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第五十四話 マリーとサンドウィッチ。


 次の日アリスがまだ寝ているうちに街にたこ焼きのプレートの確認にきた。


「すいませーん。前に注文したものですけど」


「お、やっときたか」


「すいません……。ちょっと森で死にかけてまして」


「なんだそりゃ。まぁいい。一応作ってみたがこんなのでいいのか?」


 渡されたそれは紛ごう事無きたこ焼きプレートだった。完璧に同じでびっくりした。


「凄いですね。申し分ないですよ。これいくらにしましょうか?」


 10個くらい作りたいからできれば安い方がありがたいけど。


「結構大変だったけど楽しかったしそれ街でなんかやるのに使うんだろ? 材料代だけでいいよ」


「あと9枚欲しいんですけど……材料いくらですかね?」


「1つ銀貨1枚くらいでもいいか?」


「お任せしますよ」


 1つ1500円か。まぁあっちとあんまり変わらないね


「なら10個で金貨1枚で。いつまでに欲しい?」


「そーですね。1週間くらいでみてますけど……」


「わかった。完成したらキースの野郎に届けさせる」


「あ、本当ですか? ありがとうございます。これお代です」


 金貨と気持ちで銀貨を一枚ずつ手渡す。


「これは余計だぞ」


 そう言って銀貨を返そうとしてくるのを断ってお礼を言う。


「いえ手間賃ですよ。受け取っておいてください」


 今後もしかしたらこのプレートの量産に追われるかもしれないからね。


「そうか? すまんな。またなんかあったらいつでも言ってくれ」


「はい。それでは失礼します」


 店を後にしプレートを仕舞って買い物を済ませる。


「豚肉に卵と芋に人参……あとはー」


 メニューを考えながら道を歩いていると反対側から見た事のある人物が1人歩いてくる。


「マリーちゃん?」


「あ、お兄ちゃん!! 何してるの?」


 それはこっちのセリフだよ。一人で出歩いたら危ないじゃないか。


「買い物だよ。マリーちゃんは?」


「お休みだからぶらぶら買い物なのだ!」


「1人で?」


「みんな仕事で忙しいから……」


 なるほど。この歳で1人だと特にやることなんてないよね。誰かと一緒に遊んだ方が楽しいだろうし。


「ローゼは?」


「今日はなんか忙しいからダメだって」


 あのローゼが忙しい?? 何を寝ぼけたこと言ってんだあいつは。なんか嫌な予感がしてきた。今日来そうだな。


「なるほど。危ないからあんまり1人でいちゃ駄目だよ」


「じゃお兄ちゃんについてく!」


「え?」


「駄目?」


「これから帰るんだけど……」


「ならお兄ちゃん家に行こう!! 楽しそ〜! ローゼおねぇちゃんがいっつも楽しそに言ってるから気になってたの!」


 ちょっと待って。もう行くの決定?危なくないかなぁ……?


「森の中だよ?」


「いいよーいこー!」


 てくてくと歩き出すマリー。

これはもう何言っても曲げないぞ。ローゼきたら連れて帰って貰わないと……。




「ん。誰?」


 まぁ、そうなるよね。


「マリーちゃん。あそこの街の貴族の屋敷で働いてるメイドさんだよ」


「可愛い〜!! お人形さんみたいだね!」


 そう言ってアリスに飛び付く。

 寸前でアリスがさらりと躱してマリーが地面にダイブする。うわ〜痛そう……。

 アリスも流石に悪いと思ったのか、手を出したり引っ込めたりしてあわあわしている。


 当人のマリーは顔を上げて笑顔で起き上がり再度アリスにダイブを試みる。

 アリスもアリスで反射的に避ける。

 数度繰り返して先にアリスが折れてマリーに抱きつかれる。


「お肌すべすべ〜! なんていうの? マリーはマリーだよ!」


「ん〜。暑い」


「あついちゃんっていうの? よろしくね!」


 あついちゃんって。最初しか合ってないじゃん。


「マリーちゃん。その子はアリスだよ」


「ん。アリス」


「あついちゃんじゃないの? アリスちゃんねよろしく!!」


 マリーちゃんは同じくらいの歳のアリスがいて大喜びだ。見た目だけで判断してるけどアリスって何歳なんだろうか?


「ん」


 アリスもなんだかんだで少し嬉しそうに見える。


「アリス。お昼作るからマリーちゃんと遊んでてもいいよ?」


「竹やる」


 マリーちゃんいたら危ないんじゃない?


「竹〜? なんかやるならマリーも手伝うよ?」


「ほら」


「んー。アリスに切らせてマリーちゃんに洗って貰えばいいか」


「わかた」


「マリー洗うよーお兄ちゃん!」


「それじゃ頼むわ。今回は節ごとに切ってもらえる?」


竹を取り出して地面に積む。


「前みたいに液体入れる?」


「あぁ、違う違う。両端とも穴が開いてないようにして欲しいんだけど……。こことここを切ってこの真

ん中を使う」


 竹を持って切るところを教える。

 あれ、この切り方するともしかして間の奴って筒になるよね? なら前の計算の半分になるじゃん。


「んでこの塞がってるのと空洞なので分けてもらえる? 塞がってる方はマリーちゃんに洗ってもらって乾かしておいてくれるかな?」


「ん」


「よくわからないけどアリスちゃんがくれた奴だけ洗えばいいんだね!!」


「まぁそういうことだね。じゃあよろしくね。マリーちゃんはお昼食べたの?」


「まだだよ〜! お腹ペコペコ!」


「ならマリーちゃんの分も作ってくるね」


「わーい! ありがとお兄ちゃん!」


 竹とマリーちゃんをアリスに任せてお昼ご飯を作りにいく。

 と言っても作業しながら食べるつもりだったからサンドウィッチなんだけど……。

 卵と芋と人参を茹でる。豚肉は軽く叩いて筋を切って塩胡椒をして衣をつけて揚げる。


 外からはアリスの竹を割る音が響いてくる。

 パカパカパカパカパカパカ。


 いや早すぎだろ? 金太郎飴を切ってるようなノリでやってんじゃないだろうか?

 マリーちゃん大丈夫かなぁ。戻ったら竹に埋もれてたりして。

 早い所作って戻ってあげないと。

 パンを焼いてポテトサラダに卵サラダ、カツを挟んでサンドウィッチにする。

 各15個ずつ作ったけど多いかな……。アリスがめっちゃ食べるから多目にしたけど、余ったら仕舞えばいいか。

 皿にのせて外に戻る。


「お待たせ〜ご飯出来たよ」


 そーいや竹を切る音がいつのまにか止んでいた。もう切り終わったのか?


「ん。ご飯」


「わーいーご飯だぁ〜」


 外は竹が綺麗に積み上げられて竹まみれになっていた。2人ともどこから声出してるの? どこにいるか分からない……。

 てゆうか凄いな短時間で切って綺麗に整理し終わってるじゃないか? ローゼ要らずだなこれまじで。


「こっちで食べようか」


「ん」


「はーい!」


 呼びかけると竹の合間から2人が出てきてこちらへやってくる。


「竹もうこんなに進んだのか。凄いねお疲れ様」


 サンドウィッチを手渡して労いの言葉をかける。


「マリー有能」


「アリスちゃんが凄いんだよ! 竹をばばばばーんってね?」


「切れば切るほど整理されていく……」


 あのスピードに対応してんの!? マリーちゃん何者だよ……。


「まぁ2人ともとりあえず食べようか。たくさんあるから遠慮しないで食べてね」


「おかわり」


いやお前は早すぎだよ。


「これ美味しー! なに?」


「これはサンドウィッチっていってパンに具材を挟んで食べる軽食だよ。外にピクニックしながら持ってって食べたりするんだ」


「肉」


 お皿からカツサンドだけが減っていく。


「こらアリス野菜も卵もちゃんと食べなさい」


「お肉美味しい」


 そりゃ知ってるよ。でも食べすぎるとマリーちゃんの分なくなるでしょ?


「アリスちゃんちゃんと食べないと大きくなれないよ〜?」


「これで成長止まってる」


「ローゼおねぇちゃんみたいに良い体にならないと!!」


 確かにローゼはスタイル良いけど変な教育してんじゃないだろうなローゼ。


「ローゼ……?」


 また新しい名前が出てきて、はてななアリスちゃん。


「ローゼってのは煩いやつだよ。そのうち会えると思うよ? よく来るから」


「あ! ローゼおねぇちゃんがいる」


「え?」


 マリーちゃんの指差す方をみるとキースさんと一緒にこちらに歩いてくるローゼの姿があった。


「あれ?」


「そうあれがローゼと男の方がキースさんだよ」


 今日はみんな大集合だな。キースさんがなんか手に持ってるしローゼなんか始める気かな?

 今日は騒がしくなりそうだね。



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