第三十三話 魚醤作りを始めよう3。
「よーしとりあえずはお肉干すか」
川の溜め場にいき、お肉を取り出す。水につけすぎたかもしれないけど最初だからいいか。
紐を取り外して横半分に切り分け真ん中に穴を開けて糸を通して屋根に吊るす。
「これ鳥にとられない?」
「こんなでかいのは流石に取らないでしょ」
「だといいですけどね」
今度田舎でよく見る青い干し用のネットのやつ作るか。
いやもしかしたらばあちゃん家で見たことあるしもしかしたら持ってるかも。リストを視界に表示させて高速でスクロールする。
あ、あった。取り出して紐を外しチャックを開けて肉を入れてチャックを閉じて屋根に吊るす。
このリストの物ってどういう基準ではいってるんだ……? てかこれ取り出したらあっちからなくなってるってことだよね? あっちでは結構おおごとになるんじゃ……?
「え? ユウタそれどっから出したの」
「ん? 秘密。手品だよ気にしない気にしないの」
「これなら取られなさそうですね。さすがユウタ様です」
ルネさんの評価が凄い高いな……。
次に鍋にお湯を沸かして貝類を全部茹でて取り出して殻を外す。
勿体無いから茹でたお湯はスープにして貝殻は後で砕いて畑に入れよう。
「ローゼ! これ煮干しみたいに干しておいてー。あと畑に水かけてくれる?」
「結局同じ作業じゃないのー。もう慣れたけどさー」
文句を言いつつ手早く網をおいて並べていく。干物職人ローゼ。若く可愛い女の子が作る干物! 需要はないか……?
「次はっと……。お湯を沸かして」
「ユウタ様。何かやることありますか?」
ローゼみたいにルネさんに頼みごとをするのは申し訳ないけど、本人が言うなら何かしてもらった方がいいのかな。
「それじゃあこの小さい魚を鱗をとって三枚におろせますか?内臓とか骨も全部捨てないで取っといてくださいね」
「それくらいでしたらすぐに」
包丁を渡して魚の処理をお願いする。その間に大きな壺にお湯を注いで熱湯消毒をして塩を用意しておく。
大豆があれば全てが解決するんだけど完成するまでに多分年単位でかかっちゃうのも問題だし。早い所大豆の確保とちゃんとした作り方の確立をしないと。
外に出て干したばかりのお肉からスープ用に少し切り取る。
「ローゼちゃんと扇いどいてね?」
「言われなくてもちゃんとやってるよー。ご飯いつできるの?」
「作りながらやってるけどまだかかるよ。気兼ねなく扇いでていいよ」
「これ飽きるの。もっとなんとかできないのー」
「気合いだよ」
愚痴るローゼを置いて家に入って小さくカットしたお肉を加えて溶いた卵を流し入れて火を止めて蓋をしておく。
「ユウタ様。終わりましたけどどうしますか」
え、早くない? 数十匹いたよね。さすが料理だけに長けたメイドさんだ。
「それじゃあ身の方から全部この壺に敷いてください。その上から骨と内臓と頭を入れて最後にたっぷりの塩を入れて完成です」
「分かりました。これは何になるんですか?」
「これは魚醤と言って醤油の代用品ですね。万能でこれがあるだけで大抵のものがつくれます」
まぁ匂いが臭いけどね。できたら煮物とかも作りたい。そのためにはお酒を確保しておかないとね、メモメモ。
「なるほど。どれくらいでできるんですかね?」
「多分だけど2〜4ヶ月くらいだと思うんですけど……」
なんせ作るのは初めてだからスケジュールが見えない。
「先の長い話ですね」
「時間だけはたっぷりありますからね。まぁ気楽にいきましょう」
ローゼが買ってきた豚……モウスのバラ肉を厚めにカットして塩胡椒をしておく。
フライパンに油とネギにトマトを突っ込んで炒める。詰め終わったのかいつの間にかルネさんが横でペンを片手に覗き込んでメモを取っていた。これも近いうちに屋敷の食卓に並ぶのかな。
しんなりしてきたらケチャップと少しの水を加えて香草を入れて煮込む。
その間にバラ肉を直火で炙り、フライパンに投入する。あとは水分を軽く飛ばして塩をして、肉とソースを絡めて完成だ。
ご飯が欲しい、日本人といえばお米なのに。いつか探し出してやる。俺のより良いフードライフのために。
「こ、これはなんていう料理ですか!?」
興奮して鼻息が荒い。それに近いですよルネさん。気になるのはわかりますけど落ち着いて欲しい。
「特に名前は無いと思うんですけど、強いて言うならポークチャップですかね」
ペンを動かしながら話を真剣に聞くルネさん。いや別にメモるようなこと言ってないよね? ルネさんにとっては全部が新しい発見なのかもしれないけど。
凄く楽しそうに見える。
「ルネさんローゼ呼んできてもらえますか?」
「わかりました」
呼んできてもらう間にスープとパンを温めてお皿に盛り付ける。
実は食器は一応一通り3人分は用意したのだ。椅子はいまだに無いけどね?





