第四十二話 検証と巡回。
ラーメンに向けての調味料の仕込みがほとんど終わったのであとは完成まで待つだけ。
なので今日は(今日もなのだが)ゆっくりと過ごそうと思う。
とはいえただベッドに寝っ転がってるだけじゃない。今日はちょっと検証したいことがたくさんあるのとアイテムボックスの整理が終わってない部分を終わらせたい。
外に出て川原で小石をたくさん集めて仕舞い込む。家の前に戻ってさっき集めた石を目の前の地面に出していく。
「どれ位まで距離が届くんだろう」
1メートル。2メートル。3メートル。4メートル。あれ? でないな、3メートル50センチ。お出た出た。60センチは……出ないな。
次は木の中に入れてみる実験だ。蓋のついた箱の中にだせるかどうか、ほい!!でません。次々いくよーコップに水を入れて水だけ抜き取る、次にコップだけ。ここら辺は難なくできた。
木の棒を使って触っているものを仕舞えるか? むり。地面を触りながら好きなところの砂を仕舞えるか? 触ってるところの範囲だけは可能。大きさの限界は? めっちゃでかい木できた。
その他も色々と検証を続けた結果。
半径3.5メートルの距離で仕舞えるのは直に触れていて出すときは目で捉えられる空間のみ。大きさは今の所上限なし、ミドリムシとかは空気中から取り出せませんでした。そもそもいるのかわからないけども。
「結構自由度が少ないなこのチート……。ラノベだともっと便利だぞ? いくらでも仕舞えるし時間だって止まってるし……」
時間か。まだ試してなかったな、やってみるか。
細い枝に火をつけて仕舞う。
止まってればあったかい物がいつでも食べられるし、進むならボックスに突っ込んでおけば漬物とか楽にできそうだね。
暫くしてから枝を取り出す。すると枝には火がついたまま少しも燃え進んではいなかった。
「時間止まってるじゃん!! これでいつでもあったかい物が食べられるぞ。旅に出ることがあんまりなさそうだが……」
もしもの時のために熱湯と火くらいは用意しておこうかな。
ついでになんか食べよう。鍋に水を入れて火にかけてる間に軽くお昼でも作って食べる。なにがいいかな? ローゼがいないし乾麺のパスタでも茹でるか。
トマトソースと野菜に干し肉でいいや。家からでて干し肉を取りに向かう。
「あれ? 肉一個減ってるな……。また鳥にとられたのか? でも穴が空いてるわけじゃない。まさかチャックを開けて持っていった? 鳥が……?」
流石にいくらなんでもそんな知的な鳥はこっちにもいないよね!?
てことは同じ人間かもしくは人型のモンスター?
そこまで考えてぞっとした。この近くにもしかしたらモンスターがいてずっと物をとられてたのか? そのくせ襲ってこないな。
「怖えぇー。でも原因がわからないのも、もやもやすんな……。少し家の周囲散策してみるか」
まだ1回もここら辺を回ってないからいい機会だし少し歩いてみるか。飯なんて後回しでいい。
家に戻って沸騰したお湯に指を一瞬突っ込んで仕舞う。
「あちぃ……。ここだけ毎回物理的ダメージ与えてくんな」
川原で防衛用の石を集めていざ出発。
……熱湯もったり石を集めたり現状で準備万端で出掛けたのにモンスターどころか動物、いや虫1匹すら見当たらない。
「本当に鳥だったとか」
チャック開けられる鳥なんて嫌だな。今日は諦めて帰ってパスタ食べよ……。
家に戻って干し肉を取り出そうとして気づいた。さっきまでなかったよね? それとも動揺して気づいてなかっただけか。干し肉の吊るしてある場所の家の壁に鳥が2羽置いてある。
「しかもちゃんと血抜きされてんじゃねーかよ……。同じ犯人か? 取ったお詫びに置いてったとしても割に合わないけど……」
いや、あっちがね? 多いといってもされど煮干しと干し肉半分。それに対して野鳥2羽。
しかもとれたてほやほや感凄いけど、これ下処理からやれってことなの?
んで作ったやつをまた持ってく気か。俺は肉加工会社じゃないぞ!! 全部ボックスに仕舞ってやる。
鳥のさばき方って持ってる本に載ってるかなぁ。
なんかお湯につけて羽を毟るのは知ってるが何度だ?
本棚で本を探す。
「これとかどうかな……。書いてないか。これも……。ないよなぁ」
どれも羽無しの状態でしか書いてない。
気が利かない本や教科書ばっかだな、てきとうにお湯につけてやって見るしかないか。