第三十四話 魚醤作りを始めよう4。
「疲れた〜。ユウタ今日はなにー?」
「お肉とスープとパン」
「聞いた私が間違ってたよ」
なんじゃそりゃ。
「干し作業は終わったの?」
「ひっくり返して扇いでたところだよ。後は自然の力に頼りましょう!!」
「りょーかい。ご苦労様ローゼ。じゃあたべよっか?」
「いただきまーす」
「いただきます?」
ルネさんにも、いただきます。が伝染してる……。
これは街のみんなが言い始めるのも近いかな。是非広めたい、特に何も意味はないけど日本人がもしいたらきてくれるかもしれない。
「ユウタこれ箸で食べづらいんだけどー」
「切ってないから仕方ないよ。ナイフで切りなって」
ローゼにナイフを手渡す。
「もー切っておいてよー。気が利かないなぁ」
「うるさいなぁ。ルネさんを見習いなよ」
ローゼと違って静かにナイフを使って切って食べている。
「私だって使えるからね? 箸じゃなきゃね」
「はいはい。ルネさんどうですか?」
「ハンバーグのソースに似てますね。でもネギの甘みで凄い食べやすいです」
料理評論家みたいなことを言ってる。
「簡単ですからね。家庭料理として手軽に作れるものですよ。子供向けの料理かな」
「なんで子供いないのに子供向けの作ったの」
「居るじゃん子供」
「いますね」
さすがルネさん、よくわかってる。2人でローゼを見つめる。すると自分のことだと気づいたのか。
「え、私!? なんで!? 子供ってマリーとかそんなくらいのレベルじゃなくて?」
いやまぁそれくらいでもいいんだけど、この中で一番若くて子供っぽいのはローゼだからねぇ。
「まぁまぁ、そんなことよりこれってパンに合いますかね?」
「そんなこと……?」
ローゼにとっては重要事項だったかもしれないけど俺からしたらどうでもいい話なんだよね。もっと建設的な話をしようか。
「そーですね。別に問題ないとは思いますけど。ユウタ様は何か違和感があるんですか?」
「んーパンでもいいけどやっぱりお米が欲しいんですよねー」
「お米ですか?」
「そうそう。んーなんて言えばいいのかな、小さい穀物を炊いて食べるんだけど。白いとか茶色のやつですよ。聞いたことないですか?」
「初耳ですね。小さい粒がたくさんですか?」
「はい。稲っていう植物なんですけど。あったとしてもこっちでは名前違うと思いますが。ローゼも知らない?」
どうせなんも知らないだろうけど一応聞いておかないと拗ねるからなぁ。
「んー。しっへるほー」
「行儀悪いから食べ終わってから喋りなさい」
質問したのは俺だけど。お嬢様の自覚なしだね。
ローゼは口に入れたお肉をスープで流し込んでから再度言い直す。
「知ってるよ」
「あーだよねー。ローゼだもんね? 知らないよね」
聞いただけ聞いただけ。もしかして存在しないのか。一生パンだけは嫌だな、ラーメンとかパスタの麺類と菓子パン系を広めしまおう。
ラーメン出来る間の期間でパン屋さんに頼み込んでみようかな。メロンパンとか絶対売れるだろうから。
「いやちゃんと聞いてる? 知ってるよって」
「え? 知ってんの!?」
「詳しくは知らないけどこの街のずっと左のほうで食べてる人がいるみたいな話を聞いたことあるけど。なんだかぶつぶつしてもっちりしてるやつ?」
擬音がやや不安だがお米の可能性が出てきたぞ。
「ローゼそれ誰から聞いたの?」
「昔街に来てた人からだけど去年とかだよ? 当たり前だけどもういないから聞けないからね」
そっか……。旅の人とかなのかな? 商人さんとかに今度聞いてみよう。
「ありがとうローゼ初めて役にあったかもしれない」
「そんなことないでしょ! まぁユウタの役に立ったならよかったよ」
「まぁ、当分はラーメンのために頑張るよ」
ラーメンといえば屋台だから、完成したら街で1日だけでも出してみんなに食べさせたいね。もちろんぼったくって金稼ぎたいっていう思惑があるけど。
美味しければ売れるからいいだろう。





