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第五話 異世界美女はお嬢様。


「ならここら辺でお金貸してくれるところってある?」


「あるけど何かを質に入れないといけないと思うよ」


「そっか。なら最後にこの世界って魔物とか魔法って存在する?」


 ここが一番重要なところだ。

 魔法はともかく魔物とか魔王がいたりするファンタジーならこの街からあんまり出たくない。

 だって死にたくないでしょ。怖すぎる。


「魔物ってどんなの?」


「ゴブリンとかオークとか?あとはスライム」


「あーいるよ?オークのお肉って美味しいんだよねぇ〜」


 思い出しているのか口から涎を垂らして幸せそうな顔をしている。

 やっぱり魔物いるんだな……。しかも肉は食用にされてるのか。魔王と戦争とかまじでやめてくれよー。


「なら魔法は?」


「魔法って火を出したりするやつのことならあるけど人間には無理だよ。確か……エルフだけだった気がするけど」


 エルフ!? やっぱりいるのか! 是非美女エルフに会いたい。


「人間は使えないってエルフに攻められたら終わりじゃん人間……」


「いやー私もエルフ見たことないし? 昔の話とかじゃないの」


 そうか。滅んでる可能性もあるのか、森に隠れて住んでるから見つからないだけとかだといいんだけど。


「ありがとう。じゃあはい約束の飴」


 袋から取り出して差し出す。


 それを小さな口の中に運ぶと顔が驚きに染まる。


「なにこれ……。飴っていうの? 甘くて美味しい」


「こっちでも簡単に作れると思うけど……」


 もしかして飴を売る商人になれば生活していけるのでは?

でも砂糖とかは高価って言うしなぁ。


「君すごいね! よし決めた! この後暇?」


「暇っちゃ暇だけど……」


 普通に宿探ししないといけないんだけど……。まぁどうせ野宿になるんだろうけど。


「じゃあうちでマヨネーズ作ってよ。材料使っていいからさ」


「え? 君の家で? 自分で言うのも何だけどこんな怪しい人入れるのはどうかと思うよ」


 この子の家族に見つかって通報とかいやだし。


「それは大丈夫。なんならそろそろお昼だからご飯も食べてく?」


「行きます」


 即答だった。食べ物が食べられるなら今のところはなりふり構ってられない。しかも可愛い子の招待だし。

 できればこれからも仲良くしたいからね。


「それじゃ行こっか。こっちだよー。10分くらい歩くけど頑張って」


 自分が来た道と反対側に向かって歩き出す。

 家に着くまでもう少しこの街の話を聞いておきたい。


「ねぇこの街ってなんて領主が治めてるの?」


「ここはベルドナード伯爵家が統治してるベルドナード領ですよ。森が多く海にも隣接してて海産物とかも結構お店に並んでるよ」


 やっぱり伯爵とか男爵とかの階級があるのか。貴族の階級がさっぱりわからない。そこら辺も覚えておかないと粗相を起こして処刑とか起こりそうだ……。貴族には近づかないようにしておこう。


「詳しんだね。伯爵さんはどんな感じの人なの?」


「子供でも知ってるよこんなこと。んー、とりあえず太ってるでしょ。あと割と領民からは慕われてると思うよ。あ、でも最近財政は悪化してるみたいだね」


 貴族に対して太ってるって言っていいのか? 聞かれでもしたら大変なことになるんじゃないのかな。

 この子もいいところの生まれならある程度は交友があるんだろうか。そういうものなのかな?

 そもそもこの子の名前すら知らないんだけど。自己紹介もしてないし。


「よかったまともな場所で。領民から搾り取ってる様なやばいところじゃなくて助かったよ。それだったら命がけで別の領地に行かないといけないとこだった」


「搾り取らないから財政がきつくなっていってるんだとおもうけどね」


 それなら現代知識を使って財政の危機とか救っちゃえばいい土地とかあわよくば娘さんとか貰えたりするんじゃないなかな?

 今までただの一般人だった学生になにができるかって話なんだけど。


「いい政策でも取ればすぐ回復するでしょ。それより今更なんだけど君の名前なんて言うの?俺は祐太って言うんだけど」


「ユウタ? 珍しい名前だね。私はローゼだよよろしくね」


 しまった。偽名を使うべきだったか?次からはなんかそれっぽい名前を考えておくべきか。


「ローゼさんかよろしくね」


「さんとか要らないよ。ローゼでいいよ。」


 初対面の女の子を呼び捨てにするのは抵抗があるんだがこっちの世界では普通なのか……。仕方ない郷に入ればなんとやら。


「わかった。よろしくねローゼ」


「ん。あ、もう着くよ」


 ローゼに案内されて着いた場所は子供達が言っていたとても大きい屋敷だった。

 つまり領主の家だ。


「え? ここ? もしかして領主の家じゃないの?」


 まさかはめられた? 異世界版美人局か!

 一人で意味不明なことを考えていると、促される。


「え? そうだよ。さあ早く行こうよ」


 何を言っているのか分からない様な顔をするローゼ。


「入っていいの? 貴族のお屋敷じゃ……」


「いいに決まってるじゃん。自分の家だもん」


「??」


 ローゼが何を言っているか分からなかった。ここは領主の屋敷で? ここはローゼの家で。

 つまりあれかローゼって……。


「えーと……。私の名前はローゼ。ベルドナード・ローゼだよ?」


「ええぇぇぇぇ!?」


 屋敷の前で俺の異世界に来て一番の驚きがこだました。

 まさか異世界に来て最初の知り合いがお嬢様とは思わないでしょ。

 運がいいのか悪いのか。




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