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第三十一話 魚醤作りを始めよう。


『鰹節、昆布、煮干し、貝類の干物、醤油、味噌、かん水。味玉、焼豚、海苔、メンマ』


 昨日のうちに纏めたリストだ。最初が調味料で次がトッピング。

 醤油があれば味玉と焼豚は作れるし煮干しはもう完成してる。

 海苔は売ってなかったらもう、1回海に行くしかないよね。メンマはあんまり好きじゃないから後回しで!

 とりあえずは鰹節と貝類の干物と醤油に手をつけないといけない。


 そんなことを考えながらローゼの屋敷に向かう。

 門の前には当たり前だが門番さんがいた。

 しかもこの前の人じゃん……。嫌だなぁ。


「お疲れ様です。あのー通れないですよね〜?」


「またお前か……。通せない、といいたいところだけどローゼ様から事前に話が通ってるから入っていいよ。まっすぐ玄関に向かうんだぞ」


 よかったー。珍しく気が利くじゃないか。ローゼじゃなくてルネさんの可能性はあるけど。



「ありがとうございます。お仕事頑張ってください、よかったらこれどうぞ」


 門番さんに飴を手渡して玄関へ小走りで向かう。


「出来れば門番さんを餌付けして毎回ここで躓きたくないな」


 ドアをノックして扉を開ける。


「失礼しまーす?」


「あんただれ?」


「あ、ユウタと言いますが、ローゼさんとルネさんと待ち合わせしているのですが……?」


「へー」


 なんか物凄い小さなメイド服を着た子供が居るんだけど。


「お嬢ちゃん、メイドさんのお手伝いかな? 偉いねー。飴ちゃんあげるからローゼ呼んできてもらえないかな?」


 袋から飴を取り出して幼女にあげる。


「こ、こ……」


 ここ? 幼女がぷるぷると震え出し、叫ぶ。


「子供扱いすんな〜! マリーはもう10歳なんだから!!」


「ごめん! ごめんって!! お兄ちゃんが悪かったから。ね? ほらそれ食べて機嫌なおして」


 10歳って小学生じゃん。子供だからね??

 とは言える筈もなく、必死に宥める。この子はなんなんだろう……ローゼの妹?そんな話は聞いたことないけどなぁ。


「分かればいいのよ! 全くもう」


 そう言って飴を口に放り込む。


「あ、それ噛まないで舐めないとダメだよ」


「なにこれ凄く甘い!! お兄ちゃんこれどこで買えるの!?」


 お兄ちゃんって……。さっき自分で言ったんだけど呼ばれたいわけじゃない。


「これは売ってないよ非売品。だからしっかり味わって食べるんだよ?」


「えー。わかった……」


 見るからにがっかりして落ち込んでいる幼女。

 可哀想だけどとりあえずローゼ呼んでくれないかな。


「ねぇ」


「なーに?」


「マリーちゃんにローゼを呼んで欲しいんだけど。それかローゼの部屋まで案内してくれないかな?」


「ローゼおねぇーちゃんのところ? なんで?」


 人の話を聞いてないのか……。てゆうかおねぇーちゃんってやっぱり妹なのか? 隠し子?


「待ち合わせしてるんだよ」


「わかったーこっちだよ!」


 元気に走って案内をしてくれる。そんなに早く走られても困るんだけど、子供に罪はない。

 仕方なく駆け足で幼女もとい、マリーちゃんの後を追う。そろそろローゼの部屋の場所覚えないとなぁ。


「ここだよ!」


 扉の前で止まってノックして開ける。


「ローゼおねーちゃん? お客さんだよ」


「え? マリーちゃん!? ちょっと今着替えて……」


 部屋の中には着替えの途中なのか服を脱いで下着姿のローゼが立っていた。これがラッキースケベというやつか。

 眼福です。見たのがバレたら絶対怒られるから一瞬で脳裏に焼き付けて後ろを向く。

 本当は写真も撮りたかったけど犯罪だしバレるから諦めた。


「あ、ローゼおねーちゃん着替え中だった? 早く着替えてー? お客さん待ってるよ?」


「いいから閉めてちょーだい」


「はーい」


 扉を閉めて話しかけてくる。


「なんで後ろ向いてるの? ローゼおねーちゃん着替えてたよ」


 着替えてたから後ろ向いたんだけどね。倫理を幼女に説いても仕方ないからルネさんのところに案内してもらうことにした。


「マリーちゃん。ルネさんどこにいるかわかるかな?」


「今日はお休みって言ってたから部屋かなー?」


「お部屋わかる?」


「うーん? どこだっけなぁ」


 こめかみに指を当ててぐりぐりと回しながら唸りだした。

 覚えてないんじゃなくて知らないんじゃないのか。

 出てくるまで待ってもいいけどその間にローゼが来ちゃいそうだな。

 案の定マリーちゃんが考えてる間に部屋の扉が開いてローゼが出てくる。


「マリーちゃんこれからはノックしてから返事あるまで開けちゃダメだからね?」


「あ、ローゼおねーちゃん! はーい。気をつけますー」


「いい子いい子。で、ユウタ見たでしょ?」


 マリーちゃんの頭を撫でながら目を細め口を尖らせてこちらを見るローゼ。


「見てないよ。後ろ向いてたからね」


 一瞬しか見てないよ。うん白とかよくわからない。


「本当? まあいいや。ルネ待ってるから早く行こっか」


 マリーちゃんの手を握って歩き出すローゼについて廊下を歩く。仲よさそうだな。やっぱ妹なのかな? 聞いてみるか。


「ねぇローゼ」


「ん?」


「マリーちゃんってローゼの妹なの?」


「え? 違うよ?」


「でもすごい仲よさそうだし、おねーちゃんって呼ばれてるじゃん?」


「ちゃんとしたうちのメイドだよ? まだまだ見習いだけどね。これでもルネよりはできるよ。料理以外はね」


 ルネさんって本当に料理以外なんもできないのか?


「じゃあなんでおねーちゃんって呼ばれてるの」


「懐かれてるからじゃない? 子供って可愛いよね〜。私も欲しいなぁ」


 16歳のセリフじゃないだろそれは。

 こっちでは何歳が適齢期なんだろうか?

 貴族の政略結婚はもうそれこそマリーくらいの頃から決まってたりするって小説ではよんだことあるけど。


「じゃあローゼも結婚して子供産めば?」


「相手が居ない〜」


 貴族でこんなに可愛いんだから引っ張りだこだろ。よりどりみどり、選び放題。


「まだ若いしゆっくり考えなよ」


「私より深刻な人居るからね。ほらついたよ」


 ノックしてドアを開ける。ローゼも返事待たないで開けてるじゃん……。子供が見てるんだからそういうところしっかりしないと。


「あ、ローゼ様とユウタ様! もうお時間ですか?」


「うん。ルネの準備ができてるならもう行くよ」


「いつでもいけますよ」


「じゃあいこっか!」



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