第八話 いざ、マヨネーズ作り!
「それじゃ材料なんですけど卵と油とお酢。あれば塩が欲しいですね」
マヨネーズの材料を2人に伝える。
ルネさんは真剣にメモ帳に書き込んでいる。
「確かに普通の材料ですね。用意するので待っててください」
「あとボウルと泡立て器ってありますか?」
使う器具もこれだけなんだけど問題は泡立て器が作られているのかだよね。
「泡立て器ってどんなのですか?」
案の定伝わらなかった。
「うーんとなんて言うかたくさんの輪っかが重なってる混ぜるやつなんだけど」
泡立て器の説明って案外難しい。
普段から当たり前のように使ってたから気にしたこともなかったよね。
「聞いたことありませんね」
「私も知らない」
ローゼはともかくルネさんが知らないなら存在しないのか。
「まぁ無ければ自分の使いますんでボウルだけ用意して貰えますか?」
確かケースに入ってたはず。
ルネさんに材料を持ってきてもらう間に、自分の包丁ケースを机に乗せて解錠し開ける。
「うわ。何これ見たことないものしか入ってない」
ローゼは横から手を伸ばして中の物を取り出す。
「これは何?」
「これは缶切りって言って缶詰を開ける器具だけどこっちには缶詰なさそうだよね」
溶接技術とかあったらもっと文明が進んでるだろうし。
「じゃあこれは?」
「温度計だよ。お湯の温度とか測れる機械」
「料理に関係あるの……?」
「温度の調節が大事なものとかあるからね」
「へぇ、よく分からないけどユウタの世界は進んでるんだね」
ローゼに商品紹介していたらルネさんが材料を持って戻ってきた。
「これで大丈夫ですか?」
「はい。ありがとうございます」
ケースから泡立て器を取り出して一緒に机に並べてローゼから温度計を取り返してケースをしまう。
「これが泡立て器というものですか」
不思議そうに見つめる2人。
「面白い形してるね?」
「これで混ぜると中に空気が入るからもったりするんだよ」
箸じゃ混ぜれないしやっぱり必需品だと思うんだけど。
こっちの世界の人たちは普段どうやって料理してるんだろう。
「難しいこと言われても分からないから早く作ってみよ!」
「じゃあ作ろうか。まずはボウルに卵を1個割って塩をひとつまみとお酢を大匙1……んーと15cc?なんて言えば伝わるんだ?まぁ、これくらい入れて一回混ぜる」
流石に秤くらいはあるだろう。
天秤とか使ってそうだけど。
「そしたら油なんだけど卵一個に対して100gくらいが目安かな?それをこうやって少しずつ、上から垂らしながらずっと混ぜる。2人でやるとやりやすいんだけどルネさん手伝って貰っていいですか? ?」
ローゼに任せたらなんかやらかしそうだから、メモを取っているルネさんに頼む。
「はい。どうすればいいですか?」
「これくらいの位置から少しずつ、糸を垂らす感じで入れてくれれば大丈夫ですよ」
ルネさんに指示しながらボウルの中身を混ぜていく。
「私もやりたいー」
「ローゼは失敗しそうだからまた今度ね」
「酷くない?!」
「もう終わるからまた今度ルネさんと作ってみなよ」
「ユウタのけちんぼー」
いじけるローゼを相手にしながら乳化するまで混ぜる。
「ルネさんがもう大丈夫です。ありがとうございます」
油を入れるのをやめて最後に少し早めに混ぜてキメを整える。
「出来ましたよ。これで完成です」
出来上がったボウルを2人の前に差し出す。
「これがマヨネーズかぁ。なんか想像と違った」
いったいどんな想像していたんだろう。