいいけどね。
後はイカと牡蠣と雲丹。贅沢言えばフグが欲しい。
「流石に豪華すぎるかな」
カニもいたりしないかな。アメリケーヌも食べたいし。
「頑張って集めますか」
時間はたっぷりあるんだしゆっくりと観光しながら探していこう。ローゼには悪いけどね。
とりあえず着いたら宿を探してみますか。





