第三話 情報収集へ2。
「そっか。じゃあ色々聞くから分かることだけ教えてね。まずはこの街で一番大きいお家ってどこにあるのかな?」
その家が多分ここの領主の屋敷だと思うんだが。
「あっちの奥にお城みたいなお家があるよ!」
身振り手振りで大きさを表現しながら来た道とは反対方向を指差す子供達。
「ありがとう。それじゃあ、みんなの好きなご飯教えてくれるかな?」
旅の人とかもはや関係のない質問だが、子供達は飴で心を開いたのか、それとも好きな食べ物の話だからか、気にした様子はなかった。
「お肉焼いたやつ!」
「パンかなぁ?あんまり硬くないやつ」
「お魚焼いたやつかなぁ?」
あっちの世界にあるような具体的な名前は出てこない。だけどパンはあるみたいだ。
黒パンみたいなものなのか、でも聞いた感じだと硬くないパンも食べられてるぽいね。
「パンかぁ。お兄さんも好きだよ。みんなはどうやって食べてるの?」
「どうやってって? そのまま食べるよ?」
「あー、なんか塗ったり付けて食べたりしないの?」
「硬いやつだとスープに浸して食べたりするよ」
「ありがとう。あと少しだけ聞かせてね」
子供達に30分程質問をして、お礼にもう1つずつ飴をプレゼントして別れて噴水に腰かけた。
子供達に聞いて分かったことはこっちの世界の食生活と領主の家とお金の価値くらいか。
定番の金、銀、銅、青銅貨の4つ。価値は青銅貨1枚で日本円で10円くらい。10枚15枚10枚でひとつずつ上の貨幣に上がる感じだ。
わかりやすくてありがたいね。
10円玉使えたりしないかな。しないよねわかってるよ。
まだまだ知りたいこと沢山あるんだけど流石に大人に聞かないとわからないようなことだらけだ。
何より知りたいのが、この世界に魔物がいるのかとか魔法が存在するのかとか。
魔法があるなら絶対エルフとかいるだろうし、是非死ぬまでに会って見たいね。
「そんなことより今これからどうするかだよな。このままだと飢え死にか凍死しちまうぞ」
そう言って項垂れる。
とりあえずなんとか乗り切ったらあっちの世界の知識を使ってなんとかなるだろう。
「サラダ用にマヨネーズとか作れば儲かるんじゃないかね」
原価の安さがピカイチだからね。あとはケチャップとか?
「それって食べ物? 美味しいの?」
「あぁ、まぁ嫌いな人はあんまり見たことないなぁ。あれさえあれば大抵サラダなんとかなるからな」
「そんな凄いもの作れるの?」
「簡単だよ。卵と油とお酢さえ……」
ん? 俺は誰と話してんだ?
疑問に思い声が返ってくるほうへ、顔を上げてみるとそこには同い年くらいの女の子が座っていた。
「えっと? 誰?」